笑いの絶えない会見。写真左より、松本白鸚さん、片岡愛之助さん、松本幸四郎さん、市川猿之助さん、三谷幸喜さん。この歌舞伎男子のチーム感に萌える~♪
■意外に多い新作歌舞伎。言葉もわかりやすいから初心者にはおすすめ!!
まんぼう部長 ホントホント。全員主役級だものね。このメンバーで新作を、しかも三谷さんの演出で……って、おもしろくないわけがない。期待値マックスよ。
PARCO劇場『決闘!高田馬場』にも出演していた幸四郎さんと猿之助さん。三谷幸喜氏との掛け合いも爆笑の連続で、息のあったところを見せていた
部長 歌舞伎は古典ばかりじゃなくて、意外と新作も多いのよ。最近だと、『ONE PIECE』や『NARUTO-ナルト-』などのマンガを原作にした歌舞伎もあるし、以前、宮藤官九郎さんが作ったゾンビが出てくる歌舞伎も斬新だったわ~。新作は言葉もわかりやすいし、人物の気持ちの動きも現代的だから、初心者には絶対おすすめだと思うのよね。
終始笑顔だった主演の幸四郎さん。「三谷さんのお芝居を、いかにその通りに面白くできるか。前回に負けない熱気で突っ走って、皆さんにびっくりしていただきたい」と熱く語った
部長 2006年に「PARCO歌舞伎」と銘打って上演した『決闘!高田馬場』で、脚本・演出をやったそうよ。そのときも幸四郎(当時、染五郎)さんが三谷さんにオファーして実現したそうだけれど、今回も幸四郎さんのオファーだったとか。
部長 そもそも三谷さんが、幸四郎さんのお父さんの白鸚さんの大ファンというのは有名な話で、白鸚さん主演の舞台やドラマをいくつも手がけているのよね。90年代には『王様のレストラン』っていうドラマも大ヒットしたんだけど、小僧は覚えてないわよねぇ……。白鸚さんつながりで、息子の幸四郎さんともご縁ができたんだと思うな。
「稽古場に来た瞬間から『今日雨だから中止じゃないか?』とか、すぐに早く帰ろうとする」と三谷さんにばらされていた猿之助さん。笑顔が超キュート
「『決闘!高田馬場』は客席でみてすごい! こういう歌舞伎に出られたらいいなと思っていました」と愛之助さん。浴衣姿が色っぽいわ~
部長 三谷さんも会見で言ってたよね。「染五郎さんを見ているだけで、元がとれますよ。ずっと見ていたくなる。肌つやつやなんです」って。すかさず幸四郎さんが「主役は僕ですよ!」と突っ込んで、みんなを笑わせていたけれど(笑)。
この日、公開されたのは第一幕第一場の稽古。商船・神昌丸が嵐で遭難し、8カ月間、漂流。過酷な生活の中でも前向きで明るい船頭・光太夫(幸四郎)。
恐ろしいですよ、歌舞伎界の美の遺伝子。部長、見ました、幸四郎さんのあの睫毛!? 目の下に影ができてましたよ!!
部長 いや、もう老眼なんで。。。睫毛までピンが来ないから見えなかったわよ(笑)。私がツボッたのは、記者会見のとき、幸四郎さん、猿之助さん、愛之助さんがすごく楽しそうで仲が良さそうだったこと。みんな40代で同年代っていうこともあるけれど、あのわちゃわちゃ感が可愛いなって。ウフッ♪ 「チーム歌舞伎男子」っていう感じで萌えたわ~。
仲間にちょっかいを出しては、何かと悪態をつく庄蔵(猿之助)。猿之助さんが前に出ると、舞台がパーっと華やかになって惹きつけられる
漂流生活で、満足な食事もとれない船乗りたち。そんな中、新蔵(愛之助)は、自前の沢庵をおいしそうに食べ始める。クールにギャグをかますラブリンが素敵!
■猿之助さんが女帝エカテリーナに! 八嶋智人さんも登場!!
部長 原作は、関ケ原の戦いから幕末に至るまでを描いた歴史大河だけれど、今回上演するのはその一部だそうよ。舞台は鎖国していた江戸時代後期で、大黒屋の息子・光太夫(幸四郎)を主人公にしたエピソード部分とのこと。江戸に向けて出発した光太夫の船が、嵐で漂流してアリューシャン列島へ。そこから乗組員たちが一致団結してロシア大陸を目指し、女帝エカテリーナに謁見までしちゃうという話らしいわ。
経験豊かなベテラン船親司(ふなおやじ)の三五郎(白鸚さん)。陸との距離を測るために占いを始めるが残念な結果に……。その抜群なコメディセンスで、三谷かぶきを引っ張る白鸚さんも必見!!
お稽古前に綿密に打ち合わせをする三谷さんと幸四郎さん。長年のつきあいがある二人だけに息もぴったり。
部長 本当に。でも、三谷さんも言っていたけれど、そもそも古典歌舞伎の場合、主演の役者さんが演出をやったりするから、演出家がいっぱいいるようなもの。
その中でイニシアティブをとる三谷さんは、結構たいへんだろうなぁ。
小僧 「皆さん、自分の場面の演出や音のイメージをお持ちで、たまに勝手に音楽の方と相談をはじめる方がいて……」「勝手に変えないでね。一応僕を通してね」って言ってましたね。
お稽古場では、座らずに壁際に立って、じっと見ていた姿が印象的だった三谷さん。「今回、初めて歌舞伎をご覧になる方には歌舞伎の良さを知ってもらいたい。 ずっと歌舞伎をご覧になってきた方々にも、なかなか面白いなと言っていただけないと、やる意味がない」。その表情は真剣そのもの
小僧 そうそう。前向きだけど、少し頼りない船頭の光太夫が幸四郎さん、
何かと文句の多い船乗りの庄蔵が猿之助さん、クールに見えて情に厚いイケメン船乗りが愛之助さん。
稽古場で和やかな笑顔の幸四郎さん。高麗屋格子の浴衣が似合ってて素敵♪ ちなみに本日、学校で稽古は欠席の息子・染五郎さんは、三五郎の息子役で登場予定。
愛之助さん演じる船乗りの新蔵は、個人主義だけど、情に熱くてかっこいいキャラ。さすがラブリン、決まってるう~
小僧 猿之助さんのドレス姿、ぜひ見たいです!! あと、八嶋智人さんも出演するんですよね!? 歌舞伎俳優じゃない人も出ちゃっていいんですか?
ゆずのキャラクターTシャツに浴衣を腰巻きという猿之助さん。これぞ歌舞伎役者コーデ!! 『スーパー歌舞伎II ワンピース』でルフィを演じた猿之助さんは、主題歌を歌ったゆずとは親交が深く、5月の名古屋ドームの公演で、グッズをゲットしたとインスタに書いていたけど、もしかしてこれがそのグッズ?
小僧 はいっ。幸四郎さん&染五郎さんの睫毛を部長に見せるためにオペラグラスを持って行きたいと思いま~す!!
一幕は船上でのシーンで、舞台には大きな船のセットが用意された。嵐で漂流する船に着物で帆を張り、コントロールしようとする船乗りたち。手先が器用な乗組員・藤助(大谷廣太郎さん)がここでは活躍。
六月大歌舞伎 夜の部
『月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』
みなもと太郎 原作
三谷幸喜 作・演出
夜の部 午後4時30分~
■場所:歌舞伎座
大黒屋光太夫:松本幸四郎
庄蔵/エカテリーナ:市川猿之助
新蔵:片岡愛之助
口上:尾上松也
キリル・ラックスマン・アダム・ラックスマン:八嶋智人
マリアンナ:坂東新悟
藤助:大谷廣太郎
与惣松:中村種之助
磯吉:市川染五郎
勘太郎:市川弘太郎
藤蔵:中村鶴松
幾八::片岡松之助
アレクサンドル・ベズボロトコ:市川寿猿
清七・ヴィクトーリャ:澤村宗之助
次郎兵衛:松本錦吾
小市:市川男女蔵
アグリッピーナ:市川高麗蔵
ソフィア・イワーノヴナ:坂東竹三郎
九右衛門:坂東彌十郎
三五郎/ポチョムキン:松本白鸚
江戸時代後期、大黒屋の息子で船頭の光太夫は、乗組員らと江戸を目指して伊勢を出帆する。しかし嵐に見舞われ、船は漂流。なんとロシア領のアリューシャン列島にたどり着く。異国での厳しい暮らしの中、日本への帰国の許しを得るためにロシアの大地を進む光太夫ら17人の船乗りたち。ようやくサンクトペテルブルグにて、女帝エカテリーナに謁見することが叶うのだった…。
チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹ほかで発売中。
取材・構成/バイラ歌舞伎部 写真/ 富田恵
まんぼう部長……ある日突然、歌舞伎沼に落ちたバイラ歌舞伎部部長。遅咲きゆえ猛スピードで沸点に達し、熱量高く歌舞伎を語る。
バッタリ小僧……歌舞伎歴2か月。やる気はあるが知識ゼロの新入部員。若いイケメン俳優より、本当はオーバー40歳の熟年役者好き。