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スーパーバイラーズ太田冴さんはパニック障害を機に“女性の働きやすさ”を見直し、大学院で勉強中【未来へ繋がるあの人の学び⑤】

学びって実は大人になるほど楽しめるもの。そう教えてくれるのは、一歩先をゆく同年代の女性たち。スーパーバイラーズ太田冴さんは大手金融機関入社7年目で、パニック障害に。“女性の働きやすい環境づくり”を見つめ直すべく入学した大学院で、現在専門分野を学んでいる最中!

立ち止まったからこそ見えた社会の仕組みへの疑問を建設的に発信していきたい

立ち止まったからこそ見えた  社会の仕組みへの疑問を  建設的に発信していきたい

History
2018:パニック障害と診断される。その後休職を経て退職
2020:大学院に入学
2021:修士論文を執筆中

太田 冴さん

太田 冴さん


おおた さえ●元金融機関OLで現在はフリーランスライター。早稲田大学大学院社会科学研究科修士課程在籍中。'20年からスーパーバイラーズ。

パニック障害を患い休職。自分の中にたくさんの疑問が生まれた

早稲田大学法学部を卒業後、大手金融機関に就職。総合職として入社し出世コースを突き進んでいた。丸の内のバリキャリ女子だった太田さんが、会社を退職して大学院修士課程に入学したのは約2年前。30歳を迎えたときだった。

「私がいた総合職は“男社会”で。130人いる同期の中で女性は11人だけ。周りから“あとに続く女性たちのロールモデルにならないとね”と声をかけられることも。そんな期待にこたえるべく、必死に働いていたのですが、どこかで無理をしていたんでしょうね。入社7年目、心身のバランスをくずしてパニック障害に。休職することになってしまったんです」

太田さんにとって“人生初の挫折”になった約1年間の休職期間。

「それまで当たり前だったことができない、皆と同じ生活を送ることすらままならない。病気になって感じたのが“社会は元気な人を中心につくられている”ということ。世界は平等に見えるけど実は違う。自分がその立場に立って初めてマイノリティについて考えるようになったんです」

そんな時間を過ごすなかで、実は今までの自分も会社ではマイノリティな存在だったということにも気づいた。

「男社会の中で男性に合わせてガムシャラに頑張らなきゃいけない。それが正解だと自分に言い聞かせ必死に働いてきたのですが。学生時代は同じように勉強や受験をしてきたのに、会社に入った途端になぜ差をつけられてしまうのか。男性となかなか同じポジションにつけない、男性以上に頑張らないと同じキャリアをつかめない。周りは“あとに続く後輩たちのために頑張れ”というけれど、自分のやっていることは逆に彼女たちを苦しめることになるのではないか……。それまで見て見ぬふりをしていた疑問が自分の中にワッとわき上がってきたんです」

女性が働きやすい環境をつくりたい。でも、今のままでは“個人の意見”で終わってしまう。学問的な知識を手に入れればきっと説得力が生まれる。自分の声がより多くの人に届き受け入れてもらえるかもしれない。太田さんは“もう一度、学び直すこと”を決めた。

夢や目標が見つからないなら「今はお金を貯めておけ‼︎」

大学院では女性の社会科学や公共政策を研究。現在は修士論文を執筆中。「16人の女性管理職の方にインタビューしたんです」と生き生きとした表情で語り「卒業後は女性をエンパワーメントするための発信をしていきたい」と言葉を続ける。

「休職中は“これからどう生きていけばいいのか”と途方に暮れてしまった時期も。そんなときに始めたのが自分の経験を綴ったブログで。そこに届いたのが“実は私も”というたくさんの声でした。周りに相談することもできず、心身の不調を抱えながら一人で悩む女性が多いことを知り驚き、そして、そんな方々の声に私自身とても励まされて。同じように悩んでいる人たちにも“大丈夫、あなただけじゃないよ”と伝えたい、それが発信したいと思う大きなきっかけになったんです」

バイラの読者ブロガー「スーパーバイラーズ」としても活動中の太田さん。その応募も「発信したい」思いがあったから。自分の経験を綴ったブログが反響を呼び、今はライターの仕事もスタート。自ら下した決断で人生は大きく変わった。

「会社を辞めて学び直す、大きな決断を下すことができた理由をよく聞かれるのですが、その答えは“貯金があったから”なんです。使う暇がないくらい忙しく働いていた結果、気づいたらある程度のお金が貯まっていた。そして、それが選択肢を広げてくれた。現状に満足していない、いつか何かを学びたい、漠然とそう思っている人に助言するなら“とりあえずお金を貯めておけ”。それは迷う自分の背中を押してくれ、最初の一歩を踏み出す勇気を届けてもくれる。いずれ自分の強い味方になってくれるはずですから!」

自宅は作業しやすいようにかなり改造

自宅は作業しやすいようにかなり改造。昇降型デスクやスクリーン、修論で頭を整理するためのホワイトボードも導入

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教科書や資料本の一部。特に中野円佳さんの著作は入学前に読んで感銘を受け、太田さん自身にとってのロールモデルに

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コロナ禍での勉学に、いいリフレッシュ効果をくれたのはベランダで過ごす時間。ハーブ苗を育ててティータイムも

撮影/須藤敬一 ヘア&メイク/サイオチアキ〈Lila〉 取材・原文/石井美輪 ※BAILA2022年2月号掲載

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