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認知症の父と娘のストーリー。オスカー俳優アンソニー・ホプキンスとオリヴィア・コールマンの『ファーザー』をレビュー!【30代のシネマナビ】

海外エンタメ好きなライター・今 祥枝が、30代女性におすすめの最新映画をピックアップ! 今回は、主演を演じたアンソニー・ホプキンスが、アカデミー賞主演男優賞を受賞した『ファーザー』をご紹介。“認知症の父”の視点で描く、感動ドラマは必見です!

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今 祥枝

今 祥枝


海外エンタメが大好きなライター。一年365日、映画&ドラマざんまいの日々。

舞台劇を映画化した 『ファーザー』

©NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION  TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020

『ファーザー』

舞台劇を映画化した『ファーザー』は、認知症が出始めている父親と世話をする娘の対話劇。父娘の感動の人間ドラマを想像するかもしれないが、今年のアカデミー賞6部門の候補になった本作は、一筋縄ではいかない多面的な面白さがある作品だ。

まずは主演俳優の圧巻の名演技!英国の名優アンソニー・ホプキンスが、あて書きされた脚本によって、自分と同じ名前と年齢の主人公アンソニーを演じている。症状が進むなかで、気難しさや短気が増す一方、ふとした瞬間に本来のユーモラスでチャーミングな一面をちらりとのぞかせる。その生き生きとした一瞬のきらめきと、記憶の迷宮に迷い込んでいるときのギャップに、この病気の残酷さを思わずにはいられない。

二つ目は、ともすればホラーのような恐怖が体感できる脚本と、映ているのは“アンソニーに見えている世界”。あるときは急に時間が飛んでいたり、突然知らない人間が部屋にいたり、前のシーンと別の女性が娘アンとして登場したり。観客は必死にこのミステリーを解こうとするが、途中でこの混乱した世界こそが、認知症の人の体験そのものなのだと気づく。これがかなり怖い。同時に、認知症の人はどれほど不安な気持ちでいるのかを想像して悲しくなる。

三つ目は、『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマンが熱演するアンの描写。明らかに手に負えなくなっているが、施設に入れることへの罪悪感にさいなまれるアン。親への思いと、娘としての責任と、自分の人生と。父親が父親でなくなっていく過程を目の当たりにしながら、思い悩むアンの姿は胸に迫る。アンの心情を伝える、よく練られたダイアローグにも耳を傾けてみたい。

監督/フロリアン・ゼレール

出演/アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン

公開/TOHOシネマズシャンテほかにて5/14より

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