「最近は理想のプロポーズを相手に伝える女性も多いんです」。そうスタッフが伝えると「いいですね、だって二人でつくり上げるものですもんね」とほほえむ濱尾さん。そんな彼が考えてくれた“伝える”ということについてを織り交ぜた、特別なもしもの物語をあなたに。

人生を大きく動かす二人の大切な記念日。“主演：濱尾ノリタカ”そして“脚本協力：濱尾ノリタカ”。今まさに注目を集めている彼が愛を込めてBAILAと一緒に紡いでくれた、憧れのプロポーズストーリー。

大切な人に出会った瞬間、その人との間に“二人で一緒に使う箱”ができて。初デートで見た映画、お気に入りの店、駅から君の家までの近道、コンビニで買ういつものお菓子、夢中になって見た連続ドラマ、ケンカの仲直りの合言葉。そこに“二人で見つけたもの”を次々と入れていく、それが“一緒の時間を過ごす”ということなのだと思う。今日、僕はその箱を開けて君との時間を振り返りながら手紙を書いている。君への想いをかみ締め、君との未来に想いを馳せて。

先日、スウェットをオンラインサイトで買ったんですけど、送料無料にするために両親と妹の分も買ってプレゼントしたんです。「よかったら着てね」と書いた付箋を貼りつけて。かしこまった手紙はめったに書きませんが、メモ書きに近い手紙はよく書きます。友達の誕生日プレゼントや手土産にも必ず添えますからね。どのカードやマスキングテープを使うか、組み合わせを考える時間も僕は楽しくて。大切な人への贈り物には、お気に入りのエッシャーのメモ帳と田名網敬一さんのマスキングテープを使うことが多いんです。

“拝啓”から始まる手紙を送ったのは、連続テレビ小説「あんぱん」の脚本家・中園ミホさん。お仕事相手に礼状を書くのはキリがないことでもあるので、そんなに頻繁には書いたりしないのですが。「あさイチ」で中園さんがやなせたかしさんと文通していたと語っている放送を見て、書きたい気持ちに。主役オーディションに一度落ちたものの、僕のために岩男という役を当て書きでつくってくださり、さらには亡くなった岩男の息子として再登場までさせてくださった、その感謝の想いをつづりました。

ニット￥29700／ビームスF（グランサッソ）　メガネ￥62810／ルックスオティカジャパン カスタマーサービス（オリバーピープルズ）　時計￥305800／江口洋品店・江口時計店 松濤

「ここでプロポーズされるのが夢なの」つきあって2年目、君が語っていたホテル。３年目を迎えた僕たちはそのホテルのバーで並んでお酒を飲んでいる。お互いにちょっと緊張しながら。君の薬指も、僕の薬指も、今夜まだ裸のまま。誰のものでもない二人の、最後の夜。

はい、特別な日だけでなく日常的にも大切にしています。たとえば、何でもない日に家族に花を買って帰ったり。お仕事関係の方と食事をするときにも手土産をよく持っていきます。老舗店のちょっとした和菓子だったり、クラシックなものが多いのですが、それを一つ多めに買って母や妹のために持ち帰ることも。

画家をしている親友にNYを拠点にする製作配給会社「A24」のグッズをプレゼントしました。映画『ミッドサマー』に登場するホルガ寺院の形をした黄色のインセンス・ホルダーなのですが、色彩豊かな彼の部屋にマッチするなと思って。相手のことを考えながらプレゼントを選ぶのはとても好き。ただ、それは相手のことをよく理解しているからこそで。僕がプレゼントを贈るのは、近くにいる本当に大切な人だけなんです。

非日常を味わえるスペシャルな場所であり、昔からずっとそこに存在していて、この先も長くなくならなさそうな場所。変わらずにそこにあるからこそ、訪れるたびに“人生でいちばん大切な日”がよみがえるような、そんなクラシカルな場所がいいですね。

ジャケット￥135300／大丸製作所3（オーバーコート） シャツ￥34100（マリア サンタンジェロ）・ネクタイ￥23100（ホリデー&ブラウン）・チーフ￥8800（ブリッラ ペル イル グスト）／ビームスF

この先の人生を君と一緒に歩きたい、そう心に決めたとき僕は君に“理想の結婚指輪”を聞いた。ずっと身につけるものだからこそ、本当に好きなものを贈りたくて。ジャケットのポケットにはあの日、君が答えた指輪が入っている。その指輪に君が好きな白いバラの花束を添えて今日、僕は君への愛を伝える。「結婚してください」と、シンプルな言葉にありったけの想いを込めて。

普段、あまり恋愛映画は見ないのですが。高校時代、授業で見た『ノッティングヒルの恋人』だけは何度も見返していて。プロポーズではないのですが、「このイギリスにいつまで滞在するつもりですか？」というヒュー・グラントからの質問に「永遠に」とジュリア・ロバーツが答える、あのラストシーンは大好きです。

今日、既婚者のスタッフさんが「私たち夫婦は指輪の代わりに腕時計を贈り合った」とおっしゃっていて。形にこだわらずに話し合って自分たちらしい選択をしたのも、これからともに人生の時を刻んでいく相手と時計をプレゼントし合ったのも、すごく素敵だなって。結婚指輪も含め、二人らしいものを一緒に選ぶ作業もいいなと思いました。

楽しいというか、飽きないとは思います。突然歌いだしたり、急に「あそこに行こう！」と言いだしたり、思ったことをそのままやってしまいます（笑）。僕が一緒にいたいと思うのは信頼できる人です。人間関係を築く上でいちばん大切なのは話し合うことであり、話し合うためには信頼が必要だと思っているので。それは恋愛だけでなく友情も同じ。大勢と仲よくならなくても、本当に信頼できる友人が数人いれば、僕は幸せだなと思います。

ジャケット￥163900・パンツ￥105600／スタジオ ファブワーク（シークヤブーティ） シャツ￥34100／ビームスF（マリア サンタンジェロ） 時計￥305800／江口洋品店・江口時計店 松濤

映画『WIND BREAKER / ウィンドブレイカー』
世界累計発行部数1000万部を突破した人気漫画を実写映画化。ケンカが取り柄の孤独な少年・桜遥（水上恒司）が初めてできた仲間たちとともに街を守るべく奮闘。濱尾さんは敵対グループの主要人物・十亀条を演じている。「彼の魅力は仲間に思いやりのあるところ。17歳の彼のことを、彼の未来を、幸せを、想いながら演じました」（濱尾さん）

撮影／後藤啓太〈W〉　ヘア＆メイク／HIRO　スタイリスト／小松嘉章〈nomadica〉　モデル／濱尾ノリタカ　取材・原文／石井美輪　※BAILA2026年1月号掲載