「自分の怒り」「人の怒り」「世間の怒り」それぞれについて、対処の仕方を浄土真宗 僧侶 藤岡善信さんに教えてもらいました。怒りは克服できないものとしつつも、感情にブレーキをかけたり意識的に避けることで心が穏やかに。
浄土真宗 僧侶 藤岡善信さん
浄土真宗本願寺派僧侶。さまざまな宗派の僧侶が店員として在籍するバー「坊主バー」(東京都新宿区荒木町6)にて店主を務めている。
公式サイトhttp://vowz-bar.jp/
公式Twitter@yotsuya_vowzbar
怒りとは… 三毒のひとつ。克服できないもの
対自分: 怒っている自分を俯瞰して、ブレーキをかける
対人 : 意識を遠くに切り離し、怒りを受けすぎないようにする
対世間: 怒りとの縁をつくらない。怒りがある場所を避ける
自分も相手も正しくないと思えば楽になる
「人間には貪り、怒り、愚痴という代表的な三つの煩悩があり、これをなくすのは非常に難しいんですよ。なので、“怒り”自体をなくそうとするのは遠回りです」
仏教的にも、“怒り”自体は消し難い感情。ではどうすれば?
「怒っている自分を俯瞰できるようになるといいですね。“今私は怒っているな”と認識するだけでもブレーキになります。最初はできないかもしれませんが、修行です。“俯瞰できる自分になりたい”と思い、繰り返し気をつけていくことで、身についてきます」
怒りをぶつけられたときも、“俯瞰”で考えることが大切。
「相手の怒りの中にある本質を探してください。正しい指摘なら受け止めるべきですが、理不尽なことであれば、意識だけでもその場から遠くに離してしまいましょう。正しさも間違いも時代によって変化するもの。絶対的に正しいものなんてない、自分も相手も正しくない、“娑婆なんてこんなもんだ”と思うと気が楽になりますよ」
対世間や対見知らぬ人の怒り対策は“縁をつくらない”ことだそう。
「怒りと縁ができてしまうから、つらい気持ちになってしまう。“見る”という縁をつくらないよう、怒りがある場所を避ければ、心を乱されることはありません」
怒っている自分を見つめるもう一人の自分を意識
「“自分を俯瞰する自分”は感情にブレーキをかけてくれます。自分と向き合い、“自分だって正しくない”と思うことも、怒りを減らす一歩です」
イラスト/描き子 取材・文/東 美希 構成/菅井麻衣子〈BAILA〉※BAILA2020年10月号掲載
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