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【推し活のすすめ】#劇団雌猫 もぐもぐさんのスペシャルエッセイ!「なんか好き」からはじめよう。

忙しい日々も退屈な日々も「推し」がいれば頑張れる! 今回は、オタク系ユニット「劇団雌猫」のメンバー・もぐもぐさんのスペシャルエッセイを公開! 「推し活とは何ぞや?」という人に向けて、その魅力や心得などを語っていただきました。

もぐもぐさん

劇団雌猫

もぐもぐさん


平成元年生まれのオタク女子ユニット「劇団雌猫」のメンバー。オタク女子たちの推しへの浪費ぶりをまとめた著書『浪費図鑑』が話題に。各種連載やイベントのほか、ドラマ「だから私はメイクする」原案など多方面で活躍。近著に『海外オタ女子事情』など。

カルチャー女子集団 劇団雌猫 もぐもぐさん スペシャルエッセイ

「熱狂的じゃなくていい。『なんか好きかも』で世界は変わる」

初めて「推し」的な存在ができたのはいつだろうと思い出すと、多分小学生のころ、モーニング娘。の加護亜依ちゃんだと思う。と言っても当時は行動力も財力もなかったし、「加護ちゃん可愛いな〜」くらいの憧れでしかなく、テレビの音楽番組に出ていたらじっと見つめるとか、お小遣いをはたいて「ミニモニ。」のCDを買うくらいだった。同級生の女の子が「加護ちゃん好きだよね?」と駄菓子屋で買えるブロマイドを1枚くれてうれしかった。

『物心ついたころからずっとオタクです!』という人も多いだろうが、私の場合は意識して「推し」を生活に取り入れるようになった(まるで便利な家電のような言い方ですが)のは大学を卒業して働き始めてからだ。めくるめく怠惰な学生生活を送っていた私は、週5日朝から晩まで働く毎日に早々に気がめいっており、「あかん、残りの2日で楽しい予定を入れないと心が死ぬ」と危機感を抱いた。

ちょうどAKB48が全盛期で、MVやライブ映像はYouTubeでよく見ていたし、メンバーの顔もそれなりに覚えていたし、特に好きな子もいた。あのころの加護ちゃんへのラブに似た「ただ好き」であって、わざわざ足を運ぶほどではなかったのだけど、ファンの友人の導きもあって、秋葉原の劇場や握手会にちょっとずつ連れていってもらうようになった。最初は物見遊山だったけど、だんだん「推し」が定まっていく、好きな子の好きな部分が増えていく、見えていくプロセスは幸福だった。これは私が求めていた「週2日で得られるハッピー」に足ると思った。人気グループはなかなかチケットをとるのも大変なので、気軽に行けるほかの女子アイドルも見に行くようになった。最近アイドルオタク入門してるんだ〜と言うとジャニオタがJr.のコンサートに誘ってくれた。一生に1回くらい観たかった宝塚にも、なんだか怖そうでチャンスがなかったプロレスにも行った。

退屈は、だいぶ紛れた。毎週末のように知らない世界に「おじゃまします」するのは楽しかった。これはアツい!って思うものも、自分にはあまり刺さらないものもあったけど、それは一度ふれなくてはわからなかったことだから意味があった。面白くないことを知るのは面白い。

少しずつ「好き」が定まってきて、同じアイドルのライブや宝塚の劇場に通ううちに友人が増えていった。年齢も職業も違うけど好きなものが同じ仲間ができて、それが精神衛生上すごくよかった。大人になってから友達をつくるってけっこう難しいけれど、何かひとつ共通の要素があるとぐっと仲よくなりやすくなる。あえて全然職種が違う人に仕事の話を聞いたり、自分より年上の人になにげなく相談したらなるほどって思うことが返ってきたり。近すぎないし遠すぎない、これくらいの距離感の友人だから話せることがいろいろあった。推しにも友達にも会えると2倍楽しい。ただ家と職場を往復する生活から随分気持ちが明るくなったし、週末のために頑張るぞ!と仕事にも明らかに身が入るようになった。

振り返ってみると、無欲だったのがよかった気がする。人にすすめられるがままに誘いに乗り、その時々でマイペースに楽しんだり楽しめなかったりしているうちにだんだん自分のビビッとくる要素がわかってきた。せっかくだから満喫するぞ!とポジティブな姿勢でいると世界をもっと楽しめることを知った。

「とにかく彼氏つくろう」と焦っても大抵うまくいかないように「とにかく推しをつくろう」と思ってもまあハードルが高い。「推し」という言葉には、心に決めた運命の相手のような、気力体力を尽くして愛さなくてはいけないような感じがちょっとあるけど、そんなに重くとらえなくていいんだと思う。「なんかこの人好きだな」「この人見てると幸せになるな」くらいで充分素敵で大切で尊い出会いだ。お金や時間を費やす熱狂的なファンになるのもそれはそれで楽しいけど、あくまで好みの問題であって、そうあるべきとは私は思わない。何かをすり減らさないと、誰かを好きだと言っちゃいけないってことはないのだ。

イラスト/本田佳世 構成/斉藤壮一郎〈BAILA〉 ※BAILA2021年2月号掲載

【BAILA 2月号はこちらから!】

【推し活のすすめ】#劇団雌猫 もぐもぐさんのスペシャルエッセイ!「なんか好き」からはじめよう。_1
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