犬飼貴丈さんと堀未央奈さんのW主演でドラマ化され話題の漫画『サレタガワのブルー』(著:セモトちか。アプリ「マンガMee」連載中)。「読んだら必ず不倫シタくなくなる漫画」と言われる理由とは?あらすじと魅力をご紹介。
主人公の田川暢はイケメンかつ高収入の在宅ワーカー。家事は完璧、愛する妻・藍子に毎朝弁当を持たせ、夕飯を作って待ち、帰宅した妻の笑顔に新婚の幸せを噛み締める甘い日々。だが藍子の不自然な深夜残業や休日出勤をきっかけに疑いを持ち、やがて疑惑は確信に変わる。藍子の不倫相手は会社の直属の上司で妻子持ち。妻は専業主婦で味方のいないワンオペ育児の只中だった……。
タイトル通り、不倫を「サレタ側」の憂鬱を描く本作。パートナーの裏切りに打ちのめされながらも、「サレタ側」は離婚と復讐に向け、弁護士を交えて現実的に動き出す。その戦いのリアリティが本作の見所の一つ。証拠の揃え方、慰謝料の相場、不倫の時効がいつか?なんて実用的な知識も得られてしまう。
一方で、「スル側」の横暴すぎる言動は、唖然を通り越してもはやホラーと言いたいレベル。1ミリの容赦もないクズの描きっぷりが清々しい。SNSの裏アカでリア充演出に余念がない藍子も、己の欲望だけに忠実な妻子持ち上司も、怖い。そこがまた面白い。
道ならぬ恋に、禁断の愛。「スル側」の物語は数多あれど、「サレタ側」から描く作品はさほど多くはない。でも本来は同じ数だけストーリーがあるはずで、『サレタガワのブルー』は徹頭徹尾、後者の視点を貫くのがユニーク。そしてそこからはゾッとするような景色が見えるのである。怖いのに続きから目が離せない作品。
※単行本発売、電子版発売中
編集W
本誌ファッション・書籍・コミック担当。好きなものは建築、アート、猫。いつでも熊谷守一の猫に惹かれている。
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