褒め上手な人は職場での人間関係も円滑そう…。でもうまく褒めるって難しい! 褒め下手なBAILA読者がお悩みを相談したのは、セミナー講師の谷口祥子さん。自身も30代前半までは褒め下手だったという谷口さんがアドバイスしてくれた、褒め上手になるための心がけや今すぐ使える褒め方は必見です。
答えてくれたのは褒め方の伝道師
谷口祥子さん
プロコーチ・セミナー講師。30代前半までコミュニケーション下手で悩んでいたが、コーチングに出会って人間関係が180度変化。著書に『ほめ方のルール』(明日香出版社)など。
【お悩み1】人を褒めるるのが苦手なんです…

「職場の先輩や後輩への褒め方で悩んでいます。気のきいた言葉が浮かばず、焦ってばかり……。褒め上手で上司に気に入られ、後輩にも慕われる同僚がうらやましい!」A子(32歳・商社)
A子 職場では先輩も後輩もいる立場なのに、大の褒め下手で。相手のセールスポイントを見つけて、褒めなきゃ〜っていつも焦るんですが、いざ褒めると、なんだか嘘くさくなってしまって……。
谷口 焦って長所を探そうとしても、お世辞しか出てこないんですよね。まず知ってほしいのは、「心にもないお世辞を言う必要はない」ということ。たとえば、「敏腕のキャリアウーマンですよね」「社内イチきれいですよね」とA子さんが言われたら、なんて返します?
A子 「そんなことないですよ」って否定しちゃいますね……。
谷口 ですよね。その人を評価・採点するような褒め言葉って、言われた相手は素直に受け取りにくいものなんですよ。だから、思い浮かばないときは、無理に何かを言う必要はなし。言葉でアレコレ言うよりも、“非言語”を重視してみてください。「あなたに会えてうれしい!」という気持ちが伝わる笑顔や、身を乗り出しながら話を聞く姿勢に、人は「この人に認められてる」と感じるもの。笑顔も「褒め」の第一歩なんです。
A子 確かに、褒め上手で人望の厚い同期は、いつも笑顔で上司や後輩と話してますね。
谷口 身近に褒め上手の人がいたらラッキーですよ。態度や表情を見て、マネしてみてください!
A子 私、その優秀な同期に対して「すごいね」を言いすぎて微妙な空気で……。同期なのに上げすぎて。褒め殺しっぽいというか。
谷口 これも評価型の表現でぎこちなくなっていますね。「どうしたらあなたのように褒め上手になれるの?」と質問形で聞くのは?
A子 それなら言えそうです!さわやかに褒められそうですね。
谷口 あと……褒め下手さんのなかには、褒めると自分が負けた気がして、褒められない人もいるんですよ。でもね、人を褒めると相手が喜ぶだけでなく、自分自身も人から好かれたり、頼りにされたりとメリットばかり。習慣にしちゃったほうがお得なんですよ!
A子 前向きに挑戦したくなってきました。でもどこを褒めていいのか悩んでしまうことも多くて。
谷口 A子さんは自分に厳しいタイプなんじゃないでしょうか。自分のよさに気づけていないから、人のよさに敏感になれないのかもしれませんね。自分の長所に目を向けると、人の長所も目につくように変わりますよ。あとは、人を観察することも大事。相手の口ぐせを褒め言葉に使うだけで大喜びされることだってあるんですよ。
A子 それなら簡単そう……。私にもできる気がしてきました!
谷口 そうそう、難しく考えないで。笑顔で接しながら相手を観察することから始めてくださいね。

焦って言うのはお世辞
褒めなきゃ〜! と焦って長所を言うと信憑性のないお世辞に

非言語が大事
無理に何か言わずとも、笑顔で接するだけで相手を認めることに
イラスト/りゃんよ 取材・文/櫻木えみ 構成/斉藤壮一郎〈BAILA〉 ※BAILA2019年11月号掲載