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アカデミー賞でますます注目! 大ヒット『インサイド・ヘッド2』から3月20日公開実写版『白雪姫』まで「ディズニー・アニメーション」100年のレガシー

いよいよ3月2日(現地時間)に、世界で最も注目が集まる映画の祭典、第97回アカデミー賞の授賞式が開催されます。ディズニーからはディズニー&ピクサーの『インサイド・ヘッド2』が長編アニメーション部門にノミネート! 

ディズニーの心臓とも言うべき世界最高峰の品質を誇るアニメーション映画のラインナップは、アカデミー賞長編アニメーション映画部門の歴史そのものと言っても過言ではありません。

ディズニー・アニメーション・スタジオと、ディズニーが誇るピクサー・アニメーション・スタジオの栄光の歴史と特色を振り返りながら、伝統と革新の融合により進化を続けるディズニー・アニメーションの真価について、20年以上にわたり映画・海外ドラマの最先端を取材&執筆している今 祥枝さんが解説します!

映画 モアナと伝説の海2 海を旅するモアナの写真

南の島に暮らすモアナの大海原の冒険を描いた『モアナと伝説の海』(2016年)の続編、『モアナと伝説の海2』(写真)。昨年12月に公開され今なお観客動員数を伸ばし続けており、1月には世界興行収入が10億ドルを突破! これまでのディズニー・アニメーション作品としては『アナと雪の女王』『ズートピア』『アナと雪の女王2』に続く4作品目の数字で、まだまだ記録更新中だ。2026年劇場公開予定で実写版の企画も進行中!

目次

  1. 『白雪姫』『シンデレラ』から『モアナと伝説の海2』まで。業界をリードし続けるディズニー・アニメーションの中心にあるヒロインの変遷と先進性
  2. BAILA世代も共感!アカデミー賞ノミネートで話題の『インサイド・ヘッド2』ほかピクサー作品が大人の心に刺さる理由
  3. 『白雪姫』が3月20日に公開! 実写で受け継がれるディズニー・プリンセスのレガシー

『白雪姫』『シンデレラ』から『モアナと伝説の海2』まで。業界をリードし続けるディズニー・アニメーションの中心にあるヒロインの変遷と先進性

ディズニー・アニメーションの最大の魅力は、観客の心をとらえて話さないヒロイン、覚えやすく耳に残る音楽(ミュージカル)、そして常に最先端をいく映像技術の融合にあります。

だからこそ批評家が絶賛するクオリティの高さはもちろんのこと、現在日本でも大ヒット公開中の『モアナと伝説の海2』が世界興行収入で10億ドル突破の記録を樹立しているように、世代も国境も超えて不朽の名作として愛されているのです。

このアワードシーズンに、改めてディズニー・アニメーションの強さの秘密を振り返ってみましょう。

1923年にウォルト・ディズニーとロイ・O・ディズニーの兄弟によって設立されたウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオは、創業以来、先駆者として100年以上にわたり、業界をリードする存在です。その中でも、しばしば社会をも動かす大きな影響力を持つのが、時代とともに変化してきたディズニーが描くヒロイン像です。

  • 映画 アナと雪の女王 エルサの写真

    アンデルセンの童話『雪の女王』からインスパイアを受けた2013年の『アナと雪の女王』。第86回アカデミー賞で長編アニメ映画賞と、王女エルサ(イディナ・メンゼル)が歌う「レット・イット・ゴー~ありのままで~」が歌曲賞を受賞。世界中で社会現象を巻き起こす、歴史を変える一作となった。

世界初の長編カラーアニメーション映画『白雪姫』から始まったディズニー・プリンセスの伝統

2023年に100周年を迎えたディズニーの長い歴史において、最初に大きく飛躍する転機となったのが、1937年公開の世界初の長編カラーアニメーション映画『白雪姫』です。

映画 白雪姫 アニメーション 白雪姫と王子の写真

グリム兄弟による童話を原作とした、ディズニーの長編映画第1作目『白雪姫』。世界初の長編カラーアニメーション映画で、映画史に残る名作の誉高い。挿入歌の「いつか王子様が」や「ハイ・ホー」などもよく知られている。第10回アカデミー賞でフランク・チャーチル、レイ・ハーライン、ポール・J・スミスが作曲賞にノミネートされた。

4年もの歳月をかけて巨費を投じた社運を賭けた『白雪姫』は、空前の大ヒットを記録しました。とりわけ、音楽と人物、動物たちなどのキャラクターが見事に調和したミュージカル的な美しい映像世界は、今観ても色褪せない質の高さに驚かされます。当時として、多くの観客はもちろんのこと、どれほど多くの業界人に影響を与えたであろうことは容易に想像できます。

『白雪姫』が象徴するスタイルは、クラシック音楽に合わせて物語が繰り広げられる映画『ファンタジア』(1940年)や『バンビ』(1942年)など、その後の作品に受け継がれていきました。

そして、ディズニー・プリンセスのブランドを決定づけたのが1950年に公開された『シンデレラ』でしょう。私は大人になってからこの作品を観たのですが、シンデレラが魔法の力でアイシーブルーのドレスをまとうシーンに心を奪われました。なんと繊細で、はかなくも美しい夢を見せてくれるのかと、半世紀も前の作品に心底感嘆したものです。初の70mmフィルムによる大画面の映画『眠れる森の美女』(1960年)も、忘れ難い永遠のプリンセスですよね。

ディズニーはほかにも2D(手描き)アニメーションの定番となった多くの技術、手法、コンセプトを開発・確立しながら、今のハリウッドのアニメーション作品の礎を築き上げました。同時に、『ピーター・パン』(1953年)や『わんわん物語』(1955年)から実写とアニメーションの合成映画『メリー・ポピンズ』(1964年)まで、時代時代においてテクノロジーの革新に挑み続けて業界をリードする存在に。しかし、その核となるのは、常に魅力的なキャラクターと万人の心を打つ優れたストーリーなのです。

映画 シンデレラ アニメーション 魔法でドレスを着たシンデレラの写真

シャルル・ペローの童話をもとに、ウォルト・ディズニーは構想に27年、制作に5年の歳月をかけて完成させた。馬のメジャーや犬のブルーノなどの動物たちはディズニーオリジナルのキャラクターである。映画はミュージカル仕立てになっており、挿入歌の「ビビディ・バビディ・ブー」が収録されたレコードも好評で、第23回アカデミー賞で歌曲賞ほか3部門にノミネートされた。

画期的なヒロイン誕生! 『リトル・マーメイド』で幕を開けたディズニー・ルネサンスと呼ばれる第2黄金期

いつの時代にも伝統を守りながら最先端を行くディズニー・アニメーションが、再び大きな転機を迎えたのが1989年に公開された『リトル・マーメイド』です。

時代が激しく移り変わっていく中で、原点と言えるプリンセスの物語に回帰するのですが、そのヒロイン像は従来とまったく異なるものでした。受け身で理想の王子様に選ばれるのを待つ存在ではなく、主体的に幸せをつかみ取りに行く、極めて現代的な主人公アリエルの誕生です。

映画 リトル・マーメイド アニメーション 海の中のアリエルの写真

『眠れる森の美女』(1960年)のオーロラ姫以来のディズニープリンセスとなった『リトル・マーメイド』のアリエル。海の王トリトンの七人娘の末姫で、海辺の王国の王子エリックに恋をする。主題歌「アンダー・ザ・シー」がアカデミー歌曲賞、アラン・メンケンが同賞作曲賞を受賞。歌曲賞ではもう一つの名曲「キス・ザ・ガール」でもメンケンとハワード・アシュマンがノミネートされた。

本作はアンデルセンの童話『人魚姫』を基にしていますが、童話ではラストで愛する王子の幸せのために海の泡と消えるはずの人魚姫が、魔法で人間となり、周囲の祝福を受けて王子と結婚式を挙げるという、真逆のハッピーエンド! 公開当時、私はとても驚きましたが、同時に自己犠牲の悲劇に終わるのではなく、前向きで明るく、エネルギッシュに未来を信じるアリエルのキャラクターこそが、新しい時代のヒロインなのだと共感しました。

爆発的なヒットとなった本作を皮切りに、ディズニーは『美女と野獣』(1991年)ベル、『アラジン』(1992年)のジャスミンと自らの意志で人生を切り開いていく新たなディズニープリンセスのヒット作を立て続けに世に放ち、ディズニー・ルネサンスとも言われる第2黄金期を邁進するのでした。

この成功の大きな要因の一つに、ハワード・アシュマンとアラン・メンケンの作詞・作曲コンビによる素晴らしい楽曲と、彼らが生み出した新たなミュージカルのスタイルがあります。ディズニー・アニメーションには常に音楽がありましたが、基本的に物語の進行を中断して歌を一曲歌い上げるスタイルでした。しかし、ミュージカルの舞台『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の経験を持つアシュマン&メンケンの大胆な起用により、流れを中断することなく楽曲を通じて物語を伝える、音楽が物語を推進するというスタイルをアニメーション映画として確立したのは画期的なことでした。

以降、新たなミュージカルのスタイルを継承、発展させながら、時代はCGアニメーション全盛時代へと突入していきます。

映画  美女と野獣 アニメーション ダンスを踊るベルと野獣の写真

『美女と野獣』は、フランスの同名民話をもとにした1991年の大ヒット映画。魔女によって城全体が魔法にかけられ、恐ろしい野獣に姿を変えられた王子と、読書と空想が好きな父親思いの娘ベルの「真実の愛」をめぐる物語。映画としての完成度が非常に高く、第64回アカデミー賞でアニメーション映画として史上初の作品賞にノミネートされる快挙となった。同賞ではアラン・メンケンが作曲賞、メンケンとハワード・アシュマンが歌曲賞を受賞した。

映画 アラジン アニメーション アラジンとジャスミン王女の写真

1992年に公開された『アラジン』は、『千夜一夜物語』の『アラジンと魔法のランプ』に基づくディズニー・ルネサンス期の不朽の名作の1本。 天涯孤独の青年アラジンと魔法のランプに宿る青い魔神のジーニー、そして国王サルタンの娘ジャスミン王女の冒険。アカデミー賞でアラン・メンケンが作曲賞、「ホール・ニュー・ワールド」で作曲メンケンと作詞ティム・ライスがアカデミー賞歌曲賞を受賞した。

社会の価値観の変化を反映。姉妹の関係を軸とする物語『アナと雪の女王』が世界に与えたインパクト

映画とはテクノロジーの進化の賜物ですが、アニメーション映画の歴史はまさに技術革新とともにあります。

3DCGで描かれた初のディズニープリンセスとなったのが、2010年の『塔の上のラプンツェル』です。ラプンツェルの長さ21メートルものブロンドヘアが美しく波打つ動きや質感に、このようなアニメーションの表現があるのかと驚かされたものでした。

このような技術革新の過渡期に、またしてもディズニーから時代の何歩も先を行く名作が誕生しました。アンデルセンの童話『雪の女王』にインスパイアされた『アナと雪の女王』(2013年)です。

雪や氷を作る魔法の力を持って生まれ、素手で触れたものを凍らせてしまうアレンデール王国の王女エルサと、明るく姉思いの妹アナの姉妹にフォーカスした物語は、基本的にヒロインと王子様の関係性を軸にしたそれまでのディズニープリンセスのストーリーとは一線を画す画期的なものとして、世界中の観客に熱狂的に歓迎されました。

ハリウッドでは本作の公開から4年後の2017年には#Metoo運動が大きなうねりとなって業界だけでなく社会にも変革を促しますが、『アナと雪の女王』はそうした時代の空気を先取りする形で、女性が男性と結ばれることを必然的なハッピーエンドとせず、シスターフッドの物語として古典を現代に甦らせました。

特に、他者に理解されず、心を閉ざしたエルサが思う存分力を解き放って歌う「レット・イット・ゴー~ありのままで~」のシーンは、圧巻の映像美とキャラクターの心情の細やかな描写、そしてエルサ役のイディナ・メンゼルのパワフルな歌声が「ありのままの自分でいること」の素晴らしさを伝えて、思い出すだけでも鳥肌が立つほどの名場面です。

『アナと雪の女王』は第86回アカデミー賞長編アニメーション映画賞と「レット・イット・ゴー~ありのままで~」が主題歌賞を受賞。2019年には続編が公開されたほか、3作目と4作目の企画も現在進行中です。

2010年代以降は、『ベイマックス』(2014年)『ズートピア』『モアナと伝説の海』(ともに2016年)『ミラベルと魔法だらけの家』(2021年)といったアカデミー賞に輝く作品を含む傑作が数多く生まれました。公開中の『モアナと伝説の海2』の主人公モアナは、特に女性なのか男性なのかといったことは関係なく、冒険物語の主人公として大海原で船を操る姿も超かっこいいキャラクターです。2020年代後半はどのような新たなヒロイン像を見せてくれるのか、期待したいですね!

映画 塔の上のラプンツェル アニメーション 自分の姿を鏡で見るラプンツェルの写真

グリム童話の『ラプンツェル(髪長姫)』をベースにした『塔の上のラプンツェル』は、ディズニー・アニメーション・スタジオの長編アニメーション第50作に当たる。高い塔に閉じ込められている、魔法の力を宿した金色の髪を持つ少女ラプンツェルの冒険を描く。

映画 アナと雪の女王2 アニメーション アナとエルサの姉妹の写真

『アナと雪の女王』の続編『アナと雪の女王2』では、深い絆で結ばれたエルサとアナの姉妹が、エルサの魔法の力の秘密を解き明かす新たな冒険を描く。エルサの声は前作に引き続きイディナ・メンゼル、アナの声はクリスティン・ベル。劇中歌を手がけたのはブロードウェイで活躍するクリステン・アンダーソン=ロペスとロバート・ロペス。

映画 ミラベラと魔法だらけの家 ミラベラの魔法の家の写真

『ミラベルと魔法だらけの家』(2021年)は、南米コロンビアの奥地にある、魔法に包まれた不思議な家に暮らす少女ミラベルの活躍を描く。リン=マニュエル・ミランダが劇中のミュージカル楽曲を担当。第94回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した。

ウォルト・ディズニー・アニメーションをディズニープラスで視聴するならこちらから

『モアナと伝説の海2』作品情報

映画 モアナと伝説の海2 海で船を操るモアナの写真

活発で責任感が強く、誰よりもやさしくて勇気があるモアナ。波を乗りこなし、仲間たちと協力しながら愛する家族と島の人々と世界の架け橋になる姿は、今の時代に必要なリーダー像を思わせる。

『モアナと伝説の海2』
監督:デイブ・デリック・ジュニア
音楽:アビゲイル・バーロウ、エミリー・ベアー、オペタイア・フォアイ、マーク・マンシーナ
声の出演:アウリイ・クラヴァーリョ、ドウェイン・ジョンソン、フアラーライ・チョンほか
日本版声優:屋比久知奈、尾上 松也、小関裕太、鈴木梨央、山路 和弘、ソニン、 増留優梨愛ほか
 © 2025 Disney 

『モアナと伝説の海2』の公式サイトはこちら

BAILA世代も共感!アカデミー賞ノミネートで話題の『インサイド・ヘッド2』ほかピクサー作品が大人の心に刺さる理由

ディズニーが擁するピクサー・アニメーション・スタジオの作品もアカデミー賞の常連です。第97回アカデミー賞の長編アニメーション部門には、大ヒット映画の続編『インサイド・ヘッド2』がノミネートされており、受賞のゆくえに注目が集まっています。

ピクサーには、『トイ・ストーリー』シリーズ、『モンスターズ・インク』シリーズ、『ファインディング・ニモ』から『Mr.インクレディブル』など、誰もが知っている人気のタイトルが多くあります。それらのすべてを振り返ることは難しいので、ポイントを3つに絞って、ピクサー作品が大人の観客にこそ観て欲しい理由を紹介したいと思います。

大人を癒す、誰もが共感できる普遍的なストーリー

子どものおもちゃや車、動物などを擬人化して、カラフルでユニークなキャラクターたちが活躍するピクサーの作品は、子どもなら誰もが大喜びして観る優れたエンターテインメントです。

極端に言えば、内容が完全に理解できなくとも、動いている画を眺めているだけで楽しくて無条件に心がウキウキする。それはもちろん、大人が観ても童心に帰って楽しめるものではありますが、ピクサーは付き添いで観に行った親たちの方が子ども以上に感情を揺さぶられ、涙にくれてしまうような魅力がありますよね。

映画 インサイド・ヘッド2 ライリーの頭の中にいる擬人化した感情たちの写真

ピクサーの支柱であるピート・ドクターが監督・脚本・原案・声の出演も務めた2015年の『インサイド・ヘッド』は、第88回アカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞。『インサイド・ヘッド2』はケルシー・マン監督にバトンタッチし、ドクターは製作を務めて第97回アカデミー賞長編アニメーション映画賞にノミネートされている。

人間の中にある感情たち、ヨロコビやカナシミなどを擬人化して、ライリーという一人の少女の成長を描いていく『インサイド・ヘッド』の続編『インサイド・ヘッド2』は、とりわけ大人が心の奥にしまって忘れかけている大切なものを呼び覚ます作品だと思います。

13歳になったライリーは思春期に突入し、新たに大人の感情たち、シンパイやハズカシなどが登場。シンプルだったライリーの感情は複雑になり、不安や疑心暗鬼、羞恥心や嫉妬などに頭の中が支配されそうになりパニックに陥ります。本来の自分が持っていた気質と、成長することによって付随するその他の感情によって、人間は子ども時代と決別し、大人になっていくわけですが、その過程でもしかしたら人は多くの大切なことを失ってしまったのではないか。そんなことに思いが至って、少しだけ今の社会に感じている生きづらさの理由がわかる気がするのかもしれません。

あまりにもシンプルな言い方になりますが、私は本作を観て思いがけず涙しながら、「こんな感情にさせてくれるピクサーって本当にすごいなあ」とあらためて思ったのでした。子ども心を思い出すと同時に、大人にとっては一種のセラピーのような効果がある。『インサイド・ヘッド2』は、そんなピクサーの本懐と言えるでしょう。

『インサイド・ヘッド2』の紹介記事はこちら
映画 インサイド・ヘッド2 ライリーの頭の中にいる擬人化した感情たちの写真

魂の世界に、元素の世界!どんなアイディアも映像化するピクサー・アニメーションの技術

もともとCGI制作会社から出発したピクサーが、ディズニーの子会社となったのは2006年のこと。ですが、ディズニーは初期からのピクサーの顧客であり、1995年にはディズニーとピクサーの共同制作で世界初の長編フルCGアニメーション映画『トイ・ストーリー』が公開されました。本作は予想をはるかに上回る大ヒットを記録して社会現象となり、アニメーション映画の歴史を変えました。

以来、ピクサーは実験的な精神を忘れず、文字どおり誰も見たことがないような映像表現で私たちを魅了しています。第93回アカデミー賞長編アニメーション映画と作曲賞を受賞した『ソウルフル・ワールド』(2020年)は、『インサイド・ヘッド』のピート・ドクターが構想から23年、制作に約3年かけた入魂の一作です。

人間が生まれる前の「ソウル(魂)」たちの世界を舞台に、そこに迷い込んだジャズミュージシャンを夢見る音楽教師の心の旅路を描いた異色作です。死生観や生きる意味を問い直しつつ、日常の中で人生のきらめきを見失っている人の魂を揺さぶる普遍的な感動はピクサー印ですが、想像の世界であるソウルたちの幻想的な世界にジャズ・ピアニストのジョン・バティステが担当する音楽が、他のピクサー作品とは一線を画す世界観を構築しています。

映画 ソウルフル・ワールド 生まれる前の魂たちがいる世界の写真

『ソウルフル・ワールド』のワンシーン。監督ピート・ドクターはこれまでに、『カールじいさんの空飛ぶ家』、『インサイド・ヘッド』、『ソウルフル・ワールド』で3度のアカデミー賞を受賞。ほかにも『トイ・ストーリー』シリーズや『メリダとおそろしの森』など多くの作品をプロデュースしているピクサーの要だ。

もう一つ、近年で私が映像表現として驚かされたのは『マイ・エレメント』(2023年)です。舞台は火・水・土・風の4つのエレメント(元素)が暮らすエレメント・シティ。移民の両親を持つ火の少女エンバーは、裕福なやさしい水の青年ウェイドに出会い、引かれ合います。

場面写真を見ただけでもわかるとおり、ピーター・ソーン監督が目指す映像世界はかなり野心的です。ゆらゆらと立ち上がる炎と常に流動する水の描写は、背景が部分的に透けて見えることも含めて、純粋にどうやったらできるのだろうと興味を掻き立てられます。交わることが許されない異なるエレメントの二人の交流は、明らかに現実社会を反映しており、さまざまなメッセージが読み取れるでしょう。しかし、何よりも既存の枠にとらわれず、映像表現の革新に果敢に取り組む精神にピクサーの真価を感じるのです。

映画 マイ・エレメント 火の少女エンバーと水の青年ウェイドの写真

移民として苦労した家族のために、火の街で父の店を継ぐ夢を持っている火の少女エンバーは、自由な心を持つ水の青年ウェイドと出会い、自分が知らなかった世界の広さに触れて自らに生き方を自問自答する。監督・原案は『アーロと少年』のピーター・ソーン、製作総指揮はピート・ドクターほか。

メキシコ、中国系…時代の変化を反映した、多様な人種や文化的ルーツを描く

多様な人種や文化的ルーツを意識した作品作りは、今の時代には必須の要素ですが、登場人物の一人がそういう設定であるとか声のキャスティングがそうであるといったことだけでなく、ピクサーには作品全体でその文化の正しい描写や根底にある思想、考え方などを理解しながら普遍的なメッセージを伝える作品にも挑戦しています。

『リメンバー・ミー』(2017年)は、メキシコの祝日「死者の日」を題材に、天才的なギターの才能を持つ少年ミゲルが楽しく美しい「死者の国」へと迷い込んでしまう冒険を描きます。ガイコツのキャラクターが多く登場し、明るいミュージカル作品ながらもメキシコ人の家族観や死生観が強く伝わる内容。独特の文化に感じられる一方で、日本人にとっては日本のお盆行事を思い出させるものもあり、遠いようで近いものがある異文化を興味深く観ることができます。

中国系カナダ人で13歳のメイが主人公の『私ときどきレッサーパンダ』(2022年)も、これまで描かれることの少なかった、アジア人の親にありがちだとされる、伝統を重んじ、子どもへの教育も熱心でしつけにも厳しい母親とメイの関係を描いている点に新鮮味があります。思春期の子と親の関係性には普遍性がある一方で、アジア系ならではの伝統的な考え方や文化の違いによって、ほかの友達と常識が異なることから生じる葛藤がリアルで、多くの移民の2世、3世たちから「よくぞ描いてくれました!」といった絶賛の声を集めました。

今夏には、宇宙に転送される孤独な少年を描いたピクサーの新作映画『星つなぎのエリオ』が公開予定。どんな映像世界を見せてくれるのか、楽しみですね!

映画 リメンバー・ミー メキシコ人のミゲルがギターを弾いている写真

『トイ・ストーリー3』でアカデミー賞を受賞したリー・アンクリッチ監督による『リメンバー・ミー』は、劇中歌「リメンバー・ミー」の作詞・作曲を『アナと雪の女王』のクリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペスが担当。第90回アカデミー賞では長編アニメーション賞と主題歌賞を受賞した。

映画 私ときどきレッサー・パンダ 巨大なレッサー・パンダと子供たちの写真

『私ときどきレッサーパンダ』の監督は、ピクサーの短編『Bao』を手がけ、アジア系女性で初めてアカデミー短編アニメーション賞を受賞したドミー・シー。アジア系カナダ人のメイは、親の前で本来の自分を出すことができずに葛藤を抱えている。そんな中、突然レッサーパンダに変身してしまったことから起こる騒動を描く。

ピクサー・アニメーション・スタジオの作品をディズニープラスで視聴するならこちらから

『白雪姫』が3月20日に公開! 実写で受け継がれるディズニー・プリンセスのレガシー

2023年に100周年を迎えたディズニーのレガシーは、技術革新とともに世代を超えて受け継がれてきました。新たな層にアプローチし、次の100年へと名作を伝えていく方法の一つとして、名作アニメーションの実写映画化があります。3月20日に公開される不朽の名作『白雪姫』の実写映画の概要を紹介します!

映画 白雪姫 実写版 日本ポスターの写真

『バービー』のグレタ・ガーウィグが共同脚本を手がける、新時代のディズニープリンセス

1937年に発表されたディズニー初の長編映画にして、世界初の長編カラーアニメーション映画『白雪姫』。世界中の人々から愛される白雪姫の物語が、新たなミュージカル版として『アメイジング・スパイダーマン』シリーズや『(500)日のサマー』のマーク・ウェブ監督、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』や『バービー』のグレタ・ガーウィグと『ガール・オン・ザ・トレイン』の脚本家エリン・クレシダ・ウィルソンの共同脚本によって現代に蘇ります。

主演は、『ウエスト・サイド・ストーリー』で抜群の歌唱力を披露して一躍注目を浴びたレイチェル・ゼグラー。ディズニーヴィランズの中でも特に人気が高い女王を『ワンダーウーマン』のガル・ガドット、白雪姫の"運命の人"ジョナサンをトニー賞に輝くアンドリュー・ブルナップが演じます。プレミアム吹替版では、白雪姫役を吉柳咲良、女王役を元宝塚歌劇団月組トップスターの月城かなと、ジョナサン役を「JO1」のメインボーカルを務める河野純喜らが声優として参加することも話題です。

アニメーション映画の珠玉の楽曲に加えて、『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』のベンジ・パセックとジャスティン・ポールによる新曲もあるとのこと。ミュージカル映画としても期待が募ります!

『白雪姫』作品情報

『白雪姫』2025年3月20日全国公開
監督:マーク・ウェブ
脚本:グレタ・ガーウィグ、エリン・クレシダ・ウィルソン
音楽:ベンジ・パセック、ジャスティン・ポール
出演:レイチェル・ゼグラー、ガル・ガドット、アンドリュー・ブルナップほか
© 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

『白雪姫』の公式サイトはこちら

読者の皆さんがお気に入りの映画もあれば、観逃していた話題作や知らなかった名作もあったはず。このアワードシーズンにぜひ、ディズニーアニメーション、ピクサー作品の魅力的な作品ラインアップを振り返ってはいかがでしょうか。

ディズニープラスで配信中! 作品情報

『モアナと伝説の海』『モアナと伝説の海2』『アナと雪の女王』『アナと雪の女王2』『白雪姫』(1937)『シンデレラ』『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』『塔の上のラプンツェル』『ミラベルと魔法だらけの家』
 © 2025 Disney 

 

『インサイド・ヘッド2』『ソウルフル・ワールド』『マイ・エレメント』『リメンバー・ミー』『私ときどきレッサーパンダ』
© 2025 Disney/Pixar

 

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