試合の中継やニュースに心を熱くしながら、今、日本のバスケットボールが元気だ! バスケットマンやバスケファンをエンパワメントし続けてくれる漫画に感謝せずにはいられない。井上雄彦先生による漫画『リアル』はそんな作品だ。
今、日本のバスケットボールが元気だ!
2019年のNBAドラフトにおいて日本人初となる一巡目指名を得てワシントン・ウィザーズに所属、スターターデビューを飾った八村塁選手。
2018年からNBAチームに挑戦し、トロント・ラプターズとの正式契約を勝ち取り、好成績を重ねている渡邊雄太選手。
東京2020大会では日本代表女子がアメリカチームと決勝の舞台に勝ち上がった。
そして車いすバスケットボールも。日本代表チームは2021年9月5日、アメリカと熱い決勝を戦い、銀メダルに輝いた。
試合の中継やニュースに心を熱くしながら、
バスケットマンやバスケファンをエンパワメントし続けてくれる漫画に感謝せずにはいられない。
銀メダルの先の未来への期待もますます高まる。
井上雄彦先生による漫画『リアル』はそんな作品だ。
漫画『リアル』と車いすバスケの“14点ルール”
手に汗握ってテレビ観戦した、東京2020大会の車いすバスケットボールのトーナメント。
はからずも大会のフィナーレとなったあの決勝。『リアル』のページをめくれば、あの日が蘇るようだ。
車いすバスケットボールには「14点」ルールがある。
選手それぞれの障がいの重さに応じて、1.0~4.5の持ち点が決められていて、コートにいる5人の合計得点は14点を超えてはならない。
障がいの重い選手=ローポインターは、点数をおさえてコートにたてるが、できないプレイもある。
障がいの軽い選手=ハイポインターは、できるプレイの幅が大きいけれど、持ち点がかさばってしまう。
漫画『リアル』も、日本代表においても、条件の異なる選手がコートのなかでそれぞれの役割を全うする、その輝きの強さに差はなく、ハイポインターもローポインターも等しく重要で、試合の流れを決める戦略の面白さでもある。
漫画『リアル』がエンパワメントしてくれるもの
漫画『リアル』は、私たちの日常から“遠い”と感じてしまいがちな車いすバスケットボールを題材にとりながら、描き出す人と人のつながるエネルギーは超普遍的だ。
車いすを“脚”として激しいプレイをする稀代のアスリートである戸川清春と
バイク事故をおこして高校を辞めたバスケ愛で満タンの野宮朋美は
お互いの姿から刺激をうけ、力をもらい、それぞれの道を前進する。
車いすに乗る者も、そうでない者も対等でお互いに力を与え合う姿に魅了される。
それぞれの登場人物は、だれもスーパーマンなんかじゃない。
才能にめぐまれていても心に傷を負い、人一倍熱量が高くてもタイミングを逃す。
特別にみえて、そうでないところもある彼らのひとりひとりの心情が丁寧に紡がれる。
ひとりでは揺らぎ、迷ってしまうこともある彼らが出会い、関わることで新しい道がひらく。
ページから立ち昇る熱さは、バスケットボールを手にするものだけでなく、私たち誰にも伝播する。
銀メダルの目撃者に、さらにその先の未来に、たどり着く原動力になる。
編集ミツコ
好きな休日の過ごしかたは、はしごショッピングからの町中華でハイボール! メゾンブランドから古着までMIX主義のカジュアル派。北海道産強力粉で皮から作る水餃子には自信あり♪ 本誌ではファッションと美容、海外ドラマを担当。
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