職場でも、プライベートでも、褒め&褒められ上手さんは人間関係が良好で、仕事も順調そう。とはいえ、上手な「褒め」も「褒められ」も実は難しい。褒められるのが苦手というB子さんが、褒められたときどう対応したらいいのか、コミュニケーションがうまくなるポイントを“褒め方の伝道師” 谷口祥子さんに伺いました!
答えてくれたのは褒め方の伝道師
谷口祥子さん
プロコーチ・セミナー講師。30代前半までコミュニケーション下手で悩んでいたが、コーチングに出会って人間関係が180度変化。著書に『ほめ方のルール』(明日香出版社)など。
【お悩み2】褒められると反応に困るんです…
「部署の上司や先輩から褒められるのが苦手。『頑張ってるね』と言われても、『まだまだです!』と恐縮。言葉の裏を考えて『もっと働けって意味?』と不安になったりも」B子(30歳・金融)
B子 職場で褒められると、どう返したらいいかわからなくて。いつも否定するんですが、微妙な空気が漂ってしまいます。
谷口 たとえば、B子さんはどんなふうに褒められるんですか?
B子 上司や先輩に「最近、頑張ってるね」と声かけしてもらうんですが、「全然そんなことないです!もっと頑張ります!」と返すのがお決まりのパターンです。
谷口 「頑張っている」の基準は、人それぞれですよね。B子さんの自己評価は「まだまだ」なのに、他者評価はその基準よりも高めであることに抵抗を感じて、謙遜してしまうのかも。
B子 そうかもしれません。だけど、たとえ実際に充分努力していたとしても、厚かましくて「はい」とは言えない性格です……。
谷口 B子さんは、「自分に意識が向いている」んですね。自分の考えはいったん置いておき、「相手がなぜ褒めてくれたのか」に意識を向けてみてください。そこには、肯定的な意図があるはず。せっかく褒めてくれたのだから、まずは「ありがとうございます」、「うれしいです」と受け止めてみませんか?
B子 確かに、自分の自分に対する評価までは、相手からしたらどうでもいいですしね。
谷口 プラスαでつけ加えるなら、「○○さんにそう言ってもらえるなんてうれしいです!」とか、「○○さんを見習ってますから!」と言うのもおすすめです。
B子 なるほど!
谷口 どちらも恐縮するのではなくて、相手が「褒めてよかったと思える返し」というところがポイントなんです。褒め言葉をちゃんと受け止めて、さらに相手を喜ばせることができたら、相手も気分がよくなり、また褒めたくなりますよ。
B子 これからは褒めてくれた人の気持ちを優先的に考えて、受け答えしてみますね。
谷口 そうそう。たとえば、初対面の場でB子さんと仲よくなりたくて、褒めてくれた相手の気持ちを考えてみてください。実は褒め下手なのに、一生懸命褒めようと頑張ってるとしたら……?
B子 そこで私が全否定したら、終わりですね(苦笑)。これからはお礼を言うようにします! 私、自分自身が褒められると恐縮するタイプだから、誰かを褒めることにも躊躇していたんです。言われても返しに困るだろうなって。
谷口 褒められ下手さんは、褒め下手さんでもあるんですよね。でも、意識が変わるとどちらもいけそうな気になってきませんか?
B子 はい! 先生のお話を伺い、褒められることへの抵抗がなくなったおかげで、人を積極的に褒められそうな気がしてきました。ありがとうございました!
全力で否定する
否定するとそこで会話がストップ。褒め言葉も宙に浮いてしまう
素直に受け止める
自分の気持ちはさておき、感謝の気持ちを伝えるといい雰囲気に
イラスト/りゃんよ 取材・文/櫻木えみ 構成/斉藤壮一郎〈BAILA〉 ※BAILA2019年11月号掲載