ところが、先日出会った恩田陸さんの最新刊『蜜蜂と遠雷』は、もう一気読み。
内容はうまくお伝えできる自信がないので省略しますが、読みながら感じたのは、小説を読む楽しさってこういうことだったな、ということ。聴こえない音楽を文字で表現しているわけですが、そのせいで、かえって想像力を掻き立てられた。奏でられたはずの音楽が、色や匂いや景色を持って感じられてくるんです。読み進むにつれて、自分もピアノを弾きたくなったし、これは映像化はできない世界だなと思ったり。中でも、際立って思い出したのが、ある一冊のマンガでした。
一色まことさん作の『ピアノの森』。こちらも若手ピアニストがコンクールに挑む話なのですが、こちらは音楽を音のないままに想像の羽を大きく広げてビジュアル化してくれていて、ともに自然と音楽との共生というか一体感みたいなものを感じさせてくれます。
こうやって、芋づる式につながっていくのも読書の楽しみ。どちらもオススメ!
上記の記事を書いた10月には想像もしていませんでしたが、恩田陸さんが、この作品で直木賞を受賞されました! 恩田さんが、今頃?! と思わなくもありませんが、文句なしの受賞だったに違いありません。本当に読み応えのある一冊なので、ぜひ手に取ってみてください!(副編ナカディ)