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スタイリスト辻直子さん【“好き”を愛し続けるということ】

「好き」という気持ちは自由でいいはずなのに、周りの目を気にしすぎたり、目まぐるしく変わるトレンドに流されてふと、忘れてしまう。辻さんのスタイリングにいつも憧れる「らしさ」があって、とびきり素敵に映るのは、自分の“好き”を愛し、向き合うまっすぐな想いがあるから。ときめきを一瞬で終わらせず、貫く強さがその人のスタイルをつくる。10年間を振り返り、辻さんが今伝えたいこと。

辻直子●つじ なおこ

コンサバティブをベースとした鮮やかな色使いのコーディネートで人気のスタイリスト。本誌で約10年間続いたこの連載も、いよいよ来月号で最終回を迎えることに。ラストを飾るテーマ、そしてモデルに乞うご期待!

時代に合わせて“更新”して今年らしい着こなしのアレンジを

スタイリスト辻直子さん【“好き”を愛し続けるということ】_1

「リトルブラックドレスも着続けていきたいアイテムのひとつ。でも、こんなそぎ落としたアイテムこそずっと同じは危険。時代に合わせて“更新”が必要なんです」と辻さん。ビッグショールを羽織って、今年らしい着こなしのアレンジを。「今シーズンなら足もとはロングブーツを合わせたい」。

ドレス¥63000/イーストランド(ヴィクトリアヴィクトリア・ベッカム)ショール¥63000/マディソンブルー

トレンドとは違う見え方のするメンズのざっくりニットが好き。今年は「色で遊びたい」気分

振り切ったサイズ感のざっくりニットも、毎シーズン購入するほどお気に入りのアイテム。このメンズのニットは、極端に袖が長かったり、ボディの部分がズドンと太かったりと、レディスのオーバーサイズとは違うトレンドではないバランス感があって、それが飽きずに長く愛することのできる理由だと思います。この冬は色で遊びたい気分なので、今シーズンらしいグリーンのキルティングバッグにイエローの光沢プリーツスカート、パープルのグローブと好きな色をいくつも重ねたスタイリングに。

スタイリスト辻直子さん【“好き”を愛し続けるということ】_2

サイドゴアブーツは、トゥにビジューのついたデザイン。「トラディショナルなニットとサイドゴアブーツは定番の組み合わせだからこそ、おとなしくまとまらない仕掛けが必要だと思います」。

ニット(メンズ)¥49000/オーラリー スカート¥84000/コロネット(フォルテ フォルテ)帽子¥7000/ユナイテッドアローズ 有楽町店(ユナイテッドアローズ)グローブ¥9000/ショールーム セッション(アダワス)バッグ¥270000/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン(ボッテガ・ヴェネタ)靴¥68000/トーガ原宿店(トーガ プルラ)

大定番のタートルニットはクラッチバッグでチャンネルを“今”に

ハイゲージのタートルネックニットは、もう何十年も私のワードローブの定番。シンプルだからこそ合わせるアイテムが引き立ち、ボトムとのコンビネーションでそのときの気分が出せる、脇役のようでいて"実は主役"なアイテムです。万能だからこそしっかり見極めて選ぶことが大切で、私がこだわるのは少しだけ透ける素材感と、体のラインがキレイに見えるフィット感。今シーズンらしさにチャンネルを合わせてくれるアイテムは、ボッテガ・ヴェネタのクラッチバッグ。大きさにも色合いにも今を感じます。

スタイリスト辻直子さん【“好き”を愛し続けるということ】_3

「女性らしい丸みとは逆の、メンズっぽい四角いシルエットの腰まわりをつくるハイウエストのパンツも大好きなアイテム。どこか少年っぽく映る、その印象が好きなんです」。ニットの透け感やパンツの形など、自分にしかわからないレベルのこだわりが、実はスタイリングに大きく作用すると、辻さん。

ニット¥48000・パンツ¥70000/ブラミンク サスペンダー¥19000/コロネット(フォルテ フォルテ)ピアス¥16000/ショールーム セッション(マリア ブラック)バッグ¥290000/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン(ボッテガ・ヴェネタ)

スタイリスト辻直子さん【“好き”を愛し続けるということ】_4

’11年11月号

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’18年11月号

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’16年11月号

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’07年5月号

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’09年8月号

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’11年11月号

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’11年5月号

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’15年10月号

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’14年2月号

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’19年2月号

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’14年2月号

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’07年1月号

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’14年11月号

スタイリスト辻直子さん【“好き”を愛し続けるということ】_17

’09年2月号

自分の「好き」を愛し育てる。いつしか宝石よりも輝く個性に

約10年間の連載も、これが最終回。想いが強いだけに、最後のテーマも悩ましく、過去の誌面を振り返ってみることにしたんです。あらためて気づいたのは、私の﹁好き﹂が変わっていないこと。時は流れて、私は年を重ねて。変化した部分も多くありますが、「好き」はずっと変わらず、一緒に成長してきました。


Tシャツ+ジャストウエストのスカートに、パンプス。20代の終わりに「一生この格好をしたい!」と、ときめいたこのスタイルは、今でも私の定番。それでも、一度だけ“これでいいのか”と不安になったことがあって、それは周囲の反応が理由でした。コンサバでもカジュアルでもないスタイルが周りにはチグハグに映ったんだと思います。でも、私は気にせず貫くことにしました。“一生したい”と、心に響いた感覚を大切にしたかったから。好きと感じるものは誰もが持っているはずなのに、周囲やトレンドを意識しすぎて、その気持ちがぼやけてスタイルもブレる。﹁好き﹂は自分らしさにつながるもので、大切に育てたい。トレンドは主軸ではなく、それを更新するために取り入れるもの。どんなアイテムも時代や自分の変化に合わせて更新しなければ古くなるし、逆に可能性を探ることで着こなしは魅力的に成長するんです。


自分の「好き」を愛し、育てる。一途も楽ではないけれど、貫くことでいつか、高価な宝石にも負けないほどのキラキラとした“個性”になってくれるはず。


今回、連載の最後に登場してくれたブレンダも、変わらない私の「大好き」なんです。

撮影/生田昌士〈hanna management〉 ヘア/ASASHI 〈OTA OFFICE〉 メイク/鷲巣裕香〈beauty direction〉 スタイリスト/辻 直子 モデル/ブレンダ 取材・文/櫻井裕美 構成/内海七恵〈BAILA〉 ※BAILA2019年12月号掲載

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