30代の婦人科系悩み&疑問に、医師がお答え! 今回は、生理前後の体の不調についてお届けします。
「生理前になると便秘になる」「生理が始まるとお腹がゆるくなる」「生理中、吐き気に襲われる」……。その原因とは?
30代女性のお悩み&疑問
・「毎月、生理前になるとお通じが微妙。特に1週間前からは便秘が酷くて体が重い感じが……。下腹部がパンパンになってつらい。これってなんで?」
・「生理が始まると、経血と共にお腹もゆるゆる。下痢っぽくなることもあって、生理痛とWでつらい!」
・「生理初日、腹痛とセットで猛烈な吐き気が来ることが。ときにはトイレで嘔吐することも。生理痛は職場でも理解してもらえるけど、吐き気はオーバーじゃない? となかなか理解してもらえないのがつらい……」
生理痛とは異なる生理前後の不調。経験のない女性もいるため、周囲に理解、共感されにくい点もまたしんどい悩みですよね。そのメカニズムとは?
医師のお答え!
【監修】椎名邦彦先生 「こすぎレディースクリニック」院長
<プロフィール>
聖マリアンナ医科大学卒業、同大学院博士課程修了。カナダ・モントリオールマギル大学博士研究員(不妊治療)、聖マリアンナ医科大学病院産婦人科医局長、メディアージュクリニック青山院長(美容皮膚科・婦人科)(2007年〜2014年)、東京女子医科大学附属青山女性医学研究所美容医療科、愛育病院(東京・港区)など産科医療に20年以上携わるほか、不妊症治療専門クリニックにて最新治療に携わり、2015年3月、「こすぎレディースクリニック」を開院、現在に至る。最新の産婦人科・美容医療に、東洋医学などの代替医療やアンチエイジング医療を取り入れながら、女性がいつまでも健やかで美しくあるための医療を提供。基本姿勢は「癒して治す」。
月経前の便秘、原因は「黄体ホルモン」
女性の場合、月経周期によるホルモンバランスの変化が、便通に影響を与えることがあります。
排卵が起こると、黄体ホルモンの分泌が増える高温期が2週間続きます。黄体ホルモンは妊娠するための準備をする大切なホルモン。排卵後、黄体ホルモンの分泌が増えることで体温が上がったり、水分を溜め込んだりして、体が妊娠の準備に入ります。
この黄体ホルモンの影響が腸にも作用すると、排便に必要な腸のぜん動運動を抑えてしまい、食べたものが大腸に留まりやすくなってしまうのです。
また、黄体ホルモンは水分を体内に蓄える作用も。スムーズな排便には水分が必要ですが、黄体期は腸の中の水分が腸の外で足りなくなるため、さらに便秘になりやすくなるのです。
▶︎解消するには「水分」と「食物繊維」
黄体期の便秘に悩んでいる人は、普段より多めに水分や食物繊維を摂取するよう心がけましょう。
月経中、お腹がゆるくなったり、吐き気を感じたりする原因は「腸の収縮」
子宮内膜が剥がれて体外に出る月経期間に入ると、子宮の収縮を促す物質、プロスタグランジンが生成されます。
このプロスタグランジンが作用することで、月経の下腹部痛を感じるのですが、中には腸の収縮も促され、下痢の症状が出る人もいます。
嘔吐も同様で、プロスタグランジンが胃に作用することで起こります。
▶︎解消するには鎮痛剤、低容量ピル
対策には、鎮痛剤や低容量ピルの服用などが有効です。
生理前〜生理中は体がナイーブな時期。無理はせず、症状を感じたら早めの対処を心がけたいものですね。
取材・文/櫻木えみ 企画/斉藤壮一郎〈BAILA〉