自分のために花を生けるのもいいけれど、ときには誰かのために花を贈ってみるのも素敵。選び方からユニークなしつらえまで花の楽しみ方、見せ方の可能性が広がるテクニックを教わりました。
ボックスアレンジは、花の見せ方、可能性が広がる
平井 お花は自分のために買うことのほうが多いと思いますが、今回は視点を変えて“人に贈る花”です。
加藤 “自分でアレンジメントしたお花を贈る”ってちょっぴりハードルが高そうなイメージですね。
平井 何かを贈るという行為は、相手を思いやって生まれるもの。たとえば料理に興味がある方ならオリーブ油やバルサミコ酢かな、ワイン好きなら自然派のものにしてみようなど、相手を想像するだけで何がいいか自然と思い浮かぶでしょ? お花もその延長でいいんです。ギフトとともに小さなブーケを添えたり、そのまま飾れるよう小箱に詰めてみたり。
加藤 以前、「ニコライバーグマン」の箱に入ったお花をいただいたとき、斬新だし、気がきいているなと思いました。ピアノの上に飾っていましたよ。
平井 空き箱に、透明フィルムと生花用の吸水性スポンジを置いたら、秋にたくさん出回るダリアや菊など花々を生けていくだけ。実は簡単なんです。
加藤 お花をよけながら、すき間なく、そして向きや高さを微妙に変えて表情を出しながら挿していく――やさしさを持ち寄りながら生けているような不思議な感覚で、集中できたし、癒されました(笑)。
平井 秋から冬にかけてはお花屋さんでもいろいろな種類の乾燥した実ものが出回るので、それを箱に詰め合わせるのも素敵ですよ。
加藤 花の見せ方、可能性が広がりますね。毎年必ず梅干しを作ってくれる叔母に贈りたいと思います。
秋色の花を詰め込んだ小さな箱。ギフトに添えた小さなブーケ。ときめきをくれる“贈る花”
ベースに生けたグリーンは、甘くさわやかな香りのゼラニウム。ここに秋の代表花であるシックな色みのダリアや菊、白いバラなどをあしらって。「土台に挿したお花をそっとよけながら、すき間なく生けると美しく見えるかも」
初心者でもうまくいく!【ちょこっとテク】
高さのある小箱を用意。フィルムとスポンジを敷く
深さのある小箱を用意。水でぬれないよう透明フィルムを敷き、水を含ませたスポンジを置く。箱の四つ角をグリーンの葉もので生けていく。
好みの秋の花の先端を切ったら土台へ
茎を斜めに短めに切ったら茎が折れないよう先端を持ち、スポンジに2〜3㎝分挿す。挿し直しをする場合は、その都度先端をカットして生けて
花の表情や向きを変えランダムに生けていく
満開、咲きかけ、つぼみと花の咲き具合はいろいろだと◎。すべて同じ方向や角度ではなく、少し傾けるなど変化をつけたほうが表情が生まれる
好きなリボンで十字に結び特別感を
完成したら霧吹きをかけてふたを閉じ、好みのリボンを十字に巻いて結ぶ。箱はお菓子の詰め合わせほか、小さなジュエリーボックスもおすすめ
たとえばホムパのおよばれで。料理好きの方ならこだわりの調味料、お酒好きならワインなど、贈り物とともにミニブーケを贈るのも素敵。「ジャムなどが入っていた空きびんも持参して、その場でさっと花を生けたら、空きびんごと差し上げるのも手ですよ」(平井さん)
秋から冬にかけてドライタイプの実ものも多く出回る。空き箱やブリキの缶を用意し、ユーカリの実やヘーゼルナッツ、和クルミ、モスなどをランダムに詰め合わせて。「秋の実もののシックな色合いが好き。色や形が多様なほど奥行きが出ます」(平井さん)
●平井かずみ
フラワースタイリスト。明るく的確な指導ゆえ、自身が開く教室はいつも大人気。近著は写真家の大段まちこさんと料理家の渡辺有子さんとの共著『花と料理 おいしい、いとしい、365日』(リトルモア)。
http://ikanika.com/