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【社内起業という働き方】三菱地所の同期入社二人でメディテーション(瞑想)体験を提供するMedichaを起業

様々なキャリアが選択できる今、「起業」を選択肢にする人も多い。独立というかたちをとらず、勤務先の企業で会社員として働きながらやりたいことを実現した「イントレプレナー(社内起業家)」の女性に、その道程を聞いた! 今回は、三菱地所に所属しながらメディテーション(瞑想)体験を提供する会社を起業した二人の女性にインタビュー。

イントレプレナー:社内起業家
所属している会社内で新規事業創出のリーダーとなる人=「イントレプレナー」。会社員として働きながら企業内で新しい会社やビジネスを立ち上げ、代表のポジションに就く。一方会社を離れ独立起業する人は「アントレプレナー」と呼ばれる。

共通点は社会課題への意識。“自分にも届けたい”と思える価値観をかたちに

長嶋彩加さん

代表取締役

長嶋彩加さん

山脇一恵さん

代表取締役

山脇一恵さん

同期で入社、7年目(山脇さん、長嶋さんともに28歳のとき)に会社設立。現在は三菱地所に所属しながら、Medichaの代表を務める。「自分に余白をつくる贅沢な時間」をコンセプトに没入型メディテーション(瞑想)体験を法人向けに提供するほか、ホテルや住宅の空間監修など異業種企業や研究機関とのコラボレーションも。今夏開業予定のクリニックにおける瞑想プログラムにも携わる。

働き方を考え始めた頃、社内起業の説明会への参加を決めた

同期二人でメディテーションスタジオを運営する会社を立ち上げた山脇さんと長嶋さん。三菱地所初の不動産以外の事業でイントレプレナーとなった二人が新規事業を提案したきっかけは、仕事観の変化と社会課題への意識。

山脇 「同期同士での起業ですが、仲よし二人組というわけではなかったんです。プライベートで遊んだことは一回もなかった。ただ、社会課題への関心度合いが似ていて。新しい仕事にチャレンジするなら長嶋と一緒がいいかも……と思い、新規事業提案の説明会に誘ったんです」

長嶋 「新規事業は不動産業じゃなくてもOKと聞き、“世の中に必要なものをジャンル問わずに考えられるなんて楽しそう”と、すぐに“行く!”と答えました」

山脇  「私も長嶋も、当時は仕事は楽しいけれど目の前のことをこなすのに必死で、やりたいことにうまく向き合えない日々に疑問を抱いていました。仕事も勉強もプライベートも、やりたいことをビュッフェみたいにつまみ食いできる社会になればいいのに、忙しいなかでも自分を大切にしたい、と感じていました」

この“ビュッフェ型のライフスタイル”を軸に事業を考えていった二人。たどり着いたのがメディテーションだった。

長嶋  「一次審査を通った事業提案は今の事業とはまったく違うものでした。その後、社会の“現状”と“理想”を話し合うところから始めました。たとえば海外では子育てしながら俳優としても起業家としても活躍したり、仕事も家族も自分も大切に、マルチに楽しむ人がいて、そういう人って肩の力が抜けている。毎日忙しいなかで、どうすればそういう生き方ができるのか。きっと忙しいなかでも自分の中に“余白”をつくることが大切なんじゃないかという話になりました。そのなかでも海外ではメジャーなメディテーションが、日本では縁遠いよね、と」

山脇  「最終審査前のスタディ期間にニューヨークへ視察に行きました。出発の日、私は仕事で落ち込んでいて、機内でも沈んでいたんですけど、現地でまずメディテーション施設に行ったら、新しい体験に感動して元気になれた。あれは大きなきっかけです。届けたいのはこれだ! 髪が伸びたら美容院に行くような気軽さでメンタルケアできるサービスがあればいいのに!と思いました」

長嶋彩加さん

経営の知識はほぼゼロ。社内の経験者に相談しながらなんとかスタートさせた

起業の知識はなく、右も左もわからないままスタートさせた事業計画。

長嶋 「当時はなぜか“できる!”と自信があったんですけど、理由はわからないです(笑)。収支計画なんて立てたことがないのに、この事業を立ち上げることにやりがいと楽しみを見いだしてるからできる!みたいな気持ち。もちろん簡単にはいかず、悪戦苦闘することにはなるんですけど……。そもそも新規事業とはなんだ?と本を読むようなところからのスタートだったので、社内外問わず、色々な人に相談しました」

山脇 「社内起業ならではのメリットとデメリットは、どちらも“本業をやりながら新規事業を計画しなければいけないこと”だと思います。所属部署の仕事をやりつつ、新事業を詰めるのは大変。特に私たちは思いやこだわりが先行していて、起業自体の知識がなかったのでハードでした」

長嶋 「でも、社内の人が助けてくれるんですよね。わからないことが出てきたときに、詳しそうな社内の人に聞くと親身になって相談に乗ってくれる。広報部の人に“ちょっとこのリリースを見てアドバイスいただけませんか?”なんて連絡したり、これは社内起業だからこそかも。逆に周囲からも“Medichaをやっている二人に相談したい”と言ってもらえることがあって、会社にも少しは貢献できているのかもと安心します。この持ちつ持たれつの関係にすごく支えられました」

山脇一恵さん

会社員だから異動もある。社内起業の経験を生かして会社で挑戦を重ねたい

同期二人で立ち上げたこともうまくいった理由のひとつだという。

山脇  「タメ口で遠慮なく話せる、というのは意外と大きかったかもしれないです(笑)。議論がスムーズなんですよね。ケンカは一度もありません。言いたいことを言い合えると、いいものが作れる。お互いの視点があってこそのMedicha、と信頼し合えています」

今後のキャリアプランは、「会社員だから先のことはわからない」と話す。

山脇 「社内起業したとはいえ会社員なので、長い目で見れば部署異動もありうるんですよ。それでも独立は考えたことがないですね。会社の事業領域が好きですし、社内の雰囲気もいいと思います。だからこそ、置かれた場所で何ができるかを模索したいです。何もわからない状態から事業を立ち上げ、やらざるを得ない状況からやれるようになったことがたくさんある。この経験を生かして、また何かにチャレンジしてみたいですね」

長嶋 「“余白を届けること”をフィールドを問わずやっていきたいですが、社内起業を通じて三菱地所の事業との接点も見つかり、いいサイクルに入れている気がします。Medichaで学んだことを生かし、会社でできることがまだたくさんありそうで、ワクワクしています」

History

● 2013   ともに三菱地所に入社。ジョブローテーションでいくつかの部署を経験
● 2017   5月、新事業提案制度に事業提案
12月、最終審査を通過し採択される
● 2018   4月、新事業創造部へ異動
創業準備をスタートする
● 2019   4月、Medicha株式会社を設立
6月、表参道にMedichaを開業
長嶋彩加さん 山脇一恵さん

三菱地所における社内起業は?

’09年、新事業提案制度で事業提案やアイディアの募集を開始。これまでに家事代行サービス「30min.」やリユース家具販売サービス「エコファニ」などの事業が実現。長嶋さん・山脇さんは、提案者から事業会社社長に就任した初の20代女性社員だった。’21年からは対象者をグループ社員まで拡大し、「MEIC(=Mitsubishi Estate group Innovation Challenge)」がスタート。通算応募件数は300件に上る。

社内起業前後の変化は?

【変わったこと】

「コーチングの資格取得など、専門的な勉強をする機会が増えた」(山脇さん)

【変わらなかったこと】

「社内での働きやすさ。三菱地所社内にも自分の席と居場所があります」(長嶋さん)

二人が考える社内起業とは?

「社内起業を通して学んだことは 会社にも生かせる」(長嶋さん)

長嶋さん

「立ち上げ期の兼務は大変、でも社内だからこその協業も。長所と短所は表裏一体」(山脇さん)

山脇さん

撮影/MISUMI 取材・原文/東 美希 ※BAILA2023年4月号掲載

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