秋の気配を感じたら、ファッション同様、花のしつらいも秋仕様に。今回の主役はケイトウ。ベルベットのような質感で、フォルムがユニーク。そのせいか難易度高め?でもコツさえつかめばプロが生けたような仕上がりになるんです。カトパンがフラワースタイリストの平井かずみ先生に教えてもらいました。
同系色でコーディネートすると、まとまりが生まれ一気に秋らしく!
平井 夏から秋にかけては、花の世界もガラリと様相が変化するシーズン。ファッションと同様に、ニュアンスのある色を花の市場でも数多く見かけます。それを代表するひとつがケイトウでしょうか。
加藤 ケイトウのモアモアした質感、くすんだ色合いは、まさしく秋の様相ですね。でも自分では買ったことはなくて。というのも飾るのにテクニックがいるような気がして、難易度が高いイメージなんです。
平井 ベルベットのような質感やユニークなフォルムは、ケイトウならでは。独特ですよね。でも、雰囲気がちょっと似ているダリアやディアボロとともに同系色でコーディネートすると、まとまりが生まれ、一気に秋らしく!
加藤 本当ですね。飾るときは、茎はやや短めにカットし、グリーンの色をなるべく見せずに生けるんですね。花首を花器の縁に寝かせるように生けるだけでニュアンスが出ます。
平井 ファッションでも同系色のグラデーションコーデって、落ち着いた雰囲気になりますよね。それと同じ感覚です。慣れてきたらブルー系の反対色でまとめてリボンを結わえてみたり、ドライにしてお皿に飾ってみたりしても素敵。空間に趣が生まれます。
加藤 赤や白、緑……カラフルなだけじゃない、憂いや色気をはらんだ仕上がりに。まるで絵画のように美しく、自分の腕まで上がったようです(笑)。
初心者でもうまくいく!【ちょこっとテク】
バランスを考え、茎はちょっぴり短めに
花器から花の部分がちょうど顔を出すくらい、それぞれの長さが微妙に異なるように根元を切り落とし、園芸ばさみで根元部分の余分な葉っぱをカットする。
花器の縁に寝かせるように生ける
ケイトウやダリアの色を強調するため、茎のグリーンはあまり見せないように生けて。花首を花器の片側の縁に沿わせ、リズミカルに生けるのがコツ。
ダリアやディアボロなど同系色とコーディネートし、個々の高さを微妙に変えながら生けるだけで、秋らしくて自然の中に生えているような雰囲気に。リビングの棚や寝室にも合う。
独特の質感とフォルムのケイトウ。憂いや色気をはらんで、まるで絵画のように美しく。
おもてなしの際にはオーバル皿の上にのせて。
温かみのある同系色とは反対の色でコーディネートするのも手。黄色いケイトウ、カクタス、トルコギキョウをからめて太めのリボンで結ぶ。おもてなしの際にはオーバル皿の上にのせて飾っても。
ケイトウの魅力はドライにしても美しいこと。ケイトウ、フィリカ、ピンクのスターチスの花を適度にちぎったら、お皿の上に。「陶器でもいいですが、まだ夏の気配が残っている今は、ガラスの皿も素敵。ショップカードやDMなど異素材をからませても」(平井さん)
●平井かずみ
フラワースタイリスト。明るく的確な指導ゆえ、自身が開く教室はいつも大人気。近著は写真家の大段まちこさんと料理家の渡辺有子さんとの共著『花と料理 おいしい、いとしい、365日』(リトルモア)。
http://ikanika.com/