吸い込まれるような美しいビジュアルで、今回堂々バイラ3月号特装版の表紙を飾ってくれた吉沢亮さん。バイラ20年の歴史の中で、男性の単独表紙は初めてのこと。大河ドラマ「青天を衝け」で主演を務めるなど、もはや“若手のホープ”ではなく日本を代表する俳優としての風格が漂い始めた彼の、熱い胸の内に迫った──。
渋沢栄一は人としても男としてもかっこいい。楽しんで演じています
この撮影に向けてしてきた準備を尋ねると、「化粧水、いっぱい塗ってきました」と笑顔を見せた。
「男性単独表紙初っていうのは、やっぱり嬉しい。その貴重な機会を僕に任せていただけるというのは、すごくありがたいです」
スチールの撮影で意識していることは、意外にも「無でいること」。なるべく表情をつくり込むことはせず、素の状態を切り取ってもらうよう心がけているそうだ。
2月14日スタートの大河ドラマ「青天を衝け」では、主人公の渋沢栄一役に挑んでいる吉沢さん。
「渋沢の人生は波瀾万丈でジェットコースターみたいなんです。でも、“恥をさらして死ぬよりも自ら潔く切腹するのが武士だ”といった時代の中で、“腹を切っても世の中に何の意味ももたらさない”と言えてしまう人だった。時代の波に翻弄されながらも物事を客観視し、ちゃんと自分で決断して前に進んでいる。そこは人としてすごくかっこいいと思うし、僕自身も楽しんで演じています」
俳優として「いつかは出てみたい」と漠然とした憧れを持っていた大河ドラマ。思い描いていたよりも早く、しかも主演という大役を担うことになったが、準備は万端だ。
「若い頃の渋沢は村いちばんの力持ちだったそうなので、説得力を持たせるために筋トレを始めました。若干、男らしい体になってきたと思います。食事をとるときも“栄養満点”みたいな説明があったらとりあえずそれを頼んでみたり(笑)。とにかくセリフ量もスケジュールもかなりハードな現場なので、乗り切ればちょっとやそっとのことで動じない男になれると思います」
どんなことにも動じない男になれる気がする
2月1日の誕生日で27歳になったばかり。1年という長い撮影を乗り越えたあとの吉沢さんの目には、どんな景色が映っているのだろう。
「状況が許すなら海外に行きたいです。行ったことがない国にいくのも手ですけど、やっぱり大好きなニューヨークに行きそうな気がします。ブロードウェイで舞台を観たり、おしゃれなレストランで美味しいごはんを食べたりしたいです。あとは、30歳までに趣味を見つけたい。普段は本当に外に出ずに家でボーッとしているので、ゴルフとかグランピングとか、アウトドアなことを始めたいです。それか、犬を飼おうかな。最近、犬とか猫の動画をよく見るんです。『可愛いな、これが家にいたらやばいだろうなー』って思いながら。癒しを求めてるのかな(笑)」
大仕事を終えたあとにしたい、意外にもささやかな願望がチャーミング。不安な空気が世の中に充満する今、「とにかく見ている人に元気を与えたい」と熱を込める彼の勇姿は見逃せない。
俳優
吉沢 亮
よしざわ りょう●1994年2月1日生まれ、東京都出身。映画『銀魂』シリーズ、『リバーズ・エッジ』、連続テレビ小説「なつぞら」、映画『キングダム』『AWAKE』など話題作に多数出演。7月に映画『東京リベンジャーズ』が公開。
コート¥440000(参考価格)・シャツ¥145000・パンツ¥175000・靴¥100000/クリスチャン ディオール(DIOR) 靴下/スタイリスト私物
大河ドラマ「青天を衝け」
出演/吉沢亮、高良健吾、橋本愛、田辺誠一、満島真之介/草彅剛、和久井映見、木村佳乃、竹中直人、玉木宏、堤真一、小林薫
NHKにて2月14日より日曜20時スタート
天保11年(1840)、武蔵国・血洗島村で百姓を営む家に生まれた栄一(吉沢亮)は、官尊民卑がはびこる身分制度に怒りを覚え、「武士になる」と決意する。“日本資本主義の父”とも称される渋沢栄一を主人公に、幕末から明治までを描く。
撮影/生田昌士〈hannah〉 ヘア&メイク/西岡達也〈Leinwand〉 スタイリスト/九〈Yolken〉 取材・原文/松山 梢 構成/菅井麻衣子〈BAILA〉 ※BAILA2021年3月号掲載
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