『ぼくの死体をよろしくたのむ』川上弘美 小学館 1500円
亡父の幼なじみである璃莉香と会うのは年2回。そんなとき手に乗るほど小さな男性と出会い……。奇想あふれる表題作のほか、魔法を使う少年や見慣れぬ動物も登場。著者らしい普段着ファンタジー。
『冬の日誌』 ポール・オースター 柴田元幸訳 新潮社 1900円
現代米文学の巨人が、自らを「君」と呼びつつ半生を語る。大ケガした12歳、初体験したフランスへの船旅、母を亡くした際の混乱と悲しみ。「君はもう若くない」。率直で温かな文章がしみる本。
『騎士団長殺し』第1部・第2部 村上春樹 新潮社 各1800円
妻からの別れ話を機に、山の古い家を借りた画家の私は、ある男に肖像画を依頼される。屋根裏で見つけた一枚の絵、謎めいた男、彼の秘密。超自然的な出来事が連続する、1000ページの大長編。
文/江南亜美子