漫画を愛するライター・中川 薫がバイラ女子におすすめの漫画をピックアップ! 今回は、衝撃のSF×ディストピア×サスペンス作『菌と鉄』をご紹介します。『進撃の巨人』のアシスタント経験もある新星・片山あやかが綴る本作で生きることの意味を確かめてみては?
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中川 薫
雑食ライター。猛暑のため、アイスコーヒー&炭酸水メイカーを衝動買い。これは、かなり使える!
Ⓒ片山あやか/講談社
タイトルから『銃・病原菌・鉄 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』という大航海時代がテーマの本を思い出したが、これは新大陸どころか、人間がキノコに徹底管理される世界を描いたディストピアなSF作品。
身体能力がズバ抜けて高い兵士・ダンテは、アミガサという政府に管理されることに疑問を持ちながら過ごしていた。上官の言葉に背けず、会ったこともない敵対組織の人間へ“怒り”を向けさせられる意味。「ほかの人はなぜ疑問を持たないのか?」「自分がおかしいのか?」と感じ、軍規を乱す「危険思想」を持つ人間として、処罰を受けることも。ある日、外部任務に出たことで、ダンテは自分と同じように感じている人間がいることを知り、アミガサ打倒を決意し、彼らとともに動き始める。
現実もこんな社会が世界各所で存在していることはニュースでご存じのとおり。だからこそ架空とは思えないリアルさで胸に迫ってくる。著者は『進撃の巨人』のアシスタント経験も。規格外の新人漫画家が綴る本作で生きることの意味を確かめよう。
『菌と鉄』
片山あやか著
講談社 1巻~ 528円
菌類によって管理・支配され、人類が自由を奪われた世界。周囲から浮いている兵士・ダンテは任務の際、ある少女に出会う。これをキッカケに世の中を変える決意をするが……。
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