音楽好きの編集Kが、バイラ読者におすすめの音楽をご紹介。今回は、縦横無尽な音楽キャリアを築いてきた奇才チリー・ゴンザレスから届いた『ア・ベリー・チリー・クリスマス』をフィーチャー。温かく包み込んでくれる“静なる”クリスマスアルバムで、一年を癒してみてはいかがでしょうか。
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編集K
クリスマスにまつわる曲で好きなのは映画『スノーマン』の劇中歌「ウォーキング・イン・ジ・エアー」。
「クリスマスは僕にとって熱烈な感情が交錯する時間だ。表面的な幸福に浮かれる時季ではあるけれど、自分を振り返り、一年に起こった悲しい出来事を悼む時間でもある」と語るチリー・ゴンザレス。まさに今年に限っては誰しもが彼と同じ気持ちを抱くことだろう。
ロック、エレクトロ、ヒップホップ、そしてピアノと縦横無尽な音楽キャリアを築いてきた奇才から届いたクリスマスアルバム『ア・ベリー・チリー・クリスマス』。ここ数年ではカイリー・ミノーグやジョン・レジェンドなどもクリスマスアルバムを発表していたが彼女らの作品はクリスマスの悦楽を抽出しているのに比べ、本作は冒頭の言葉どおり非常に内省的でどこか切ない。強烈な2020年という年を癒し、温かく包み込んでくれる“静なる”クリスマスアルバムだ。
クリスマスまで約一カ月半。静謐でありながら暖炉に手をかざしたときのような暖かさを感じる一枚で安らぎのひとときを感じてみて。
『ア・ベリー・チリー・クリスマス』
チリー・ゴンザレス
¥2200(国内盤)/GENTLETHREAT/BeatRecords
クリスマスのスタンダードナンバーから「ラスト・クリスマス」や「恋人たちのクリスマス」といったポップソングまでをもカバー。なのにどこか切なく、感動を誘う唯一無二の一枚。
チリー・ゴンザレス
カナダのモントリオール出身。ピアノは3歳から始め、ジェーン・バーキンのアルバムプロデュース中に着想を得た「ソロ・ピアノ」シリーズがキャリア最大のヒット作に。
イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2020年12月号掲載
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