「読書やラジオを聴いたり、絵を描くことが好きです」と博学な一面が光るモデルであり俳優の中川大輔くん。小説から図集まで幅広いジャンルからセレクトした「寝る前に読みたい4冊」と中川くんのおすすめポイントを教えてくれました。
読書好きの中川くん、今夜は何を読んでいるの…?
『夢十夜・草枕』
夏目漱石著
集英社文庫 440円
「『夢十夜』は、夢に現れた10の不思議な世界が綴られています。明治時代に書かれた作品ですが、とてもわかりやすいストーリーで読みやすかったです。漱石の名作といわれるだけあって、言葉選びに美しさがあり、みやびな情景が浮かびロマンチックさを感じました。朗読は初体験だったので緊張しました!」
中川大輔くんの寝る前に読みたい4冊
“感情を少しだけくすぐるような僕なりの心地よさを感じる本を選んでみました”
(左から順に)
『デッドエンドの思い出』
よしもとばなな著 文春文庫 726円
「共演者の方にすすめられた短編集。1エピソードごとに、ちょっと不思議な要素が盛り込まれているところに魅力を感じます。お気に入りは『幽霊』。見過ごしがちな小さな幸せを感じられて、心がふわっと温かくなります」
『建築家なしの建築』
B・ルドフスキー著 渡辺武信訳 鹿島出版会 2200円
「世界各地の無名の工匠たちの土着建築を紹介した図集。見ていると旅をしている気分になれる、写真集のような一冊です。建物にまつわるエピソードには言葉の語源が触れられていたり、色々な楽しみ方ができます」
『グレート・ギャツビー』
スコット・フィッツジェラルド著 村上春樹訳 中央公論新社 1100円
「1920年代のアメリカが舞台の作品で、その時代を描いた物語に引き込まれます。村上春樹訳ならではの言葉選びや文体も好き。翻訳者、小説家としての村上春樹の創作論が語られているあとがきも、深く読みました」
『経験 この10年くらいのこと』
上田晋也著 ポプラ社 1540円
「プライベートの上田さんを知ることができるエッセイ。中でも昔ばなしの『桃太郎』や『浦島太郎』などを取り上げて、ストーリーにツッコミを入れる章がお気に入りです! くどくどしい言い回しの上田節が炸裂しています」
“ベッドで寝転んで読みますよ〜”
読書は瞑想に近いと語る中川くん。
「本は移動中に読むことが多くて、よく読むのは歴史小説。高校生の頃、父の本棚にあった司馬遼太郎作品から読書の魅力にはまっていきました。『竜馬がゆく』は特に好きな作品で、読み終わると不思議と自分に自信がついた気分になれて(笑)。今、また読み直しています。
本と向き合う時間は、世界観に浸れて余計なことを考えなくてすむし、頭がクリアになっていく感覚が瞑想に似ていると感じます。今回は『寝る前に読みたい本』というお題なので……歴史小説ではなく、ちょっと違う視点で選びました。
大学で建築を専攻していて、建築にまつわる本とはたくさん出会いましたが『建築家なしの建築』はぱらぱら読んで楽しめるので寝る前にちょうどいいと思い、選んだ一冊。建築家が存在しない時代の建築物が写真で紹介されていてどれも面白いんです。建物の背景を想像しながら目で追っているだけでわくわく。
『グレート・ギャツビー』との出会いは、好きな映画のひとつ、ウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』から。劇中で『グレート・ギャツビー』の著者であるスコット・フィッツジェラルドが主人公の尊敬する人として描かれていて。どんな作品を書くのか興味が湧いて調べると、好きな作家の一人である村上春樹の訳があると知り、すぐに読みました。村上作品ほどSFの要素は少なく、文体も寝る前にちょうどいいなと。
『デッドエンドの思い出』は、夢みたいな不思議な話が夜にぴったりな作品です」
ラジオ好きな一面から選んだ一冊も。
「自宅で作業するときにラジオをよく流していて。中でもくりぃむしちゅーさんのラジオ番組が好きなんです。上田さんのテレビで司会をされているときとはまた違う、リスナーに突っ込まれる姿や、豪快な毒舌がたまらない。エッセイではそんな上田さんの人柄が感じられ、思わずクスッと笑えるので、リラックスできると思います。
僕も今、仲よしの編集さんと一緒に『メンズノンノラジオ』をポッドキャスト配信でやっていて。楽しんでお届けしてるので、ぜひ、聴いてもらえると嬉しいです」
“俺が読んだ4冊どうですか?”
俳優、MEN'S NON-NO専属モデル
中川大輔
1998年1月5日生まれ、東京都出身。2016年、MEN’S NON-NOのオーディションでグランプリを受賞後、俳優、MEN'S NON-NO専属モデルとして活躍。現在、Amazon Original連続ドラマ「モアザンワーズ/More Than Words」にて福長永慈役で出演中。
ニット¥30800・中に着たカットソー¥11000 /バトナー
撮影/花村克彦 ヘア&メイク/髙田将樹 スタイリスト/門馬ちひろ 取材・原文/木村真悠子 ※BAILA2022年11月号掲載