「私って女友達が少ない?」「うまくつきあえないのはなぜ?」そんなモヤモヤを抱えているバイラ世代もきっと少なくないはず。精神科医の水島広子先生がアドバイス。
精神科医
水島広子先生
対人関係療法専門クリニック院長。「対人関係療法」の日本における第一人者。著書に『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)など。
バイラ世代はもう大人。我慢や忖度で女友達をつくる必要はない
終わりの見えないコロナ禍の中で、女友達と会う時間が減った私たち。そこであらためて「独りぼっちだったんだ」と孤独感を深めた人も。
「物理的に女友達との接点が減ると孤独になるのは当然だと思いますよ。でも同時に、すべてのつきあいが必要だったか再考を。なんとなくつながり、社会へ参加する欲求を満たしていた関係もあったはずです。逆に今は、煩わしさから解放された分の時間を趣味に費やす、誰かと気軽に話したい気持ちが強まったら、オンライン上で雑談する空間をつくるなど、自分軸で女友達とつきあう、新たな環境をつくれるチャンスです」
一方、なぜか女友達が少ない、できない、続かないという悩みは、コロナ禍とは関係なく、普遍的なもの?
「そうですね。でもこれも無理につくる必要はないと私は思います。中には必要以上に相手へ踏み込むタイプ、周りの人に顔色を読ませるタイプなど、面倒な性質を持つ人もいますから。関わらないほうが平和に生きられる場合も(笑)。無理に女友達をつくるのではなく、自分が相手に振り回されることのない思考法を身につけましょう」
「そして人間関係は忖度ではなく、誠実さでつくられるもの」と水島広子先生。
「まず自分の心の領域を守り、相手にも示してあげること。たとえば同僚が上司に怒られていたとします。『慰めてあげなくちゃ!』と焦って動くのは忖度。相手だってあなたに何も求めていないかもしれない。そこを『私、今15分時間あるよ。なんかモヤモヤしてるんだったら聞くよ?』と声をかけるのは誠実さ。人間関係は誠実な“今”の積み重ねの連続で続いていくもの。大人の女同士のつきあいは、各自のライフスタイルが様々で、それゆえに気をつかいすぎたり、疎遠になる局面も多いと思いますが、自分ができる範囲で声がけをしたり、相手に質問をしながらつきあうのがベスト。30代はもう自立した大人の女性です。少しずうずうしく、かつ誠実に接することで、自分も周りもラクになれるはずです」
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違う立場も尊重する気持ちを
「仕事が忙しい人、結婚している人、子育て中の人。様々なライフスタイルを送っているのがバイラ世代。だからこそ小さなことでも『私は〇〇したい。あなたはどうする?』と質問し、相手の立場を尊重する習慣を」
ベタベタだけが友達じゃない
「密着した関係を続ける=仲よしではないです。大人になれば避けたい話題のひとつやふたつはあるはず。そんなときは無理に楽しそうに聞かない、一時的に離れるなど、“自分の心の領域”を守るのもつきあい方のコツ」
そのひと手間が相手を救うかも!?
「とはいえ、女友達との間にも、もちろん思いやりは必要。悩んでいるようだったらひと声かける、次の機会に気が紛れる何かを渡す、など。あくまで自分ができる範囲で、相手を励ましたり、見守れるといいですね」
撮影/須藤敬一 取材・原文/佐藤裕美 ※BAILA2022年3月号掲載