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【働く女性とバッグとその中身まとめ】毎日の必需品や愛用アイテムから見えてくる、今の時代にフィットする働き方とは?

働く女性のバッグとその中身って、普段見られることを前提としていないからこそ、より雄弁にその人のリアルを物語るもの。どんな仕事観を持っているのか、今はどんな働き方をしているのか、バッグの「中身」からそれを探ります。それぞれ多様な価値観を持った6人の「自分サイズの、流されない働き方」は必見です。

<目次>

1.田上陽子さん(ビューティブランドディレクター)のバッグとその中身

詰め込みすぎた仕事と生活を見直し、結婚を機に北海道との二拠点生活へ

田上陽子さん

都心にある自宅は、結婚前に借りた一人暮らし用。光がたっぷり入り「気がいい」

「“自分自身がウェルネスでいないと”と気づいて、仕事に忙殺される日々が変わりました」

働き方ヒストリー

23歳:新卒でカルチャー系ベンチャー企業に就職するも方向性が違い1年で退社

24歳:転職した企業で、クリエイターのアシスタントやPRの仕事を経験。ものを伝える仕事に目覚める

25歳:PR代理店に入社。ビューティなどオタク”な分野に興味を持つ

30歳:マッシュビューティラボに入社。スキンケアブランドを立ち上げ、ものづくり”の魅力にはまっていく

35歳:ディレクターとしてビューティブランド「セルヴォーク」を立ち上げる

39歳:一大転機!フリーランス転向。引っ越し、失恋後の旅行中に運命の出会い

40歳北海道在住のワイナリー経営者と交際3カ月で結婚。東京での仕事を徐々に減らし、北海道との本格的な二拠点生活に向けて準備中

田上陽子さん

仕事だけでなく、生き方の大転換のまっただ中

「セルヴォーク」をはじめ、人気を集めるオーガニックビューティブランドのディレクターとして活躍する田上陽子さん。青山の自宅は、都心の仕事先には至便な場所にあり、出勤は自転車がメインだそう。ケースに入れたPCと「ジル サンダー」の薄型ショルダーバッグをかごに入れて。自宅の仕事スペースであるテーブルにはアロマや香りのいいスキンケアコスメが並び、その日の気分に合わせて選んでバッグに入れるのが習慣。

「実は40代を目前に、仕事が多忙を極め、体調をくずしてしまったんです。『ウェルネスを広める仕事なのだから、自分自身がウェルネスでいなければ』と思い、生活を見直しました。それで昨年末、会社員からフリーランスに転向。この家に引っ越しもして、リセットのために友人と北海道旅行へ。そこで、今の夫に出会ったんです」。相手は北海道の余市でワイン造りをする年下の男性で、交際3カ月で入籍。怒濤の展開!「婚姻届提出の午後には、ブドウ畑で堆肥まきを手伝いました。青山での暮らしとは180度転換です」と笑う。この春から1カ月の半分を余市で過ごし、いずれ本格的に暮らしの軸を東京から移す予定だそう。

「振り返れば、オタク的に掘り下げる仕事に憧れ、模索した20代。30代はそんな中からオーガニックの分野に出会い、ものを作る仕事を続けていこうと思いを固めた10年でした。そして、自分をおろそかにしないライフスタイルを、と考えた現在。パートナーとの出会いによって、すごく大きな変化の中に飛び込んだ感じです。今は働き方だけでなく、広く生き方というものを見つめ直す時期に入ったのかも。幅広く人をまとめ、ディレクションすることから、ブドウ作りのように本質を掘って探究することに興味が戻ってきました」。鮮やかに変わってゆく仕事と生活、今はそれを予感させるように、バッグの中身もどんどんそぎ落として軽やかになっているようだ。


仕事とは
自分の価値観を映し出すもの

田上陽子さんのコスメ

デスクの上にインセンスやアロマなど香りのコスメを常備。出かけるとき数本選んでバッグに忍ばせる

「セルヴォーク」の田上陽子さん

ディレクションするブランド「セルヴォーク」は5年目を迎える

北海道の田上陽子さん

北海道、夫と住む家はワイナリーの隣。自動車の運転にも挑戦

バッグは… JIL SANDER

どんなコーディネートにも似合うプレーンなデザインと、長く愛せるきちんとしたたたずまいに惹かれた、薄型のショルダーバッグ。PCや資料はバッグの中に入れない。財布、カードケース、目薬やミントのほか、もらいものの“お清め塩”も

田上陽子さんのバックの中身

荷物は最小限、PCケースを別にして機動力アップ

(右上)香りのアイテムは日替わりでセレクト
気分に合わせて数本をバッグにイン。今日はアロマオイル「YOU&OIL」(右)と友人が調香してくれた「haLuna」のコロン“yoko”(左)

(右下)PCケースはバッグとは別に
毎日仕事で使うPCは「nana-nana」のPVCクッションケースに。移動のときは手持ちか、自転車のかごにポンと入れてスマートに持ち歩く


中身の中身
(左下)アプリ「Vivino」でワインの勉強中
ボトルのエチケットを撮影すると、ワインの詳細情報が表示され、情報共有もできるアプリ「Vivino」。ワインの知識を深めるために活用

田上陽子さんのバッグの中身

中身の中身
(左上)自ら手がけた自信作コスメを常備
形がフレキシブルな布製ポーチに「セルヴォーク」のコスメを。肌づくりがこれひとつで決まるコンシーラー(右)と新色アイパレット(左)

ビューティブランドディレクター田上陽子さんのバッグとその中身を詳しくチェックする

2.穐山茉由さん(映画監督/ファッションプレス)のバッグとその中身

働きながら映画を学び、プレスと映画監督のダブルワークを実現

「二つの世界にいることで、私のバランスがとれているのだと思います。どちらも続けたい」

穐山茉由さん

映画制作仲間とシェアハウスで暮らす穐山さん。3フロアのメゾネットマンションに共同の作業スペースがあり、映画監督としての仕事場のひとつになっている

働き方ヒストリー

22歳:新卒でOEMの会社に就職するも半年で退社

23歳:大手アパレル会社に転職。広告宣伝などを経験したあと「ケイト・スペード ニューヨーク」のプレスに

27歳:ケイト・スペード ニューヨーク日本法人設立。新ラインの立ち上げなど、充実の日々

29歳:写真やバンド、色々な趣味に挑戦。結婚&退社を予定していたが考え直して婚約解消

30歳:働きながら映画の専門学校の監督コースに入学

35歳初監督作が東京国際映画祭で賞を獲得。ダブルワークを決意し会社と交渉

36歳正社員から契約社員に。プレス業務のかたわら映像作品やドラマ脚本を手がける

37歳:コロナ禍で週2回の出社に

38歳同世代の映画監督仲間と3人でシェアハウス生活を開始。11月に監督第2作公開予定

会社に相談、柔軟な働き方を受け入れてもらえた

バッグとバッグの中身が、これほど明快に二つの職業を語る人も珍しい。ハッピーな「ケイト・スペード ニューヨーク」の小物、プロ仕様のガジェットとシナリオや映画のチケットなどが、にぎやかに共存している。映画監督とファッションプレスの「二足のわらじ」を続けて4年目になる穐山茉由さん。「日常のスケジュール的にも内面的にも、二つの世界があることでバランスがとれているのだと思います。コロナ禍で映画業界にもアパレル業界にも激震が走りましたが、どちらかが止まったとしてもきっとやっていける、という安心感がありました。私の場合、ひとつしかなかったら不安かも」と語る。現在は、週2日はプレス、残りは映像関連の仕事。11月には、2作目の劇場公開作品『シノノメ色の週末』が控えている。

最初の転機はPRマネージャーとして仕事が充実していた29歳。表現意欲がむくむくとわいて、音楽や写真、映像を趣味で始めた。結婚にも憧れ、退職して婚約相手の転勤先についていく予定だった。しかし「自分の人生、違うかも?と思ったのと、やりたいこととして映画を発見したのが同じタイミングでした」。婚約を解消、会社を辞めないことに決めた。さらに穐山さんは働きながら専門学校に入学し、本格的に映画を学ぶ。「残業よりも自分の時間を大切にする社風で、上司も応援してくれました」。そして35歳、初長編映画が映画祭に出品され、もう一度働き方を考える転機が訪れる。「映画を仕事にしたいし、ファッション業界で築いたことや会社員としての安定も捨て難い。その思いをそのまま人事部に相談したんです」。正社員から契約社員へ雇用形態を変え、今の働き方へ。将来のことも見据えている。「次に撮りたい作品を第一に、1〜2年先について具体的に考えています。これからも、ファッションの経験を生かしながら映像でできることを増やしていきたい」


仕事とは
自分が情熱をかけられて、誰かの役に立つ(かもしれない)もの

バッグは… kate spade new york

秋冬の新作から、自立するビッグトートを愛用。「映像作業もこなせる15インチのMac Book Proと、シナリオなど紙資料を持ち歩くので、軽くて大容量なことは必須条件」。週2回の通勤以外に、映画関係での外出は時期によって様々に変わる

穐山茉由さんのバックの中身

ポップなデザインと映画監督らしいアイテムに注目

(上)新作のシナリオと好きな映画のあれこれ
最終編集中の新作映画のシナリオとアイディアノート。最近観た映画のチケット半券、映画の原作本、気になる作品のチラシなど、シネフィルらしい紙のアイテム

(中)“飴ちゃん”は常備!
りんご形のポーチには、いつもお気に入りのキャンディを数種類。作業に集中するときや、仕事仲間とのコミュニケーションにも

(下)映画作りに欠かせないHDDとヘッドフォン
映画監督ならではのプロフェッショナルなガジェット。外づけの大容量ハードディスクドライブには、編集中の映像が。ヘッドフォンがあれば外でも作業できる

中身の中身
(左上)自立するポーチにコスメ以外の小物も
持ち歩くコスメは最小限、マスキングテープに注目。「紙の資料をまとめたり、脚本の目印にしたり、仕事のときに何かと便利なんです」

映画監督とファッションプレスを両立させる穐山茉由さんのバッグとその中身を詳しくチェックする

3.坂中美紀さん(EC・通信サービス会社勤務)のリュックとその中身

一度はパスした課長職。勤続10年を前に、再び、納得して昇進

「次の10年は部下の成長をバックアップし、人に何かを与えられるようになりたい」

坂中美紀さん

PCでの作業が増えて、自分の手もとに目がいくようになったことから「ちょっといいジュエリー」が欲しくなったと坂中さん。長年愛用する「ジャガー・ルクルト」の時計に加えて、「ブシュロン」のキャトル リングを購入

坂中美紀さんの手もと

働き方ヒストリー

22歳:大阪で、生命保険会社の一般事務に新卒で採用される

25歳:結婚して退職。ジュエリーのオンラインショップで倉庫作業のアルバイト

27歳:夫の転勤で大阪から東京へ。派遣社員としてジュエリーブランドでPRアシスタント

29歳:離婚。退職し大阪へ戻るが、仕事が見つからず3カ月後に単身上京。現在の会社に就職

32歳課長に昇進するも、経験したことのない業務や責任に戸惑う日々

33歳
会社と相談し、子会社に出向。課長代理として、2歳年下の女性課長のもとで働き、4年間で多くを学ぶ

37歳
:コロナ禍で在宅勤務と出社のハイブリッドに

38歳:前任の課長の産休取得に伴い、課長に昇進。現在は十数人のチームを束ねる

自分が納得するペースでキャリアを進めてきた

「長らく小さなバッグで通勤していたのですが、昨春から週2回のリモートワークのため、重たいノートPCを持ち歩かないといけなくなりました。しばらくはバッグ迷子でしたね。トートバッグは肩が凝り、きれいめなナイロンリュックはPCを入れると形崩れ。大人が違和感なく持てるビジネスリュックをやっと探し当てたんです」と、会社員の坂中美紀さん。PC以外の持ち物も、コロナの前後でずいぶん減ったそう。「人と会わなくなったので名刺入れや化粧直しの道具は持ち歩かなくなりました」。機能的なバッグと最小限の仕事道具の中にある、ポップな覆面レスラー柄や、愛らしいダチョウやバナナを刺しゅうした小物に、本人の“好き”が垣間見える。

昨年10月からはチームをまとめる課長に。リモートでの会議が長時間を占める。来年で勤続10年。節目の年に向け、憧れていたジュエリーを自分のために買おうと思っているそう。「実は入社して3年目に、課長に任命されたことがあります。そのときは役職の重さと経験不足に、とても務まらないと実感。会社と相談して、子会社である現在の部署に出向し、役職も課長代理に下げてもらいました」。そこで過ごした4年間の経験が坂中さんの仕事意識を大きく変えた。「直属の課長が2歳年下の女性で、心から尊敬できる優秀な人。二人三脚で仕事をすることで、チームや他人に対する責任感を学びました。彼女の産休取得に伴い私が課長に。不安はあったけれど、安心して休んでほしいと思い、課長職への覚悟が決まりました」

自分だけでなく部下の成長も大切に考えるようになり「もっといい会社にしていきたい」という思いがある。この先も仕事から多くを学び続けたい、と思いを新たにする。プライベートでは、推しのピアニストのコンサートや大好きなイタリア旅行を夢見て、毎日をしなやかに楽しんでいる。


仕事とは

学び。すべての出来事や人から学ぶことがある。自分が成長できる場所

バッグは… TUMI

坂中美紀さんのバックの中身

コロナ禍でミニバッグからリュックへ。好みものぞかせて

(上)ポップな柄のタオルハンカチや刺しゅうグッズ
バッグの中で見つけやすくて心がなごむ小物たち。柄タオルは老舗メーカー「フェイラー」のもの。刺しゅうのマスクケースはネットで購入したハンドメイドの作品

(中)人と会う機会が減りコスメは最少化
「リモートワークと内勤が増え、化粧直しと名刺交換が激減しました」。必要最低限のコスメをレスポートサックのミニポーチに

(下)リモートワークでPCと充電器は必須
自宅でもオフィスでも、オンラインミーティングが勤務時間の大部分を占める。社用PCとバッテリーつきの携帯電話カバーが手放せない

坂中美紀さんの本の中身

中身の中身
(右下)ジュエリーの知識を文庫本で深めながら
手もとのジュエリーが欲しくなったと同時に、歴史や背景のストーリーに興味がわいたそう。刺しゅう入りの文庫カバーは、マスクケースと同じ作家のもの

課長職・坂中美紀さんのバッグとその中身を詳しくチェックする

4.森田みやびさん(専門商社勤務/コミュティ運用)のバッグとその中身

ワーママとして7年。この先の働き方を、産休期間で考えたい

「やりたいことは常にあります。産休はこれから進む道を考えるリセット期間に」

森田みやびさん

「社内のドレスコードはありませんが、数少ない出勤時にはジャケットを。やっぱり気が引き締まります」と森田さん。シワになりにくく動きやすい「アンクレイヴ」のテーラードが味方

働き方ヒストリー

20歳:学生時代、ベルリン留学やファッション雑誌のインターンを経験

22歳:新卒で専門商社に入社。物流関係の部署に配属されるが自分に合わず、1年で販促関係部署に異動

24歳結婚。販促担当者としてノベルティなどのものづくりに関わる

25歳:長男誕生。育休、半年で職場復帰

27歳:ワーキングママのコミュニティ活動「ハハプロジェクト」設立・運用に関わる。産休、長女誕生。スーパーバイラーズに応募。半年で職場復帰。@BAILAのブログで興味のあるサステナビリティについて発信する楽しさを知る。パーソナルカラリスト検定合格

30歳第3子妊娠。今回の産休は期間を長く取り、勉強や将来のための資格取得にあてる予定。またブログでの発信が企業の目に留まり、サステナブルな服のプロデュースを始める

サステナビリティについて発信し続けたい

「現在は在宅ワークがメインで、このバッグは週に1〜2回の通勤用。タンブラーやマイボトル、コスメを小分けにして入れている巾着袋は、普段使いのバッグに入れ替えて、毎日持ち歩いています」という森田みやびさん。2児のワーキングママと聞いて大きな荷物を想像していたら、実にスマートなバッグとその中身。オンとオフを無駄なく切り替えている。

中学生までを過ごし、留学先にも選んだドイツで、サステナブルかつデザイン性の高いものづくりへの興味が生まれた。そのことが、販促業務を担当する今の仕事にも生かされているという。「“使い捨てにされず長く持てること”を考えてノベルティグッズを企画。発注が倍になり、こだわりを持ってものを作る喜びを知りました

働きながら、結婚して2児を出産。「2回の産休は短く取り、同じ職場に復帰しました。長女の出産後、ずっと興味のあったサステナビリティやエコについて発信しようと思い立ち、スーパーバイラーズに応募したんです」。また、学生時代からの知人で同じ働く母である仲間が設立した「ハハプロジェクト」にも参加。「ママたちが役割分担しながら、働くことと子どもの面倒をみることを両立できる共同保育スペースを作りました。現在はリモートで、ワーママへの心のケアを中心に活動しています」。子育てやエコといった自らの関心を社会的にとらえ、生活の中で実践している。

現在、森田さんの発信は企業の目に留まり、サステナブルな服作りの企画が進行中。同時に第3子の出産も控えている。「これまでも、産休のタイミングで、新しい挑戦をしてきました。今回は期間を長めに取り、エコに関する勉強、オリジナル商品の開発など、自分の将来の役に立つ時間を持てれば。ものづくりや情報発信、やりたいことは常にたくさん。この先の働き方をじっくり考えたいと思います」と目を輝かせた。

仕事とは
本業が安定と経験をくれたから、副業で発信と挑戦ができる

バッグは… GIANNI CHIARINI

軽くてシンプルなレザートートを通勤専用バッグに。「重たい社用PCを縦にして入れられるA4サイズながらコンパクト。ロングショルダーがついて肩にかけられるのも魅力でした」。オフの日はエコグッズとコスメの巾着を別のバッグに移し替え

森田みやびさんのバックの中身

ミニマムな仕事道具と必需品のエコアイテムを

(右上)マイボトルは2個持ちもちろんエコバッグも
ストローつきで折りたためるタンブラーはコーヒーのテイクアウト用。シルバーのボトルにはミネラルウォーター。エコバッグはカラフルなプリントでお気に入り

(左中)ポーチ代わりの巾着にナチュラルコスメを
がっしりしたポーチより、ショップでもらえる巾着バッグが持ち運びに快適と気づいたそう。メイク道具のほか「イソップ」の除菌ジェルやミストなどをイン

森田みやびさんのスマホの中身

中身の中身
(右下)家族の予定共有はGoogleカレンダーで
スマホは社用と私用の2個持ち。夫婦共有のアカウントで、スケジュールを細かく把握することで、夫婦ゲンカせず効率的に家庭を運営

スーパーバイラーズ 森田みやびさんのブログをチェック!
ワーママ7年目の森田みやびさんのバッグとその中身を詳しくチェックする

5.秋元里奈さん(産直通販サイト運営)のリュックとその中身

産直通販サイト「食べチョク」を運営する“Tシャツ起業家”

「起業したときは“自分だけ頑張ればいい”と思っていました。従業員が増えた今は、“みんなが頑張れるように”と変わりました」

秋元里奈さん

社内の打ち合わせスペースにて。「旬の生産品を横に、取引先と打ち合わせすることが多いです」。食べチョクオリジナルのTシャツは、4年間欠かさず着ている秋元さんのトレードマーク

働き方ヒストリー

22歳:DeNA入社。3年半で4つの事業を経験

25歳起業を考えると同時に上司に退職を申し出る。実家の農業に目を向けビビッドガーデンを立ち上げる

26歳:サービス開発着手から7カ月後に「食べチョク」正式リリース。社員はゼロ。前職の同僚に助けてもらいながらスタート

27歳:2018年夏の西日本豪雨。被害を受けた生産者を救いたいという思いで業務内容を拡大

28歳
:2019年の台風19号でも生産者の被害が多く、サービス拡充に努める。従業員は10名に。一軒家に本社を移転し、職住一体の生活

29歳
:2020年コロナ禍に伴う在宅需要が高まり、流通額は42倍に。自分自身も顧客対応に追われる。従業員は3月に30名

30歳:従業員は70名に。本社を浜松町のビルのワンフロアに移転

困っている生産者のため社員と協力して事業を拡大

秋元里奈さんがこだわりをもった生産者が集う産直通販サイト「食べチョク」をスタートしたのは、25歳のとき。現在30歳、取材のこの日は朝からテレビ番組の打ち合わせを終え、帰社後は各部署のミーティングや金融関係者との打ち合わせ、「夕方一瞬ジムに行って」、SNSで生産者との対話と配信を行い、終業は21時。外出先や勤務時間外に資料作りを行うことも多く、PCを入れて動きやすいリュックが欠かせない。リモートの仕事が増えても、名刺は常に200枚近くを持ち歩く。人とつながり、関わることを大事にしている。

「2カ月に1回、社員全員と1on1のミーティングを行っています。社員が10人までなら自分の背中を見てついてきてくれる。でも、昨年従業員が30人を超えてからは、一人ひとりとのコミュニケーションが大切に。起業当時は、自分だけが頑張ればよかったけれど、今はみんなが気持ちよく働けるほうが会社としていちばん力を発揮できる。その環境づくりも仕事です」

昨年、コロナ禍で「食べチョク」の流通額は前年比の42倍になり、ユーザーは50万人に急成長した。「今までも、台風などの自然災害による生産者の廃業を食い止めたい、という思いでサービス拡大に努めてきました。コロナによる外食やイベントの自粛で、全国の生産者が受ける打撃は甚大なものに。早く会社の規模を大きくしないと、目の前の生産者を救えない。そういう理由から、事業の計画を、予定よりどんどん前倒しにしたんです」。比例して仕事量も増えたが、たとえば、アイディアは思いついた段階でSlackを通じて社内に共有。風通しよく意見を交換することで、スピーディな挑戦をみんなで行えるようになった。

「これまでは〈起業家〉でしたが、30代を迎えた今年が〈経営者元年〉。これからライフステージが変わっていくことを考えると、頼りにしているのは、一歩先のステージにいる、同性の経営者たちです」


仕事とは
人生をよりよくするもの

きゅうりにかぶりつく秋元里奈さん

東京の農園を訪れ、生産者と一緒に採れたてのきゅうりにかぶりつく

バッグは… Legato Largo

秋元里奈さんのバックの中身

生産者への愛と経営者の合理性がぎゅっと凝縮

(右上)欠かせないおやつはハチミツとフルーツ
スティックハチミツとドライフルーツは、集中力アップと美容と健康のためのおやつ。「食べチョク」で取り扱っている生産品

(中上)野菜や果物モチーフのイヤリングを常備
毎日Tシャツを着ているため、上半身はイヤリングで変化をつける。イチゴやマスカットなど、生産品にちなんだモチーフで話題作り


(左上)名刺は200枚のストックを持ち歩く
直接会う機会は減ったとはいえ、名刺は常に必須。手書きのノートには資料作りのメモを残していて、2カ月ほどで1冊を使い切る

中身の中身
(右下)社内の声はSlackアプリで即時共有
ふと思いついたアイディアもビジネスメッセージアプリを通じて共有。生産者との音声コミュニケーションはTwitterのスペース機能で

「食べチョク」代表・秋元里奈さんのバッグとその中身を詳しくチェックする

6.前田有紀さん(フラワーアーティスト)のバッグとその中身

花という一生の仕事に出会い、30代でアナウンサーから転身

「コロナをきっかけに、家族で暮らしている街と子どもたちのために仕事を生かすことを考えました」

前田有紀さん

自然に囲まれた鎌倉の自宅にて。仕事で使った花材を持ち帰るため、家の中はいつも花でいっぱい。「アナウンサー時代、部屋に一輪の花を飾ったときに感じた思いが、今につながっています」

働き方ヒストリー

22歳:テレビ朝日入社。アナウンサーとして多くの番組に出演

27〜28歳:アナウンサーの仕事は充実。花を仕事にしてみたいと考え始める

32歳:逡巡したが、入社10年目で退社。留学し、コッツウォルズの古城でガーデナーのインターンを経験する

33歳:「花の仕事を一生続けたい」と決意し帰国。都内の生花店で修業スタート

34歳:結婚

35歳独立して個人のフラワーアーティストとして活動を始める。長男誕生

36歳:鎌倉に転居

37歳:会社guiを立ち上げる。移動販売を中心に活動

39歳:次男誕生

40歳実店舗NURをオープン。地元鎌倉で、子どもたちのためのお花教室をスタート

安定よりワクワクする職業へ花の世界を多くの人に伝えたい

前田有紀さんは鎌倉在住。「週に1〜2回、都内の生花市場と自分の店舗に通うときは自動車で。そのせいか仕事バッグに求める条件は特にありません。代わりに社会貢献や保護活動など、コンセプトに共感するブランドを選ぶことが多いです」。自身もまた、花の仕事を通じて、地域を豊かにする活動を始めている。たとえば、店の売れ残りや装花の余りなど破棄されてしまう草花を、地元の児童養護施設への寄付やコミュニティに配ることで削減する取り組み。またこの夏からは、子どものための花の教室もスタート。「コロナ禍で鎌倉にいることが増えたのがきっかけ。家族で暮らす街と子どもたちのために、できることをやっていきたいと思うようになりました」

テレビ局のアナウンサーとして活躍していた前田さんは、32歳で転身。「花に関わる仕事がしたいと考え始めたのは28歳の頃。当時、会社員としての自分の将来を『きっと数年で結婚して、育休を取って、まあ、こんなものだよね』と思ってしまっていたんです。それが、やりたいことができた瞬間、一気に変わりました。先がどうなるかわからない、安定もない、だけどワクワクするんです。数年間逡巡したものの、やはり新しい人生にチャレンジしたい気持ちが大きくなり、入社10年目で退職しました」。それからは、駆け抜ける8年間だった。修業時代を経て、独立。

「花の魅力を伝えたくて、まず移動販売などポップアップ主体のguiを設立しました。そして今年4月に、実店舗NURを都内にオープン。コロナでオンラインでの注文が増え、逆に実体験として、花の魅力を深められる場所が必要と思ったからです」

“花にまつわる体験”をより多くの人に届けることに一生を捧げたいと、きっぱりと語る。「これからは、自分の仕事を社会へ還元することも目標のひとつ。花を通じて、売るだけではない取り組みをしていきたいと思っています」

仕事とは
一生続けていきたいこと

バッグは… AYA KAWASAKI

スウェードのミニバッグは「食肉用動物の廃棄レザーを使ったブランドのもの。コンセプトに惹かれて手にしました」。作り手に共感できたり、大切に使いたくなるアイテムを選ぶことが多い。「ルイ・ヴィトン」の財布と名刺入れは姉から譲り受けたもの

前田有紀さんのバックの中身

持ち物選びは「マインドに共感するもの」を基準に

(左上)車通勤のお供は大きめのマイボトル
都心のショップには車で通勤する前田さん。「毎日持ち歩く『パタゴニア』のマイボトルは、バッグが小さい日は外に出して助手席へ」

中身の中身
(左下)地域通貨サービスのアプリで地元に貢献
「まちのコイン」は地域内で活用できるコミュニティ通貨。「余った花材を提供したり、ゴミ削減への協力でサービスを受けられたり、アプリなので気軽で便利」


中身の中身
(右上)カラーマスカラとリップ&日焼け止め
「アイメイクを頑張らなくても雰囲気が出るのでハマっています」。アフリカの教育と雇用創出活動を行うブランド「CLOUDY」のポーチに


(中)木製アクセケースにイヤリングを色々
「花の仕事では手もとアクセは邪魔になるし、服装も実用第一。耳もとでおしゃれを楽しみます」。車の中でイヤリングを選び耳につけることで仕事スイッチON


(右下)フローリストナイフは忘れずに常備
花の水揚げや枝切りに使うプロ用の折りたたみナイフ。「はさみなどは仕事先に置いていますが、コンパクトなナイフはどんなときも一緒」

フラワーアーティスト前田有紀さんのバッグとその中身を詳しくチェックする

7.文筆家・岡田 育さんは同世代の「バッグの中身」をどう見たか?

働く女性のバッグの中身はみんな違ってみんないい

サラリーマンだった十数年前、「バッグの中身」企画に出演したことがあります。当時の私は働き始めて間もない20代後半。自分を実際以上に素敵に見せたいという欲や、ほかの人と比べる気持ちとのせめぎ合いで、なんだかあの頃のキラキラした女性誌の誌面に踊らされちゃったなあ、と、少しトラウマに感じていました。


今、私は41歳です。特集に登場された30歳から40歳の6人の皆さんの「バッグの中身」を拝見し、時代も、自分の意識も変わったなと感じました。それぞれにキャリアの密度が高く、バイタリティにあふれているのですが、持ち物は本当に飾らず理にかなっている。「この人だから、この中身」ということがすんなり受け止められます。機能的なものに交じって可愛いものがあって、今流行しているからみんなコレ、というおそろいがあまりない。20代の頃は「社会人になったら、ちゃんとしたブランドを持たなきゃ」とか「みんなと同じにしなきゃ」という謎の焦りがありましたよね。あの意識から少しずつ解放され、30代あたりから、今の自分の働き方と生き方に合ったものを見つけられるようになるのだな、という実感を持ちました。


6人のプロフィールの情報量には、実はびびりました。「どうしよう、みんなバリバリだ、私なんかが感想を言っていいの?」って。だけどじっくり読んでいくと、アイテムと同じで、おそろいがないのは独自の道に分かれていったからだとありありとわかる。そりゃあ情報量も増えるよ、と納得です。結婚をきっかけに、仕事と生活のフィールドを変えようという田上さん、会社員から起業した秋元さん、アナウンサーからフローリストに転身した前田さんなど、突然訪れたり、自ら引き寄せたりした転機に飛び込んでいく姿は頼もしく、印象的です。また一方で、会社と相談して、勤めながら別の肩書でも活躍する女性たちに興味を惹かれました。映画を撮りながら同じ会社に勤め続ける穐山さん、自分の人生のタイミングと会社から受けた申し出をじっくり相談して、キャリアプランを作っていった坂中さん。子育てをしながら可能なかたちで仕事を続け、新しい挑戦の過程にある森田さん。自分の暮らしの中にあるいくつもの顔を、全部無理なく少しずつ進めていく働き方が素敵です。出版社を退職して文筆業に至った自分の過去を振り返ると、当時は本業と副業どちらかという選択になったし、両方やろうとなったら2倍以上のコストがかかりました。今は柔軟な職場環境もあるのだと勉強になります。若い世代から相談されたときには、こんなふうにも働けるよ、と伝えたい。


二つ以上の肩書をお持ちの方が多く、仕事が多岐にわたるほど荷物がミニマル。今はスマホもあるし、働きに行く先それぞれの環境を心地いいように整えられていたら、持ち歩くものは少なくていいのだという発見も。仕事が増えるたび荷物が増え、かばんも要塞のように巨大化していく私は「コツを教えて!」という気持ちにもなりました。働き方が似ていても、その人と持ち物が似ているとは限らないのですよね。かばんの中身は、それぞれの人柄、仕事、人生の表れで、参考にできる部分もあれば、まるごと真似できるわけでもない。私に好きなものがあって、あなたはこれが好き。地に足着いてきたからこそ、互いに過剰に意識することなく相対化できるようになる。なんといっても6人6様だったポーチが象徴的です。その時々でなんでも入る大きなものから、小分け方式に変えたり、また大きくしたり、一周回ってショップでもらう巾着が便利、と気づいたり。誰かの真似ではなく、自分に合わせた取捨選択を経て巡る、まさに我らの人生の軌跡じゃないですか。使い勝手は「今」のベストだけど、半年後にはまた変わっているかも?


仕事に就きたての頃とは全然違う。それぞれの道に分かれ、今も途上にいるからこそ、30代以降の働き方も持ち物も、みんな違っていてやっぱり面白い。思えばお互い遠くに来たよね、とたたえ合うような気持ちが生まれて、20代の頃のモヤモヤが昇華されていきます。働き始めて十数年、私たちのかばんの中身はてんでんバラバラでいいんだ。あらためて、晴れ晴れとそう感じました。

岡田 育


1980年生まれ、東京都出身。出版社勤務を経て2012年からエッセイの執筆を始める。テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍。’15年からNY在住。著書に『我は、おばさん』(集英社)、『ハジの多い人生』(文春文庫)ほか多数。

撮影/田形千紘(田上さん、坂中さん)、須藤敬一(穐山さん、森田さん、秋元さん)、上澤友香(前田さん) 取材・原文/久保田梓美 ※BAILA2021年11月号掲載

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