日本中がその動向を追い、注目し、熱狂に包まれた’20年末。その大きな渦のまさに中心で、怒濤の日々を過ごした。あれから少しだけ時計の針が進んだ今、「自分でも、自分の変化に驚いてる」と櫻井翔は言った。自分に火をつけてくれたというドラマとの出会い、演技への思い、仕事のスタンスなどを語ってくれた。
櫻井翔
櫻井翔
さくらい しょう●1982年1月25日生まれ、東京都出身。A型。報道番組「news zero」(日本テレビ系 月曜23時~)のキャスターを務めるなどマルチな才能を発揮。また「櫻井・有吉THE夜会」(TBS系 木曜22時~)、「1億3000万人のSHOWチャンネル」(日本テレビ系 土曜21時~)ではMCを務める。
“この作品との出会いが、自分に火をつけてくれた”
「3年半ぶりの連ドラ『ネメシス』は、スケジュール的には大変な日もあるけど、毎日刺激があってとにかく楽しいですね。珍しく初日からソワソワしちゃって、前日も寝つけないほど。現場に入ったら、江口(洋介)さんもそうだったとおっしゃっていて少し安心しました。年明けはゆっくり過ごせたけど、やっぱりどこか温度は低くて。でも『ネメシス』と向き合うことで、また火をつけてもらったというか。作品自体も本当に魅力的で、日々のモチベーションになってる。’21年、最高のスタートを切ることができました」
“「カッコよく演じたい」なんて昔も今も、考えたことがない”
「台本がすでに本当に面白かったから、今回探偵役を演じるにあたっての事前準備は、台本をしっかり読んでおくくらいでした。“こうやっていこう!”というおおまかなプランは持っていくけど、セッションをするなかで風真の『ダメダメだけど憎めないダサカッコよさ』が自然とでき上がっていくほうがいいかなと。“ダサいじゃなくカッコよく見せたい!”とかっていう気持ちは若いときから湧いたことがないかな。幸いコンサートとかでカッコイイ姿は見せられたから!(笑) でも、それがない今も、まったくないですよ(笑)。現場でこの役をどうふくらませてやろうかと考えながら演じることのほうが楽しいです。そういう余白をもって臨めるのも、これまでいろんな作品を経験させていただいたおかげかもしれないですね」
“期待を越えていく、それが僕の仕事”
「ネクストステップを踏み出した今、具体的な今後の目標や理想って自分の中には特になくて。ネガティブな意味じゃなく、僕らの仕事は周りの人に乗り越えるべき山や壁をつくってもらって初めて成り立つし、その越えていくプロセスの中で、目標や理想が見つかっていく感覚なんです。とにかく新しいものが目の前に現れたら、越えようと向き合う。たまに『よくこんな長いセリフ覚えられますね』なんて言っていただくこともあるけど、現場に入って『覚えきれませんでした!』と言ってカンペを用意したり、アフレコを入れるなんてことはできないわけで。つまり、覚える“しか”ない。僕には『できません』という選択肢が、そもそも存在しない。過去に唯一ギブアップしそうになったのは、スカイダイビングだけ(笑)。あれだけは二度とやりたくない! でもね、最初からギブアップするくらいだったら、そもそもこの仕事をやめたほうがいいと思っていて。やったあとに後悔はあっても、やる前にギブアップは絶対に、ないです」
ドラマ「ネメシス」©NTV
日本テレビ系 日曜22時30分~
出演/広瀬すず、櫻井翔、勝地涼、中村蒼、富田望生、三島あよな、仲村トオル、橋本環奈、真木よう子、江口洋介ほか
正義の鉄槌で悪を砕くギリシャ女神の名を冠した謎多き探偵事務所「ネメシス」を舞台に、ポンコツ探偵・風真尚希(櫻井)と、無鉄砲な助手・美神アンナ(広瀬)が助け合いながら、難事件に挑むミステリーエンターテインメント。
取材・原文/山中ゆうき 構成/斉藤壮一郎〈BAILA〉※BAILA2021年5月号掲載
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