迷える読者のリアルな悩みに、スタイリスト加藤かすみさん&エディター伊藤真知さんがアンサー。おしゃれを思いっきり楽しむために、今だから大切にしているマイルールを伝授! また、長引くコロナ禍で感じている孤独や不安に、ファッション、美容、占い...賢者たちからのメッセージもお届けします。
1.《お悩み1》ファッションへのモチベーション低下
圧倒的に多かったのが「着ていく場所がなくなり、服を買いたい気持ちがなくなった」という声。ラク以外の“決め手”が見当たらないという人も。
《KASUMI's Comment》
「私なら、どう着る?」
想像力を働かせて、自分に合ったトレンドを。
「秋はシックな色が増える分、甘いデザインも甘すぎず、着こなしの幅も広がってコーディネートが楽しくなるはず。直球でいくなら袖コンシャス、重ねても楽しみたいなら襟コンシャスなど、どう着たいかのイメージも大切」
一枚で、重ねて…おしゃれが広がる“大きめ襟”に注目!
今季、大人ブランドからも続々と登場している大きな襟のブラウスは、一枚は手にしておきたいトレンド。「そのままでもいいし、上にニットやスウェットを重ねても可愛いし、中にタートルを合わせればまた全然違う印象に……。“いろんなことができる”汎用性の高さも、推しの理由です」(加藤さん)。ブラウス¥28600/ウィム ガゼット ルミネ新宿店(ゲミニー) ピアス(1個)¥26400/アルティーダ ウード
《MACHI's Comment》
この秋だったら、袖コンシャスや襟コンシャス。
せっかくなら“買った感”が味わえる一枚で、テンションを上げてみても。
「お出かけする機会は減ってしまったけれど、だからこそ一回一回のおしゃれを大切にしたいと思うようになった今。実用的なシンプル服だけでなく、ときには着ていてワクワクするような“アがる”トレンドに投資してみても!」
大胆なボリューム袖も黒ならぐっと身近な存在に
ブラウス一枚で充分存在感があるからこそ、コーディネートは基本、引き算。でもそぎ落としすぎるとモード色が強くなって、現実離れしてしまうことも。「切りっぱなしのデニムや可愛げのある小物でお茶目を足すくらいが、普段使いにはいいバランス」(伊藤さん)。ブラウス¥41800/イエナ ラ ブークル ニュウマン新宿店(ウラ ジョンソン) パンツ¥36300/サザビーリーグ(マザー) バッグ¥43450/エディット フォー ルル(マージシャーウッド) ピアス(1個)¥18700・リング(左手)¥26400・(右手)¥19800/アルティーダ ウード 靴¥38500/ベイジュ(ピッピシック)
2.《お悩み2》なぜか「買えない」症候群です
すっかり“買い控え”に慣れてしまい、買い物意欲がわかないのも現実。出歩きにくい状況で、わざわざお店に行くのが面倒…にも納得!
《MACHI's Comment》
高感度なのに、低価格。「スタイルミキサー」でワンピに目覚めました!
「流行りものはもちろん、たとえベーシックでも自分が苦手な分野に挑戦したいときに、プチプラ服は頼りになります。特にECに強いブランドはそのスピード感も魅力的! 時間を気にせずじっくり選べて、すぐに着られるのも、慌ただしい毎日にはありがたい限り」
ブランドの得意を見極めて賢く、価値あるショッピングを
「たとえばスタイルミキサーなら、小柄な私でも着やすいSサイズがそろうワンピース。ザラだったらトレンドが早く、アクセントに効きそうな小物というように、プチプラの先にある持ち味を知って、効率よく買うのもポイント」(伊藤さん)。ワンピース¥8250・オールインワン¥8250/バロックジャパンリミテッド(スタイルミキサー)
《KASUMI's Comment》
今あるだけでも6足!トレンド上手で大好きな「ザラ」はサイズ感もわかって、買いやすい“靴”が特にお気に入り
「トレンドの取り入れ方が絶妙だし、プライス的にも気軽に使える素材だったり、欲しいと思っていたものがいいタイミングで見つかるザラ。私はよくネットを利用していますが、サイズやパターンがわかっているものや、色の差が出にくい黒など、アイテムをしぼってうまく活用するのがコツです」
「ネット購入の場合はある程度、信頼しているブランドで探すのも手。どんなに細かくチェックしても届いて違うということもあるので、少し丈が長ければお直しするとか、より素敵に着るための“+α”も必要です」(加藤さん)。ジャケット¥10990・靴(上)¥9990・(下)¥5990/ザラ(ザラ)
3.《お悩み3》コーディネートがマンネリ化
オン&オフの境目があいまいになったことで、似たような服ばかり買ってしまうというお悩みも多数。いつも同じ印象を避けるには?
《KASUMI's Comment》
“着方”を変えれば、着慣れたアイテムでも新鮮に!
「最近はシーズンごとに流行がガラリと変わるというより、少しずつ進化しているイメージ。となると大事なのは“今年はどう着るか?”。定番のスウェットもブラウスと重ねてみるなど、コーディネートで工夫して印象をチェンジ!」
《MACHI's Comment》
色違いやサイズ違いは“別もの”。
「もう持っているから」とスルーせず、今年ならではの変化を楽しんで。
「新しい着こなしを楽しむ上でも、軸となる服は信頼できるものがいい。でも色やサイズ感が昔のままだと古くさく映ってしまうこともあるので、大好きな服こそ“似ているけど違う”一枚へアップデートするようにしています」
ニットの代わりにスウェットを。今年は“重ねて”より新しく
カジュアルが定着し、スウェットのバリエも格段に増えた今だからこそ、ニット感覚でもっと気楽に取り入れても。「意外ときれいめにもいけるし、ますます定番化しそうな予感。やっぱりビッグシルエットが万能ですが、今年なら襟のあるものと重ねたり、流行のスカート+ブーツと合わせたり、新鮮味を添えて」(加藤さん)。スウェット¥23100/サードマガジン ブラウス¥37400・スカート¥100200/マディソンブルー ピアス¥13200・リング¥9790/アマン(アンセム フォー ザ センセズ)
4.《お悩み4》おうち服がダサくて気分がアガらない
在宅ワーク中心で、お出かけといっても近所のスーパーくらい。カジュアルを越して、おしゃれとはほど遠い“部屋着族”が増加中。
《KASUMI's Comment》
私も日々、求めています!(笑)「ラクだけどちゃんと見える服」
「おうち着=着心地のよさは大事ですが、ちょっとしたお出かけも考慮するなら、多少は生地感がしっかりしているものを選ぶべき。ワンピース一枚よりも洒落感が出せて、なおかつリラックスできるパンツとのセットアップはおすすめです」
《MACHI's Comment》
ヨレヨレやクタクタも“ダサい”と感じる一因かも?
手頃なお気に入りを何枚かローテーションで使って。
「毎日着るものだからこそ、高級な一着をクタクタになるまで着倒すよりも、手頃なものを何パターンか使い分けるほうが、飽きずに楽しめて気分も上がるはず。ベージュや茶系など癒される色で、さりげなくデザインが効いているくらいのシンプルなセットが最強!」
部屋着以上のきちんと見え。扱いやすさもデイリー向き
襟元にギャザー、後ろにはボックスタックを施したワンピースと、横にスリットの入ったゴムウエストパンツで、リラックスしつつも手抜き感はゼロ。「家事や作業をすることを考えて、また気温的にもまだまだ暑い時季なので、動きやすく涼しいノースリーブを。マシンウォッシャブルでお手入れしやすいのも優秀」(伊藤さん)。ワンピース¥8250・パンツ¥7150/バロックジャパンリミテッド(スタイルミキサー) チョーカー¥16500・リング(人さし指)¥30800・(中指)¥29700/アルティーダ ウード 靴¥35200/ベイジュ(ピッピシック)
5.《お悩み5》全体的におしゃれ迷子
インスタなどに振り回され、人の服ばかりマネしてしまう…のもSNS時代ゆえのあるある。買っているわりにはキマらないというお悩みも。
《MACHI's Comment》
体がきれいに見える服って、すごく大事!
自信が持てるから新しいおしゃれにも積極的になれます。
「流行ばかりを追うよりも、体がきれいに見える服をさらっと着ているほうがおしゃれにははるかに効果的。そのためにはまず自分の体を知り、似合うものを知ることも大切。ブレない軸があれば、どんなトレンドがきても怖くないはずです!」
《KASUMI's Comment》
流行りに関係なく、好きなのは「ストレッチデニム」。
ストレスなく、バランスよくはける自分にとっての変わらない定番を見つけて。
「週の半分はデニムをはいていますが、仕事柄、動くことが多いのでストレッチ入りはマスト。最近は時代もあってラクなデニムが増えてきましたが、何年たっても好きなブランドは同じ。その時々で新調しつつも、ブルーや黒は外せません」
信頼できる一本があるからおしゃれでちょっと冒険!
キャッチーなTシャツや、ちょっぴりクラシックなチェックジャケットやジャカード柄のバッグ。そんなテイストミックスも、自分らしいデニムあってこその“遊び”。「必要なのは、着なきゃいけないものではなく、自分に合ったもの。それを今日の予定に合わせて楽しみ方を変えていくくらいが、今の時代にはマッチする気が」(加藤さん)。ジャケット¥39600/メゾン イエナ(イエナ) Tシャツ¥4950/ミューズ ドゥ ドゥーズィエム クラス 六本木店(グッド ロック スピード) パンツ¥15400/プラージュ 代官山店(ヘルシーデニム) リング¥220000/トムウッド プロジェクト(トムウッド) バッグ¥273900/ジミー チュウ 靴¥35200/ベイジュ(ピッピシック)
TM©1981 The Really Useful Group Ltd
スタイリスト
加藤かすみさん
本誌をはじめ多くの表紙や特集、広告を手がける人気スタイリスト。仕事柄いち早くトレンドを把握しつつも、最近はECブランドにも注目。
エディター
伊藤真知さん
本誌のほか、世代を問わず幅広い女性誌で活躍するエディター。最近ブログを始めたこともあり、大人のプチプラを探しまくりの日々。
6.ファッシュン、美容、占い...賢者たちからのメッセージ「迷ったときこそ、自分軸!」
長引くコロナ禍、様々な変化のなかでバイラ世代が感じている孤独や不安も、“自分軸”で考えることが突破口に。7人の賢者に聞きました。
テレビ朝日アナウンサー 弘中綾香さん
【みんなのお悩み】
SNSなどの他人の行動や意見がいちいち気になり、同時に自分がどう見られているかにも敏感になり窮屈さを感じています(33歳・自営業)
「世界も他人も未来も、いつだってアンコントロール。操作できるのは“自分”だけ!」
時代も、社会情勢も、環境も、どんどん変わっていくもの。人生は予期せぬ出来事の連続で計画どおりにいかないことがほとんど。思いどおりにならないのは“周りからの評価”や“他人からの視線”もまた同じです。“世界”も“他人”も“未来”も、いつだってアンコントロール。そんな不確かなものに“軸”を置いたり寄りかかってしまうのは怖いことだとは思いませんか?自分でコンロトールできるものがあるとしたらそれは“自分自身”だけです。“自分ごときの力では変わらない世界”にばかり目を向けるとただただ振り回されてしまう。だったら、自分に目を向けて頑張ろうって私は思うんです。周りや他人を気にしてアレコレ悩むのは無駄なこと。そんなことはサッサと放棄してしまい、自分について考えるほうがよほど合理的だと私は思っています。
スタイリスト 辻 直子さん
【みんなのお悩み】
代わり映えしない手持ち服に飽きて新しいデザインや色に挑戦したいのですが年がいもなく、と思われてしまいそうで勇気が出ません(35歳・会社員)
「どう見えるか、よりも自分のどの面を見せるかを考えて」
私も以前はもっと、服を選ぶときにあれこれ考えていました。自分が求められているものや、見え方。これでいいのかな、と小さくまとまりそうになってしまったり。でも、最近、他人がどう思うかなんて、自分にとって何も残らないと気づいて。そんなことを考えて自分の大事なお金を費やす必要はないんです。どう見えるか、はあくまでも自分目線で考えるべきこと。たとえば人と会う日の服選びも‟どの自分でいくか”をコントロールすることが大切。相手に自分のどの面を感じてもらいたいか、というあくまでもこちら側からの発信に。それと同時に、ただ好き、嫌いというだけではなく本当は何がしたいのかという自分の本心を知ることも大事。色々な視点から自分軸を育ててあげられたらいいですよね。
心理占星術研究家 鏡リュウジさん
【みんなのお悩み】
ひとりぼっちの在宅勤務、外出できないストレス…。最近、孤独や不安を感じることが増えた気がします(36歳・会社員)
「占星術ではいつだってあなたが主役です」
「自分軸」というと、僕はすぐにホロスコープを思い出します。ホロスコープとは自分が生まれたときに自分を取り巻く宇宙の星たちを円形の図表にしたもの。今の天文学では太陽系宇宙の中心は太陽ですが、占星術では地球、もっといえばあなた自身の存在が宇宙の中心軸で、ここを基準に太陽や月、惑星や星座たちが巡っていると考えるのです。今、孤独を感じている人が増えているようですが、これは当たり前。正直、僕も寂しいですもん。でも、あなたの今の迷いや悩みは、実はお釈迦様もアントワネットも生きることができないあなただけのもの。占星術ではどこまでいってもあなたが主役。あなただけの星空を描きます。孤独を感じたとき、自信をなくしそうになったときには、まずは誰かと気持ちを分かち合ってみて。それさえも難しいときは星占いの世界観に心を開いてみていただけると嬉しいです。
エディター 伊藤真知さん
【みんなのお悩み】
家にいることが多くなり、見せる相手もいないのでラクで適当な服ばかり買っておしゃれがつまらなく感じます(34歳・会社員)
「自分の好きなものを見つめ直せる今こそ、新しいおしゃれを見つけられるチャンスです」
私、今まではずっと、おしゃれは自分のためではなく人のためにするものだと思ってきていたんです。それがこの1、2年で状況が180度変わってしまって。同じような悩みを感じていたこともありました。ただ、圧倒的に自分のことを考える時間が増えたことで、自分の好きなものを見つめ直すことができたんです。今まではスルーしてきたようなシンプルで上質な服を着てみたり、じっくり検討する時間がなかったちょっといいブランドのバッグを実際にお店に足を運んで買うことができたり。ECで買うときも、無駄買いが少なくなりました。たとえ見せる相手がいなくても、自分の好きなものを熟考できる今こそ新しいアイテムやテイストに出会えるチャンスだと思うんです。
スタイリスト 加藤かすみさん
【みんなのお悩み】
お店に行かずECサイトや他人のSNSばかり参考にしていたら自分の好きなもの、着たい服がわからなくなってしまった(30歳・会社員)
「実際に自分の目で見て触れてみる。心のときめきを探すのをあきらめないで」
情報過多になってしまうし、他人の意見に惑わされてしまう気がするので、私自身はファッションの参考としてSNSはあまり見ません。質感や作りも、スマホの小さい画面だけで判断するのって難しいから、やっぱり実際にお店に行って、雰囲気を味わい、洋服を手にすることで自分の好きなテイストを再確認したり、新しいおしゃれのヒントが湧いてくるんです。おしゃれのモチベーションを上げるには、そういう「自分だけの心のときめき」を探すことが大切。いくら外出しないといっても、服を着ない日はありませんよね。ちょっとしたTシャツ一枚でも、好きなものならテンションは上がる。一歩外に出て、新しい服と出会う楽しみを探してみて。
美容家 神崎 恵さん
【みんなのお悩み】
メイクをしない自分にも慣れてきて、パッとしない毎日。このまま自分がくすんでいってしまうのでは?と不安になります。(33歳・公務員)
「やってみたいこと、気になるものに忠実でいること。自分の中で“好き”を循環させることが大切」
今は、なかなか外からの変化や刺激を期待できない時代だけど、そんなときは自分の中で好きなものを循環させることが大事。自分が気持ちよく感じること、楽しいことに素直に耳を傾けてやってみたいメイクや着たい服、挑戦したいことに忠実でいること。ときに嬉しくない反応がきたりするかもしれないけれど、それは気にしなくて大丈夫。他人からの意見は、納得できるものだけを都合よく取り入れればいいんです。メイクをしたくないのならそれもアリ。これが正解、不正解と決め込んで落ち込むのではなく、自分の気持ちにもっと耳を傾けて。外と自分の間に上手に「線」をつくれる大人になれるといいですよね。
ヘア&メイクアップアーティスト paku☆chanさん
【みんなのお悩み】
最近、どんどんメイクが手抜きになって、オンライン会議のときも面倒で下地のみ。何をしたら自分の気持ちが沸き立つメイクができるのかわかりません(31歳・会社員)
「自分の気持ちを上げられるのは自分だけ。まずは新しい色のアイシャドウひとつでいいから、新調してみて」
根本的にはメイクって「自分のためにするもの」だと思うんです。可愛く見せたいとか、きちんと見せたいとか、色々あるとは思うけど、やっぱりメイクは自分の気持ちを上げてくれるもの。マスク時代ということもあって、今年の秋は大人がつけやすい新鮮な色のアイシャドウやアイライナーがこれ以上ないくらいそろっています。試さないなんてもったいない! メイクする楽しさを忘れてしまったら、いちばん初めにコスメを手にしたときの高揚感を思い出して。疲れたり、閉塞感を感じることがあってもふとしたときにメイクを通じて、自分がワクワクする気持ちに戻れるといいな、と思うんです。
撮影/倉本ゴリ〈Pygmy Company〉 ヘア&メイク/笹本恭平〈ilumini.〉 スタイリスト/加藤かすみ モデル/桐谷美玲 取材・原文/伊藤真知 構成/内海七恵〈BAILA〉 撮影協力/タイトルズ ※BAILA2021年9月号掲載