一生懸命ケアしているのに、いまいち結果を出せていない…。それって肌によかれと思ってやっていることが実は逆効果になっているせいかも。医師が警鐘を鳴らす、日頃やりがちな8つのNG行動はこちら!
悩めるスキンケアの正解がここに! 女医が教える、“やってはいけない”美容法
きちんと皮膚のことを学べば、やるべきことがおのずとわかるように
繰り返すニキビや肌荒れ。収まらない、乾燥。その原因は的外れなお手入れをやりすぎているせいかも……?
「大切なのは洗う・潤す・光対策の3つ。それにひもづいて美容のトレンドが生まれるのですが、洗うとなると徹底的に洗う、洗いすぎが悪いとなると今度は逆にまったく洗わなくなる、と両極端すぎるのです」と慶田先生は語る。
大事な細胞間脂質まで溶かして洗い流してしまうような強すぎるクレンジングや洗顔はNGだけど、酸化したアブラや角栓などの脂&タンパク汚れがあるのに、それを水だけ洗顔でなんとかしようとするのもナンセンスな話。
潤すためには肌を活性化させる必要がありますが、それにはまず寝ること、そして肌をつくる材料、栄養をとることが前提です。30歳は肌も体も変わるとき。神様が標準装備として与えてくれた抗酸化力や抗炎症力は残念ながら劣化していきます。そこを補うのが美容の役割です。「Lookyounger,Livelonger」という言葉があります。若く見える人は体の中も若く、長生きするもの。“やらない”という美容もあることを知っておきましょう」
【NG1】やりすぎパッティング
化粧水は適量をやさしく手でなじませる
化粧水を奥まで浸透させようとパンパンと肌をたたいてませんか? 何度もパッティングするうちに手の力は自然と強くなるし、コットンの繊維との摩擦が生じ、肌にとっては刺激にしかなりません。ぬれた状態が長時間続くと肌の角層にある細胞間脂質が流れ出やすくなるおそれも。化粧水をたくさん使って、コストと時間をかけているのに肌にとってはむしろマイナスな結果になっていますよ。
【NG2】顔を常に触る
肌を活性化させるためのマッサージは月イチで充分
肌を無駄にいじることがいちばんやめてほしいことです。そういうとエステはダメ? 美容鍼はダメ?と聞いてくる方もいますが、ちゃんと筋肉への働きかけ方をわかったプロによる施術を月に1回程度取り入れるのは肌を活性化するのにいいことだと思います。テレビを見ながら何も考えずに手だけを漫然と動かすマッサージはやめましょう。
【NG3】洗わなすぎ!
皮脂の多いTゾーンを泡で洗い始め、その残りで顔全体を洗うが最適解
敏感肌や乾燥肌だからといって朝の洗顔をしない、または水だけですませている人がいます。でも就寝中に出た皮脂や夜に油分のあるスキンケアなど、アブラ汚れは水だけでは落ちません。朝、顔を洗わないということは24時間、酸化したものを肌にのせた状態で過ごすことに。かといって洗いすぎもダメ。アミノ酸系の洗浄剤の泡で30~40秒程度、ふわっと洗うぐらいがちょうどいい洗顔です。
アミノ酸系洗浄成分の理想的な泡洗顔料
肌荒れやニキビなどを起こしたあとの肌の角質肥厚を肌に負担をかけずに優しくオフ。リセット ウォッシュ 200㎖ ¥3300/アクセーヌ
泡立て不要ジュレが皮脂だけを落とす
皮脂量の多いTゾーンになじませて顔全体をさっとすすぐだけでOK。ビオレ 朝用ジュレ洗顔料 100㎖ オープン価格/花王
落ちにくいメイクをスピーディにオフ
乳化の早いオイルなら、必要以上にバリア機能を落とさずにクレンジングが可能。オイルがすべてダメという考えは改めて。ナビジョン DR メーククレンジングオイル 150㎖ ¥2750/資生堂
タンパク汚れは酵素で分解して透明肌へ
角栓などのタンパク汚れは酵素の力で落とすに限る。スイサイ ビューティクリア パウダーウォッシュN 0.4g×32個 ¥1980(編集部調べ)/カネボウ化粧品
【NG4】夜、遅くまでスキンケアに明け暮れる
どんな美容液も睡眠に勝るものなし。まずは良質な睡眠を確保
本来、バイラ世代ならちゃんと寝ていれば肌はピカピカ、髪はツヤツヤをキープできるもの。仕事終わりにジムやヨガ。家に戻って遅い時間に食事、長風呂、フル装備のスキンケアとキレイになるためのto doリストがいっぱいで睡眠が4~5時間では逆効果。睡眠不足が3日続けば酩酊状態、3日以上だとうつ状態になるといわれています。きれいになりたいなら、まずは睡眠を。すべてはそれから。
【NG5】オイル抜きの食事
良質な油を生でとって細胞膜のしっかりした肌細胞を育てる
細胞膜は油でできているので、油をとらないで美肌を目指すのは無理なお話。体型管理のための食事制限でサラダと脂身のないささみしか食べないといった油抜きの食事はやめましょう。油がOKといっても高熱によって酸化。糖化した揚げ物はNG。高熱でも酸化しづらいオリーブオイルを。酸化しやすい亜麻仁油やえごま油は冷蔵庫で保存し、生の状態でとることをおすすめ。
【NG6】無理なダイエット
タンパク質・野菜>炭水化物・嗜好品食べるもののプライオリティを見直す
肌をはじめ体は食べたものでつくられています。その材料となるタンパク質(肉・魚・乳製品)と野菜、豆類などは毎日きちんととり、それを食べた上で炭水化物や嗜好品を。腸のためには発酵食品も食べましょう。炭水化物もとらないとお米を食べて育った日本人は便秘になってしまう人も。偏食していてはどんなスキンケアや美容医療を行っても、肌は高いレスポンスを出せません。
【NG7】無防備ランニング
走るなら、日焼けしない夜か室内で
適度な運動を始めて筋肉貯金をしないといけない30代ですが、ランニングには要注意。紫外線対策をしていても、走って汗をかいたら日焼け止めが流れるような状態ではシミやくすみ、たるみの原因に。さらに走ると体が振動するので、胸の重さを支えているクーパー靱帯が伸びてしまいます。顔の弾力線維ももちろん振動によるダメージを受けるので、たるみが加速します。どうしても走りたい場合は夜か室内にしましょう。
【NG8】SNSを信用しすぎ
情報の真偽の有無を常にエビデンスベースで考えるクセをつける
個人が発信するSNSやインターネットなどはもちろん、ときには大手メディアでも、間違ったお手入れや無意味な美容習慣が真実のように取り上げられている今の時代。情報の海にのみ込まれず、これは正しい情報なのかをエビデンスや出典をきちんと確認するクセをつけて。
美容医療で美肌貯金
産毛によって開いた毛穴は脱毛すれば解決!⇒【医療レーザー脱毛】
バイラ世代で早くも毛穴が目立つとしたら産毛によって開いている可能性大。医療用レーザー脱毛なら5~6回程度行えば、毛根が消滅し、毛によって開いていた毛穴がキュッと引き締まります。若いうちにやるほうが毛穴の引き締まりの効果が高いです。
ハリのためのコラーゲン育成⇒【ケミカルピーリング+フォトフェイシャル】
フォトフェイシャルによる熱刺激はコラーゲン合成の指令を出します。定期的に受けている人は結果としてコラーゲンをつくる設計図(メッセンジャーRNA)の発現量が若者レベルであることがわかっています。バイラ世代なら年3~4回で将来のハリ感に大きな差が!
あごと眉間、おでこと目尻のシワ対策⇒【ボトックス注射】
表情のクセによって眉間やあご、額や目尻などにシワができるという人はプリーツ加工のようにシワが刻まれる前にボトックス注射を打つことをおすすめ。4カ月〜半年ほど効果が続くので、これを数回繰り返してシワを寄せるクセがなくなれば、そこでやめてOK。
銀座ケイスキンクリニック
東京都中央区銀座1の3の3 G-1ビル5〜6F
☎0120-282-764
www.ks-skin.com
慶田朋子先生
銀座ケイスキンクリニック院長。医学的根拠に基づき、正しいスキンケアの情報を発信。近著に『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)
撮影/ITCHY イラスト/green K 取材・原文/平 輝乃 構成/渡辺敦子〈BAILA〉 ※BAILA2021年8月号掲載