30代・40代の妊娠のお悩みや疑問に医師が回答! 今回は「妊活中のアルコール摂取」について。どのタイミングから辞めなきゃいけない? 赤ちゃんに影響あるのはいつから?
Q:妊娠したらお酒はダメとは知っているけど、妊活中は飲んでも大丈夫ですか?
30代&40代女性の「リアルな妊娠悩み&疑問」!
・「39歳、10カ月前から不妊治療中です。人工授精や採卵、移植……と経験してきました。採卵や着床待ちのタイミングではアルコールを絶ってきましたが、飲めるタイミングがあまりにもなくてイライラ……。卵が採れなかったり、着床しなかったりすることへの苛立ちをお酒で発散したいのですが、『もし妊娠していたら今は妊娠超初期』と思うと、赤ちゃんへの影響が怖くて飲めません。もう一旦不妊治療をお休みして浴びるようにお酒を飲みたい!とも思うのですが、今までやってきた体調管理が無駄になると思うとそれもできなくてしんどい。ベビ待ち中のアルコール、いつまで飲んでよいのか正解が知りたいです……」
・「毎日の晩酌が夫婦の楽しみ。お酒を飲みながら夕飯を作り、ドラマをみながら乾杯しています。飲みたいお酒に合わせて料理も外食のお店も選ぶわが家、水やソフトドリンク、お茶では代用が難しいかなと思います。仲間との乾杯もお酒の美味しいレストランやバーで。アルコールなしの店選びは考えられません。今は妊活中でもあるのですが、アルコールはいつからやめなきゃいけないのでしょうか? お酒なしの生活なんて正直想像もつきませんが(笑)」
・「つきあいでお酒を飲むことが多い仕事です。現在ベビ待ち中、毎月生理開始日をアプリで登録して、『今は妊娠何週目♡』と数えながら過ごしています。排卵日前はお酒をガブガブ飲んでも関係なさそ〜と思うのですが、着床後くらいのタイミングから『お腹に赤ちゃんがいるかもしれないけど、お酒を飲んでも大丈夫かな?』と思うように。生理予定日の直前は1〜2杯にとどめたりもしてます。アルコールが赤ちゃんに影響あるのはどのタイミングからですか? 妊活中もやめたほうがいい?」
医師が回答!
通常の婦人科診療のみならず、最新の脳科学×心理学×医学を総合的に駆使した診療を行うコーチング医。認知行動療法をベースに、トランスフォーメーショナルコーチのテクニックを日常診療に取り入れ、健康管理だけではなく、育児の悩みや親子関係・夫婦関係の改善など、幅広い分野で同テクニックを活用する。
※“妊娠超初期”という表現について……排卵日から月経予定日の期間を、“妊娠超初期”や、“妊娠2〜3週”と呼ぶ人もいますが、これは医学用語ではありません。この時期はまだ妊娠が成立していないため、妊娠とは呼べない段階です。記事でも読者からの悩みなどに登場しますが、便宜上“妊娠超初期”、“妊娠2〜3週”を「排卵日から月経予定日」と捉えた上で解説しています。
【ANSWER】妊娠超初期はお酒を飲んでも大丈夫!でも依存には気をつけて
「1人目の相談者さんが言う“妊娠超初期”、妊娠成立前のアルコールは問題ありません。月経予定日を過ぎ、妊娠が成立したら一滴も飲まないように、というのが医学上の見解です。
月経予定日前であればアルコールを飲んでも問題ないとはされていますが、『赤ちゃんに影響が出たらどうしよう』と心配を抱えるタイプの人はやめたほうがいいです。お酒関係なく、その後赤ちゃんに何かが起きたときに、『あのとき私がお酒を飲んだせいかもしれない』と紐付けてしまうおそれがあります。日頃から不安傾向のある心配性の人は、なるべく不安要素を作らないようにしましょう」
【ADVICE】毎日飲む人は、妊娠後に備えて頻度を減らして
「妊活中の飲酒で、もうひとつ注意して欲しいことが。アルコールは本来嗜好品であり、栄養学的には生きていくために不要なもの。ですから、2人目の相談者の方のように、毎日アルコールを飲まないといけない状態の人は依存的になっているといえます。
飲み会などのつきあいでたまに飲む程度でしたらまったく問題はないのですが、毎日晩酌で飲む習慣がある人は、妊娠を意識した段階で見直したほうがよいと思います。アルコールが欠かせないという人が、妊娠して急に飲めなくなったらやっぱりつらいものです。
『少し飲むくらいなら、実際は問題ないですよね?』と妊婦さんに聞かれることもあるのですが、妊娠中のアルコールは、少量でも赤ちゃんに影響が出ることが分かっているのでダメです(低体重、顔面を中心とする形態異常、脳障害などを引き起こす可能性があります)。
お酒に依存しがちな人は、ストレス発散にアルコールが必要だったり、アルコールが唯一の喜びという状態になっている人も多いように思います。妊娠を意識した段階から依存傾向に気付き、別のストレス発散法や趣味を見つけるなどして、飲酒の頻度を少しずつ減らせるように努力しましょう」
妊活中は飲んでも問題ないアルコール。妊娠後を見据えて、酒量の見直しが必要!
取材・文/櫻木えみ