車を持たない身軽さもあるけれど、所有するからこそ得る思い、見える景色がある。それは場所?モチベ?それとも人生?6人の車との関係をインタビュー。
1. フローリストの若井ちえみさん「トヨタ ハイラックスサーフ」
【車とは…】車は日常と地続きにあるもの。緊張をほぐす大切な場所
withトヨタ ハイラックスサーフ
「duft」オーナー
若井ちえみさん
ドイツ語で“香り”を意味する「duft」。ギャラリーを思わせるプレーンな空間には、多彩な色合い、ユーモラスでフォトジェニックな花が所狭しと並び、一歩先ゆく花選びを提案。
お花と同じく、車はいつだってそばにいてほしい相棒です
朝3時起きで花市場へ仕入れに。あるときは大量の花材をショップや飲食店に搬入し、ディスプレイを手がけることも。フローリストにとって車は必要不可欠で、若井さんが1年前に手に入れたのが、大型SUV「ハイラックスサーフ」だ。
「無骨なムードでガンガン走っても壊れにくく、積載量も充分。どんな場所でも安定して走れる車種を探して行き着きました。私にとって車は、仕事のための手段にとどまらない、大切な相棒。日常と地続きにあるので、車内に戻ると自宅のような“ただいま”的な感覚になり、日々の緊張がほぐれます。たとえるならファッションは、仕事中も唯一無二のデザインであるヴィンテージに身を包んでテンションを上げ、背すじを伸ばすもの。一方で、車は背すじを丸くしてくれる癒しの存在でしょうか」
完全なるプライベート空間。私にとって、癒しの場所です
車内はとっておきのパーソナルスペース。「さくっと食事をしたり、メイク直しをすることも」
都内での仕事に加え、結婚式のフラワーディスプレイのため、福井県まで8時間車を走らせたことも。「運転する機会が多いので、腰痛防止クッションを手に入れました」
車で何聴いてる?
好きなアルバムをひたすらかける派。仕事でもうひと踏ん張りしたいときは、ハイエイタス・カイヨーテの『Mood Valiant』。のんびりドライブしたい日には、細野晴臣さんの『HoSoNoVa』。
車の中で何してる?
ロングドライブにも適した「トヨタ ハイラックスサーフ」は座面の位置も高いので、窓からの眺めも最高です。車内では音楽を聴いたり、ときには歌ったり……。車内は日常の延長線にあるものなので、基本的に何でもします(笑)。
大型のボディが特徴。仕入れた花はトランクへ
車を撮ったのは?
@duft
大型ボディの「トヨタ ハイラックスサーフ」をガシガシ乗りこなす若井さん。仕入れがある日は朝4時過ぎには到着。搬入や水揚げ、ディスプレイや配送の準備など、ほぼ一人で行う。店舗は、東急世田谷線・松陰神社前駅すぐ。
東京都世田谷区世田谷4 の13の20松陰PLAT 1F
https://duft.jp
2. スーパーバイラーズの上原 愛さん「トヨタ ハリアー」
【車とは…】車がない生活は考えられない。もはや家族のような存在です
withトヨタ ハリアー
スーパーバイラーズ
上原 愛さん
ネットショップの経営のほか、家業の経理を担当。休日は、キャンプやディズニーランド、パワースポット巡りを家族で楽しむ、小学4年生と4歳児のアクティブなママでもある。
一人にもなれるし家族とも過ごせる。車はくつろげるリビング
「学生時代は助手席専門でしたが(笑)、出産を機に車の必要性を痛感。託児所つきの自動車教習所に通って免許を取得しました」と、上原さん。今では平日は通勤や子どもの送り迎え、休日は家族と遠出と、毎日ハンドルを握る日々。
「下の子が成長したタイミングで、夫婦で気分がアガる車種が欲しいねと、『トヨタ ハリアー』を選択。高級感のあるハイブリッドZレザーパッケージ、内蔵型のドライブレコーダー、シートヒーター、オプションでつけた調光パノラマルーフ……スペックが高くて居心地抜群です。」
「朝は子どものことでバタバタしているので、車内にタンブラーやアロマなど自分用グッズを持ち込み、整えてから出発! 自分だけの時間を過ごせるし、家族が一緒なら会話も弾む。車って想像以上にアットホームな場所ですね」
私を整えていくルーティンは車内で
「ストージョ」の折りたたみできるマイカップにはコーヒーを入れて。時間がない日は空っぽのまま持ち込み、スタバやコンビニでコーヒーを注いでもらいます
“自分用グッズ”を持ち込んで乗車。「ネモハモ」のアロマミスト。“HAJIMARI”と“TOTONOERU"の二つの香りがあり、その日の気分に合わせてシュッ!
車で何聴いてる?
出産後は音楽に遠ざかりがち。マカロニえんぴつ、back number、DISH//……iTunesのサブスクを利用し、流行曲と関わるように(笑)。子どもたちも知っている曲なので、車内で一緒に歌っています。
車の中で何してる?
ハンド用美容液を塗ったりと、自分を整えてから運転。習い事の送り迎えで子どもが乗車しているときは、調光パノラマルーフをオープンにして空の観察をします。「一番星が出たよ。お月さまが見えるね」など会話が弾みます。
夫婦ともども気分上々↑ハリアーを選び大正解
車で行ったのは?
@ビオセボン 武蔵小杉店
パリ発のオーガニックスーパーマーケット。「武蔵小杉駅そばにあり、県内最大級。アルコール類が充実していて大好きなオーガニックビールや店内で作られるデリを買います」。店内では寄付先を選べるペットボトルのリサイクルも行う。
神奈川県川崎市中原区小杉町3の600Kosugi 3rd Avenue 1F
https://www.bio-c-bon.jp/
3. ケータリング主宰の浅野美奈弥「MINI クロスオーバー」
【車とは…】door-to-doorで行きたい場所へ。車は第二の足ですね
with MINI クロスオーバー
ケータリング「美菜屋」主宰
浅野美奈弥さん
モデル業に加え、食への高い意識や知識を生かして仕出し弁当とケータリング業も行う(https://www.minayainc.com/)。女性限定のランニングサークル「GO GIRL」も主宰する。
行動の範囲も仕事の幅も広がる。車を所有して本当によかった!
3年前、「美菜屋」の開業時に初めて自分の車を所有した浅野さん。「BMWによって開発されているので高性能かつ輸入車の中では燃費もいい『MINI』をチョイス。特にクロスオーバーは、荷室が広くて積み降ろしがしやすいので、荷物が多いケータリング業にぴったり。カーシェアリングを利用する手もありましたが、自分の車だからこそ深夜や早朝のお届けや地方からの依頼にもこたえられる。大きな案件の仕事も受けられるようになり、仕事の幅が広がりました」
多忙な浅野さんを癒すのがドライブで、行き先はスーパー銭湯!
「週1ペースで通っているのが『美しの湯』。思い立ったらすぐに車を走らせ、お風呂やサウナを堪能。公共交通機関を利用しないからこそ、そのまま寝室に直行できるのもマイカーの醍醐味ですね」
荷物が多くてもフットワーク軽く、時短にもなる!
「ケータリングの仕事では、食材のほか調理器具や食器類、包材なども搬入します。トランクが広い『MINI クロスオーバー』は頼りになります」
乾燥しがちな車内では「モアニ・オーガニクス」のミスト化粧水を愛用
車で何聴いてる?
女性アーティストを聴くことが多く、ずっと好きなのは宇多田ヒカルさん。恋愛しているときに聴きたいのは羊文学の「恋なんて」で、まったり気分にはソランジュの「Dreams」
車の中で何してる?
音楽をかけるか「Tokyo FM」を流すことが多いかも。車のサイドポケットには「ロジェガレ」の石けんを忍ばせ、愛用の香水と同じ香りに。「ハイドロフラスク」のステンレスボトルに入れたホーリーバジルのお茶を飲んでリラックス。
大きな車体が好み。次はJeep®が気になる
車で行ったのは?
@高井戸天然温泉 美しの湯
「都心からも近い、地下1600mからくみ上げる天然温泉。温泉の質がいいのはもちろん、絹の湯や炭酸泉などのユニークなお風呂や縄文釜風呂という低温サウナも優秀。露天風呂から望む景色も美しい」。駐車場は5時間まで無料。
東京都杉並区高井戸西2の3の45
http://utsukushi-yu.com
4. 美容エディター&ライターの前野さちこさん「MINI ワン」
【車とは…】車の運転は、ちょっと特別。違う自分になれる気がします
with MINI ワン
美容エディター&ライター
前野さちこさん
美容雑誌の編集者を経て、フリーに転身。洗練された感度の高い誌面づくりに定評あり。メイクアップアーティストのUDA氏による著書『kesho:化粧』(NORMAL)の編集を担当。
車=大人のイメージ。理想の大人にほんの少し近づけたような
20歳で「フォルクスワーゲン」デビュー、25歳から「MINI」とのつきあいが始まった前野さん。
「実家暮らしが長かったせいか、“もうひとつの部屋”が欲しかったのかもしれませんね。『MINI』の魅力は、チャーミングだけど甘すぎない。ハイスペックだけど、クラシック感や遊び心も持ち合わせているところ。『MINI クロスオーバー』から始まり、パリへの留学を機に一度手放しましたが、コロナ禍も重なり、2年前、街乗りに適した『MINI ワン』を再度手もとに」
仕事では撮影用の化粧品を搬入、プライベートでは車好きの友人とそれぞれの愛車で移動しながらショップやレストランを巡る。
「毎日乗るわけではないから、シェアカーのほうが気楽だし、経済的にも負担は少ない。けれど車を所有して運転する行為が、特別感があるというか。思い描いていた理想の大人像に、ちょっとだけ近づけたような気がするんです」
車ってオフィスにも食堂にもなるんです
「『OSAJI』のルームサニタイザーをシュッ。光が降り注ぐ車内は、肌のアラが如実に出がち。『uka』のUVハンドクリームを塗ってケア」
愛用のサングラスは「カーニー」。ダッシュボードのデザインが特徴的な「MINI」ともさりげなくマッチ
車で何聴いてる?
朝の撮影前にSpotifyで聴く「叶姉妹のファビュラスワールド」はホテルの朝食のような贅沢感(笑)。芸人ハライチの「ハライチのターン!」(TBSラジオ)は途中からでも楽しく聴けるのがいい。
車の中で何してる?
気持ちよく移動することが前提だから、車内のインテリアはできるだけすっきり。そのせいか楽しい誘惑が多い家よりも、停車して車内で行うほうが不思議と仕事もはかどる気が。テイクアウトした食事を車内で食べることも多いです。
可愛さも知性もある。やっぱり「MINI」が好き
車で行ったのは?
@BIOTOP TOKYO
敷地内にツリーハウスがそびえる、白金台のプラチナ通り沿いにある複合型ショップ。「服や生活雑貨を見たり、植物を買うことも。3階の『LIKE』でお茶もします。車で行きやすく、駐車しやすいのもありがたい」。大阪、福岡店もあり。
東京都港区白金台4の6の44
https://www.biotop.jp
5. スタイリストの中里真理子さん「日産 セドリック」
【車とは…】長く愛されたこそのオーラがある。ヴィンテージ車の主張が好き
with 日産 セドリック
スタイリスト
中里真理子さん
フードからインテリア、コスメの分野まで幅広く活躍。エッジを効かせながらもストーリーあふれる洗練されたスタイリングが魅力。
https://www.marikonakazato.com
主に仕事は電車、車はプライベートで。それぞれと適度な距離感で
「街中で声をかけられることも多い」中里さんの愛車は、2004年まで製造されていた高級バン。
「購入時はシャンパンゴールドだったものをシルバーに塗装。それ以外のパーツやベロア調のシートは味がありそのまま使用しています」
便利な新車が続々登場するなか、旧車をあるがまま味わう中里さん。
「服も家具も車もヴィンテージが好き。長きにわたって愛され、今もなお残っているからこその風格があり、媚びがない分自分なりに変化させられるから」
また、車とは、適度な距離感でつきあうのも中里さんならでは。
「車は家族4人がともに行動でき、目的地に効率よくたどり着ける便利なもの。だからこそ仕事では、あえて電車に乗ったり、歩くように。電車内でスタイリング案の具体化や読書をしたり。街中を歩くと、意外な発見も多いから」
小さな創意工夫でより居心地よく自分たちらしく
買い物時はエコバッグと、「シアトルスポーツ」の保冷バッグを持参
トランクには毛足の長いじゅうたんを敷いて。愛飲のコーヒーを「リチュアルコーヒー・ミッション」のステンレスボトルに入れて。おやつは「パタゴニア プロビジョンズ」のバー
専用ホルダーはあえてセットせず、巨大なクリップでドリンクをホールド
車で何聴いてる?
“静”の車内で“動”を感じられるから、ずっと大好きな電気グルーヴの「虹」を。あとはロサンゼルスに住んでいたときからよく口ずさんでいたEelsの「Living Life」も聴きますね。
車の中で何してる?
車に乗るのは、買い物と、都心から離れた場所へ遊びに行くとき、小学生の子どもの習い事の送り迎えで。帰りが遅くなる日はお弁当を作っておいて、車内で食べてもらうことも。それができるのも車ならでは。
主張はあるけど媚びない姿に惹かれます
車で行ったのは?
@自宅ヴィンテージマンション
1980年代の名建築である巨大な集合住宅に在住。「運転するのは主に、買い物と子どもにまつわること、あとは家族で遠出するとき。車はCO2の排出量も少なくはないので、近場の用事は、できるだけ電動自転車を使っています」
6. BAILA編集部の肩出しナベ嬢「BMW 116i」
【車とは…】車は“走るワンルーム”。乗るだけでオフモードに
with BMW 116i
BAILA編集部
肩出しナベ嬢
世に出ていない&見逃しがちなアガる・洒落るコスメ発掘好きの美容担当。コスメの撮影搬入はもっぱら自走の編集部きっての車好き。
身長147㎝のミニボディでBMWを乗り回す。
車からは普段とは違う景色が見える。+αの魅力があります
「大学が厚木の山奥にあったので(笑)、車で通学していた」ナベ嬢。18歳から27歳までは「フォルクスワーゲン」の「Golf」、28歳からは今回紹介する「BMW」が相棒だ。
「コンパクトなので街乗りにぴったり。品格あるフォルムやハバナメタリック(現在は廃盤色)の余韻ある色にも惹かれたし、アクセルを踏み込んだときに加速がしやすいので気持ちのよい走行ができる。10年以上のつきあいですが、故障はほぼゼロ」だとか。さらに、「都内の運転も、軽井沢や箱根へのドライブでもずっと私的空間が続くのでリラックスできるし、オフィス街や並木道、坂……公共交通機関では見られない景色が広がる。『逃げるは恥だが役に立つ』の漫画のセリフにありましたが、まさに『あなたが思っているより、ずーっと遠くまで行けるのよ』です」
大好きな運転をさらに快適にするモノ
通風孔には「ディプティック」のカーディフューザーの“34”の香りをセット。「普段からこの香水を愛用していて、車内も同じ香りに。香り方の強弱もつけられるのが◎」
サングラスはマスト。茶色のレンズは「アイヴァン」、ブルーは「ayame」
車で何聴いてる?
晴れた日は『ザ・ベスト・オヴ・シャーデー』でホームステイ先だった西海岸へ脳内トリップ。雨の日は山下達郎さんの「スプリンクラー」。BOOMBOOM SATELLITESの「Girl」で気分爽快!
車の中で何してる?
運転するというひとつのことに集中しているせいか、頭の中がクリアになり考え事がまとまる気がします。本日のToDoを整理しながら、好きな音楽を聴きながら好きな道を走る。ついでに車内で歌ったりもします(笑)。
車は完全なる一人時間もうひとつの部屋です
車で行ったのは?
@mitsouko
「4〜5年前からお世話になっているヘアサロンで、オーナーの工藤耕成さんにおまかせ。カット後に近所の花店『マチルダ』に立ち寄るのが休日の定番コース。車があると、ダイナミックな花や大ぶりの枝モノも躊躇なく買えるのがいい」
東京都目黒区青葉台1の16の15栄荘1F
https://mitsoukohair.com
撮影/NAE. 、嶌原佑矢 取材・原文/広沢幸乃 ※BAILA2022年3月号掲載