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【 #染五郎 #團子】本誌未公開カット&インタビュー掲載!大好評につき2月号企画をおかわり!!【まんぼう部長の歌舞伎沼への誘い♯24スペシャル】

「落ちるの一秒、ハマると一生」と言われる歌舞伎沼。その深淵をのぞき、沼への入り方を指南するこの連載。今回スペシャル版として登場するのは、バイラ2月号の推し活企画にも登場した花形歌舞伎俳優の市川染五郎(いちかわそめごろう)さんと市川團子(いちかわだんこ)さん。高校生ながら異次元の色香を放ち、大注目の二人。そこで本誌に載せられなかった写真とインタビューで再構成。現在、Amazon Prime Videoで配信中の図夢歌舞伎第二弾『弥次喜多』の話から好きな女性のタイプまで、バイラ歌舞伎部のまんぼう部長とばったり小僧が、「染×團」の魅力に迫りました!!

染五郎と團子のツーショット写真

↑本誌でも話題となったツーショットの別バージョン。仲良しの二人だからこその空気感に萌える女子が続出。小僧の妄想その①山岸涼子先生の『日出処の天子』を厩戸皇子=染五郎さん、毛人=團子さんでぜひ映像化を!!

■図夢歌舞伎『弥次喜多』のラストは「えーーっ!?」ってなります

まんぼう部長 まずは現在、Amazon Prime Videoで配信中の図夢歌舞伎『弥次喜多』の話からお伺いします!!  弥次喜多といえば、歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」で、2016年から4年連続で上演された人気シリーズ『東海道中膝栗毛』として歌舞伎ファンにはお馴染みです 。
弥次さん喜多さんを松本幸四郎さんと市川猿之助さんが演じ、染五郎さんと團子さんも梵太郎と政之助というコンビで出演していました。ラスベガスに行ったり、ぬるぬるの糊を舞台にぶちまけて滑りまくったり(笑)。何でもありの超ドタバタコメディでしたよね。

染五郎 そうですね。梵太郎と政之助が唯一まともな人間で、あとの人たちは全員はちゃめちゃ(笑)。いい加減な大人たちの中で、僕たち子どもだけが大人、という設定だと父(松本幸四郎)に言われました。

團子 子どもなのに一番大人、っていうところがおもしろいから、ふざけないで真面目にやるようにって僕も言われました。


ばったり小僧 一作目のときは、ふたりは11歳と12歳。まだ本当に子どもでしたね。そんな思い出深い作品を図夢歌舞伎でやると聞いたときの感想を教えてください。

染五郎 『弥次喜多』は一昨年で終わりだと思ってたので、まだ続くんだっていう驚きと、一昨年は、梵太郎という役はこれで最後だと思って舞台をやっていたので、「また梵太郎になれてうれしい」っていう気持ちでした。

團子 僕は何だかんだ言って、またやるんじゃないかなと思っていたんですけれど、決まったときはやっぱりうれしかったですね。で、図夢歌舞伎第一弾の『忠臣蔵』は、わりと舞台を忠実に再現するような演出だったので、『弥次喜多』もそうなるのかなって思っていたら、今回はまったくの新作で、その上、すごく攻めた形になったので、すごいなと思いました。

 

部長 ホントに攻めまくってますよね。まさかのSF。しかもコロナに苦しむ今の世相とリンクするような内容で。さらに舞台ではあんなにかわいかった梵太郎と政之助が金髪と赤髪で、バリバリの不良になっててびっくり。ナイフで弥次さんを脅すシーンもありましたね。 

染五郎 舞台の『弥次喜多』のときに、弥次さんを「おっさん」呼ばわりするシーンがあったり、「三谷かぶき」(『月光露針路日本 風雲児たち』)でも、父が演じる光太夫に怒鳴るシーンがあったり、これまでも父だけに強くあたるような役が結構あったので(笑)、そんなに抵抗なくできました。父にも一通り稽古してもらって、現場では、猿之助のお兄さんが指揮をとってくださっていたので、細かい動きは猿之助のお兄さんが、一つ一つ指示してくださいました。

弥次喜多の染五郎と團子

↑図夢歌舞伎第二弾『弥次喜多』からのカット。伊月梵太郎役の染五郎さん(右)と、五代政之助役の 團子さん(左)。不良となり、金髪と赤髪に変身した二人が超新鮮。このまま、バンドデビューもできそうです♪

小僧 團子さんもやっぱりお父さま(市川中車=香川照之)に習ったんですか。

團子 自分は、台本を覚えて、とりあえず最初自己流でやらせていただいて、疑問に思ったところは猿之助さんに聞いたり、父に聞いたり。とくに今回は映像作品だったので、父に聞くことは多かったです。普段はあまり話したくないんで、何か言われても「ああ、オーケー、オーケー」って感じなんですけど(笑)、今回は普通にいろいろ教わりました。

部長 そういえばこの前の取材会で猿之助さんが、今回は中車さんが團子さんにすごくアドバイスしていて、それが微笑ましかったと言っていましたね。

團子 ちょっと恥ずかしいですね(笑)。


部長 舞台でも4年連続でやってきた『弥次喜多』ですが、二人にとってどんな作品ですか。

染五郎 『弥次喜多』の舞台は、宙乗りや本水(本当の水)を使っての立廻りなど、自分が子どものときから憧れていたことを実現させていただいた、とても貴重な場でした。毎年、本当にありがたいなと思っていました。

團子 僕にとって『弥次喜多』は、「新作」というところが一番大きいですね。幼稚園のときに歌舞伎を観て、「かっこいいな」と思ったのは古典歌舞伎でした。それから猿之助さんがやった新作なんかも観て、歌舞伎に現代的な要素やネタが入ってもちゃんと成立するんだっていうことも知りましたけれど、それを肌身で感じたのは『弥次喜多』でした。そしてわかったのは、猿之助さん、幸四郎さんといった古典をたくさんやられてきた方が先頭に立ってやるからこそ、新しいことをやっても歌舞伎になるんだなってこと。だからこそ、古典は大事だなっていうふうにすごく思いましたね。


小僧
 二人にとって大切な作品なんですね。だけど、これまでのコメディから一転、図夢歌舞伎では笑いもあるけれど、結構シリアスで、しかもラストが意味深すぎる……。

染五郎 そうですね。悲しいというか、切ないというか。最後は「えーーっ!?」ってなります。

部長 まさに「えーーーっ!?」ってなりました。

團子 今までの『弥次喜多』を観てなくてもおもしろいですけれど、観ていたほうが、弥次さん喜多さんの関係性がわかるので、より泣けるかもしれないですね。

小僧 ええ、ええ、泣きましたよ。「弥次さーーーん!!」「どうなっちゃうの~!?」って。

部長 でも、その先の展開がわからないから、さらなる続編があるかも……と期待したりして。舞台を観てない人も大丈夫。過去の作品も映像化されていて、Amazon Prime Videoで配信中なので、遡って観れば楽しさ倍増!! とにかくおもしろいので、バイラ読者のみなさんも必見ですよ♪

◆BTSのダンスのマネを最前列アリーナで鑑賞!?

部長 ところで2013年に『春興鏡獅子』で胡蝶の精をやって以来、二人はコンビを組むことが多いですけれど、ドラマとかでバディ物をやるとしたら、何かやってみたいものはありますか。

染五郎 歌舞伎以外は思いつかないですね。

團子 僕も思いつかないなぁ。でも、もしやるとしたら、どっちかがめちゃめちゃできる役で、どっちかがアホ、っていうのがいいです。

小僧 でこぼこコンビ、いいですね。アホな染五郎さんとアホな團子さんっていうコンビも見てみたいですが(笑)。

部長 座右の銘はありますか。

染五郎 大好きなマイケル・ジャクソンの言葉で「偏見は無知である」。偏見というのは、偏見を抱くものに対して無知だから生まれるんだという意味です。この言葉を知ってからは、何かに対して考えたり、発言したりするときには、本当にそのことをちゃんと理解しているかどうかを意識するようになりました。今の世の中、偏見であふれてるなと思うので、この言葉を意識する人がもっと増えればいいなって思います。

小僧 染五郎さんは、意外にも社会派というか、ものの見方が深いですよね。去年、バイラに出ていただいたときも映画『ジョーカー』について熱く語っていて、そう思いました。

染五郎 ジョーカーは憧れの役なんです。ヒース・レジャーがジョーカーをやった『ダークナイト』も好きですけれど、ホアキン・フェニックスのジョーカーがやっぱりすごく好きで。これまでのただ悪者のジョーカーと違って、悪い人も悪い人なりに、悪いことをする理由があるという描かれ方をしているんですね。過去に辛いことがあったり、周囲の人から虐げられたりして、そういうことの反動で精神のバランスを崩していくんです。悪い人というより、悲しい人、かわいそうな人。そこに惹かれるんです。

鏡獅子の染五郎と團子の舞台写真

↑2013年10月国立劇場『春興鏡獅子』。左から、胡蝶の精=市川團子、胡蝶の精=市川染五郎(当時 松本金太郎)。このとき、初共演の二人。まだ小さくて、本物の妖精のようにかわいい!!

部長 深いです。團子さんの座右の銘は?

團子 「努力は裏切らない」。ちょっと哲学的な話になっちゃうんですけど、もし「努力に裏切られた」っていう人がいたとしたら、それは努力の方向性と時間が足りないということで、「努力が裏切った」ということではないと思うんです。もちろん人間は無限に生きられないから、有限な時間の中で、すべてを費やしてもできないことっていうのは絶対あるから、「努力がかならず実る」とも言えない。

でも、もし無限に全部が与えられてるなら、努力すれば絶対に何でもできると僕は思うし、「どうせできない」って思ってる人は、たぶんどうせできないし。僕自身、まだまだ努力が足りないので偉そうなことは言えないんですけれど、例えばおじいちゃま(市川猿翁)とか、お父さん(市川中車)とか、成功している人たちの生き方とか、歴史を見ていると、そう感じますね。

小僧 まだ高校生なのに、二人ともなんてしっかりした考えを持っているのかしら!! 怖ろしい子たち……。

部長 ところで今も話に出ましたけど、染五郎さんはマイケル好きですけれど、團子さんはBTS好きですよね。以前、染五郎さんがテテ似だから、「毎回推しに会える気分でうれしい(笑)」と言ってました。BTSにハマったきっかけは、何だったんですか?

團子 ダンスですね。ホントにかっこいいと思います。あと表情。歌舞伎って、 すでに化粧をしているので、逆に表情を作るなって言われるんです。たとえば弥次さん喜多さんだったら三枚目の役らしく眉毛が八の字になっていますけれど、気持ちが入ってくると、眉毛がグッと動いちゃって化粧と合わなくなってしまう場合がある。だから表情を作らないほうがいいんですね。一方、BTSのダンスって、顔の向きとか、表情とかをめっちゃ見せるじゃないですか。あれはホントにかっこいいなと思って。そういうところにハマりました。

小僧 でも、それは歌舞伎の舞台ではマネできないわけですよね。

團子 そうです。だから、家でマネしてます(笑)。友達と一緒に動画撮ったりして。でも、それ見ると、自分で思ってる表情と全然違うんですよね。みなさん、相当努力して習得してるんだろうなって思います。あと、表情をそのままマネすることはできないですけれど、自分の見せ方っていう部分で、歌舞伎にも応用できるところはあるのかなと思いますね。



部長 染五郎さんのところには、團子さんからそういう動画が送られてきたりするんですか。

染五郎 送られては来ないですけれど、目の前で踊ってます(笑)。

團子 アリーナ最前列で見てるね(笑)。

染五郎 『弥次喜多』の撮影のときも、セットを替えてるときとか合間に、目の前で踊ってました。

團子 いっくん(染五郎さんの本名「齋(いつき)」)、「すごい!!」って言ってくれた気がします。珍しくポジティブな反応だった気がする(笑)。

小僧 そこで染五郎さんはマイケルを踊り返すみたいなことはしないんですか。

染五郎 しないですね。

部長  でも、踊れるんですよね。

染五郎 踊れないです。

小僧  わかった、部屋でひそかに踊ってるんですね?

染五郎 踊ってないです(笑)。ひたすら見てるだけです。



小僧 ひたすら見てる……。マイケルの踊りは、何か歌舞伎の舞踊とリンクするところはあるんですか。『三番叟』と似てるみたいな話も以前、されていましたけれど。

染五郎 マイケルはターンのときの重心のぶれなさがすごいんです。ターンするときに、頭の位置が変わってないというか、上下しない。僕も去年12月に『雪の石橋』という踊りをやっていて、くるっと回る振りがあったので、そういうとこは研究して、参考にしました。具体的に取り入れるというより、ひたすら見て、ただただ自分の体にしみ込ませるっていう感じですけれど。

部長 ふーむ。きっと芸に通じている人だけがわかる何かがあるんでしょうね。

染五郎と團子の萌えツーショット写真

↑こちらも本誌で掲載した写真の別カット。  肩がちょっとくっついてる感じがエモいです♪  小僧の妄想その②萩尾望都先生の『トーマの心臓』をユーリ=染五郎さん、オスカー=團子さんでぜひ映像化を!!

■デキる女性がおっちょこちょいだったり……そんなギャップに惹かれます

小僧 ところで、えっへん。ちょっとお仕事から離れた質問です。二人が素敵だな、魅力的だなと感じる女性はどんな人ですか。教えてください。

團子 仕事できる人ですね。マジでかっこいいと思う。これ、男女問わずですけれど、僕が人生のいろんな場面で、ホントにかっこいいって感じるシーンの共通点のひとつは、誰かが何かできなくて困ってるとき、その難しいことを余裕でサラッとやってしまう、あの「仕事できる感」がたまんなくて。 舞台もそういうのがあると思うんですよ。猿之助さんとかが、当たり前なんですけども、ホントにうまいので、僕が全然できないことを、「こうでしょ」とかいって、フッてやってしまうのを見ると、めちゃくちゃかっこいいと思うし、そういう達人がいるところで僕は働きたいなって思うんですね。歌舞伎はそういう達人の宝庫なんです。だから女性も仕事ができる人に惹かれます。で、そういう人が、ちょっとおっちょこちょいだったりとか、そういうギャップが、すごくいいなと思います。

部長 ギャップ萌えですね♪ 染五郎さんはどうでしょう。

染五郎 優しい人がいいです。

團子  定番だね。

染五郎 テンションの高い人より、物静かな人がいいです。

小僧 はい、よくわかりました(笑)。それでは将来的に、自分たちはこうなってるといいなみたいな理想はありますか。未来を思い描いたときに、何か思い浮かぶことはありますか。

染五郎 いろんなことに挑戦はしていたいなっていうのはあるんですけど、うーん…。未来の自分は、想像がつかないですね。どんなお仕事をいただくかわからないし、どんな経験をこれからしていくかもわからない。その1つ1つで、役者としての自分が、これから形成されていくと思うし、いただくお仕事が1つ違うだけでも、全然違う役者になるのかなっていうのは、去年、いろんな挑戦をやらせていただいてとくに感じました。なので、先のことよりも、とにかく、目の前のことを考えてやっていきたいなと思います。

團子 自分もそれは同じで、それこそ将来のことはわからないですよね。役者を続けていられるという保証もないし。それでも二人とも本気で何かに取り組んでるなら、僕は何でもいいなって思っています。ふたりの関係性が今とは違っていてもいい。ただ、いっくんは僕にとって、一番信頼している友達なので、一生仲良くしたい。ずっとの友情を誓いたいと思っています。いっくんが良ければだけど。

染五郎 じゃあ、僕もそれで。

小僧  「じゃあ」って!!(笑)

部長 染五郎さん、どこまでツンなんだか(笑)。そしてそんなこと言われて、ちょっとうれしそうな團子さん。いつまでもそんな二人でいてくださ~い♪

図夢歌舞伎 弥次喜多

◆図夢歌舞伎『弥次喜多』

配信開始日:2020年12月26日(土)

配信場所:Amazon Prime Video
http://www.amazon.co.jp/kabuki

視聴料:1900円(税込)

監督・脚本・演出:市川猿之助

原作:前川知大「狭き門より入れ」

構成:杉原邦生

脚本:戸部和久

監督:藤森圭太郎

製作:松竹株式会社

出演:松本幸四郎、市川猿之助、市川中車、市川染五郎、市川團子/市川猿弥、市川笑三郎、市川寿猿、市川弘太郎(声の出演)

◆公演詳細
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/698/
◆公演チケット情報
https://www.kabuki-bito.jp/ticket.html

撮影/尾身沙紀〈io〉 ヘア&メイク/AKANE(染五郎さん)、森智聖(團子さん) スタイリスト/中西ナオ 

取材・構成/バイラ歌舞伎部
まんぼう部長……ある日突然、歌舞伎沼に落ちたバイラ歌舞伎部部長。遅咲きゆえ猛スピードで沸点に達し、熱量高く歌舞伎を語る。 
ばったり小僧……歌舞伎歴1年。やる気はあるが知識は乏しい新入部員。若いイケメン俳優だけでなく、オーバー40歳の熟年俳優も大好き。

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