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白鸚&幸四郎が #四月大歌舞伎 の『勧進帳』に日替わり出演!!【まんぼう部長の歌舞伎沼への誘い♯26】

「落ちるの一秒、ハマると一生」と言われる歌舞伎沼。その深淵をのぞき、沼への入り方を指南するこの連載。今月ご紹介するのは、3日から歌舞伎座で上演、「四月大歌舞伎」に出演する松本白鸚(まつもとはくおう)さんと松本幸四郎(まつもとこうしろう)さん。親子で『勧進帳』(かんじんちょう)の弁慶を日替わりで演じます。とくに白鸚さんは、78歳という歴代最年長での出演。高麗屋にとって大切なお役をWキャストで演じる二人に、今の気持ちを合同取材会で伺いました!!

四月大歌舞伎の合同取材会

↑合同取材会での松本白鸚さん(右)と松本幸四郎さん(左)。お着物姿がびしっと決まって素敵♪

■白鸚さんが歴代最年長78歳で弁慶に挑む!!

ばったり小僧 白鸚さんと幸四郎さんの合同取材会、楽しかったですね。お二人ともとってもダンディでかっこよくて、ユーモアもあって。4月に日替わりで勤める『勧進帳』の弁慶、ますます楽しみになりました!! ……あれ? 部長、どうしたんですか? 涙目になってますけど。

まんぼう部長 白鸚さんのお話を聞いて、ちょっと感傷的になっているのよ。 白鸚さんが言ってたでしょう。最初に松竹からオファーがきたとき、「この年齢でできるかなぁ」と少し躊躇したって。そうしたら「幸四郎さんと日替わりで」という話になって、それで覚悟を決めたと。「このご時世で、息子と一緒に勧進帳ができますことは、私としては、とてもうれしいこと」と言ってたけど、78歳で弁慶をやるって、どれだけしんどいことか……。

四月大歌舞伎の合同取材会の松本白鸚さん

↑「千穐楽は幸四郎が弁慶を勤めますので、その前日が、私の弁慶の最終日となります。最後まで無事に、一所懸命、心して勤めます」と意気込みを語る白鸚さん。

小僧 本興行では歴代最年長となる弁慶ですもんね。確かに弁慶って、セリフもめちゃくちゃ多いし、踊りもハードだし、しかも衣裳がものすごく重いらしいですよ。聞くところによると、10キロくらいあるとかないとか。

部長 弁慶は、最後に飛び六方という型で、勇ましく花道を駆け抜けていくけれど、揚幕の中に引っ込むと、俳優さんは力尽きて倒れ込んじゃうくらい体力の消耗はすごいのよ。

小僧 ひぇ~っ。体への負担は半端ないですね。

部長 しかも主君の義経を守るために、関守の富樫と真っ向からぶつかりあうという心身ともに緊迫したお役。白鸚さんが「弁慶という役は、少しでも集中力が欠けるとお客様に見透かされてしまいます。弁慶が弁慶ではなくなってしまう」と言っていたように、最初から最後まで気が抜けないのよ。

松本白鸚さんの勧進帳での弁慶

↑2018年4月名古屋御園座『勧進帳』で武蔵坊弁慶を勤める白鸚さん。この勇ましさ、この重厚感。弁慶は、まさに荒事のヒーロー!! 白鸚さんによると、「『歌舞伎十八番』のうち、隈取をとらないのはこの弁慶だけ」なんだとか。

小僧 白鸚さんは、16歳のときから1150回も弁慶を演じているから、素人考えだと、目をつぶっててもできそうって思ってしまうけれど、そうじゃないってことですね。それにしても同じ役を1150回って信じられないです。幸四郎さんも「ちょっとおかしなことだと思います(笑)」って言ってたけど、歌舞伎ならではですね。

部長 そうよね。しかも七代目幸四郎、つまり白鸚さんのおじい様は、弁慶をなんと1600回以上やっている弁慶役者で、高麗屋にとって弁慶は、特別な意味を持つお役。「私がいなくなったあとは息子が弁慶を勤めてくれると思います。今は息子に弁慶を託すという気持ち。それが歌舞伎の伝承であり、歌舞伎が歌舞伎たるところではないでしょうか」っていう白鸚さんの言葉を聞いてぐっときたわ。歌舞伎の名前を継ぐことを襲名って言うけれど、襲命でもあるんだなってしみじみ感じちゃったのよね……ぐっすん。

四月大歌舞伎の合同取材会の松本幸四郎さん

↑弁慶は子どもの頃から憧れの役だったという幸四郎さん。「いかなる時代もくぐり抜けてきた歴史ある歌舞伎の傑作を多くの方にご覧いただければと思います」と今回も気合十分。

小僧 ただ、それを受けて幸四郎さん、「『託す』という言葉が出てきましたが、実際に父が舞台に立つと、『託す』というそぶりはまったくありません(笑)」って笑ってましたね。いつも「舞台に立つときは、息子も何もない。絶対に負けられない」と言っている白鸚さんだから、ここからまた突っ走ってくれるんじゃないかと思います!!

部長 そうね。「体力や年では息子に負けますが、それを超えたい。自分に残っているのは台詞と声と芸だけです。いま現在の白鸚の芸で、声で、息子に対抗したいです」と言っていた白鸚さんの気概、しっかと舞台で見届けるわ!!

四月大歌舞伎の合同取材会の松本白鸚さんと松本幸四郎さん

↑ユーモアのセンス抜群な白鸚さんと幸四郎さん。真面目な顔をしながら、ちょいちょいおもしろいことを言って、取材陣を笑わせる場面も♪

■幸四郎さんの『勧進帳』は「滝流し」つき!!

小僧 幸四郎さんも「父の舞台と見比べていただきたい」と言ってましたね。でも、自分が勤めるのはあくまで「父に教わった弁慶」であり、「父との違いよりも、いかに根本が同じであるかを目指したい」「自分が誇りに思う高麗屋の弁慶を、自分の体を通してお客様にお見せできるよう勤めます」と言っていたのが印象的でした。

部長 それこそが芸の伝承よね。あえて違いを言うなら、幸四郎さんの『勧進帳』には「滝流し」(たきながし)と呼ばれる舞踊がつくことかしら。

四月大歌舞伎の勧進帳に出演する松本幸四郎さん

↑ 幸四郎さんの息子・市川染五郎さんも弁慶は、特別な役だと思っているそうで、昨年から稽古もスタート。「これまで教わってきたものを伝えていきたい」と幸四郎さん。いつの日か白鸚さん、幸四郎さん、染五郎さんの親子孫三代のトリプルキャストで弁慶を勤めるなんて日がくるかも!?

小僧 もともとの『勧進帳』にもなかった踊りらしいですね。でも、「滝流し」が入っている白鸚さんの『勧進帳』をずっと見てきたから、「その素晴らしさを自分の身体を通してお伝えしたい」って。

部長 これがラストの「延年の舞」という踊りから、「滝流し」に入って、そのまま飛び六方へという流れで、めちゃくちゃハードなのよ。

小僧 私も幸四郎さんの「滝流し」バージョン、観ましたけど、あれは観ているこちらも力が入ります。白鸚さんも言ってましたね。「今、私がやったら死んでしまいますので……」って(笑)。冗談なのに、思わずみんながシーンとしちゃったら、「あれ、スベったかな?」って(笑)。

部長 白鸚さんったら、おちゃめだわ♪

四月大歌舞伎の勧進帳の弁慶を勤める松本幸四郎さん

↑2019年9月歌舞伎座 『勧進帳』で武蔵坊弁慶を勤める幸四郎さん。勢いがあって、躍動感あふれる幸四郎さんの弁慶もめっちゃかっこいい!!  衣裳の格子模様と胸元のぼんぼりがかわいくて、小僧はお気に入り♪

小僧 幸四郎さんが語っていた弁慶という役の難しさの話もおもしろかったです。

部長 弁慶は「受け役」という話ね。

小僧 そうです。「弁慶が自分から言葉を発するというのは2回だけ。あとは全部セリフを言われて、それに対して答えるという役。しっかりとセリフを正面で受けて、それを返すというところで強さを表現しなければならない。そこが一番、苦しい」と。

部長 確かに相手をガーッと攻撃する役なら強さを表現しやすいけれど、その逆で、大きな岩のような存在感で見せるのが弁慶なのよね。

小僧 そういえば幸四郎さんは、白鸚さんが弁慶を勤めるときは富樫を勤めるんですよね。どんだけ体力あるんだって感じですよ。

部長 まったくだわ。富樫も弁慶に匹敵するような大きなお役。しかも富樫と弁慶は声の出し方とか全然違うらしいから、日替わりで勤めるのは、相当たいへんなはず。本当にすごいなって思う。

四月大歌舞伎の勧進帳で弁慶を勤める松本白鸚さん

↑「江戸時代から令和の今日まで、歌舞伎を観続けてくださったのは、お客様です。こんなに長い間、『勧進帳』を勤めることができたのもお客様が来てくださったおかげで、お客さまの力で今の歌舞伎がある」と白鸚さん。声にも張りとつやがあって、とっても78歳には見えません!!

小僧 親子の共演も楽しみだけど、幸四郎さんが弁慶のときに富樫を勤めるのは尾上松也さん!! 二人で『勧進帳』をやるのは初めてだし、フレッシュな『勧進帳』になりそうでこちらも見逃せませんっ♪

部長 松也さんは声がいいから、素敵な富樫になるような気がする。これは白鸚弁慶、幸四郎弁慶の両方のバージョンを観ないとね。

小僧 はい、4月も歌舞伎座に通いましょう!!

■「四月大歌舞伎」

期間:2021年4月3日(土)~28日(水)

場所: 歌舞伎座


第1部

一、猿翁十種の内 「小鍛冶」

作:木村富子
童子実は稲荷明神:市川猿之助

三條小鍛冶宗近:市川中車

巫女:中村壱太郎

弟子:市川笑三郎

弟子:市川笑也

弟子:市川猿弥

勅使橘道成:市川左團次


二、歌舞伎十八番の内「勧進帳」

A日程

武蔵坊弁慶:松本白鸚

富樫左衛門:松本幸四郎

亀井六郎:大谷友右衛門

片岡八郎:市川高麗蔵

駿河次郎:大谷廣太郎

常陸坊海尊:松本錦吾

源義経:中村雀右衛門


B日程

武蔵坊弁慶:松本幸四郎

富樫左衛門:尾上松也

亀井六郎:大谷友右衛門

片岡八郎:市川高麗蔵

駿河次郎:大谷廣太郎

常陸坊海尊:松本錦吾

源義経:中村雀右衛門


第2部

一、「絵本太功記」尼ヶ崎閑居の場

武智光秀:中村芝翫

武智十次郎:尾上菊之助

初菊:中村梅枝

佐藤正清:坂東彌十郎

真柴久吉:中村扇雀

皐月:中村東蔵

操:中村魁春


二、「団子売」

杵造:中村梅玉

お臼:片岡孝太郎


第3部

「桜姫東文章」上の巻

作:四世鶴屋南北

清玄 / 釣鐘権助:片岡仁左衛門

入間悪五郎:中村鴈治郎

粟津七郎:中村錦之助

奴軍助:中村福之助

吉田松若:片岡千之助

松井源吾:片岡松之助

局長浦:上村吉弥

役僧残月:中村歌六

白菊丸 / 桜姫:坂東玉三郎

  • 四月大歌舞伎の勧進帳のポスター

    ↑迫力満点!な、なんと素敵な!期間・枚数限定で販売される『勧進帳』高麗屋二代特別ポスター。これは絶対欲しい!

  • 四月大歌舞伎の桜姫のポスター

    ↑第三部『桜姫東文章』の仁左衛門さんと玉三郎さんの”復刻版”ポスターも!美しすぎます・・・❤ 

    ※両方とも歌舞伎座地下2階の木挽町広場、1階お土産処「木挽町」、歌舞伎座公式インターネットショップ「かお店」などで販売。

◆公演詳細
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/708/

◆公演チケット情報
https://www.kabuki-bito.jp/ticket.html

取材・構成/バイラ歌舞伎部  
まんぼう部長……ある日突然、歌舞伎沼に落ちたバイラ歌舞伎部部長。遅咲きゆえ猛スピードで沸点に達し、熱量高く歌舞伎を語る。 
ばったり小僧……歌舞伎歴2年。やる気はあるが知識は乏しい新入部員。若いイケメン俳優だけでなく、オーバー40歳の熟年俳優も大好き。

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