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三月歌舞伎座『 #石川五右衛門 』、四月歌舞伎座『 #荒川の佐吉 』に #松本幸四郎 が登場!! 【歌舞伎沼への誘い♯37】

「落ちるの一秒、ハマると一生」と言われる歌舞伎沼。その深淵をのぞき、沼への入り方を指南するこの連載。今月ご紹介するのは、三月歌舞伎座の『石川五右衛門』、四月歌舞伎座の『荒川の佐吉』と注目の演目に続けて出演する松本幸四郎(こうしろう)さん。ともに思い入れの深い演目で、『石川五右衛門』は、昨年亡くなった叔父の中村吉右衛門(きちえもん)さんの教えを、そして『荒川の佐吉』は片岡仁左衛門(にざえもん)さんの教えを胸に舞台に立ちます。そんな幸四郎さんの合同取材会にバイラ歌舞伎部のばったり小僧が潜入!! 思い入れの深い舞台に挑む今の気持ちを聞きました!!

松本幸四郎の合同取材

↑取材会での松本幸四郎さん。シックなお着物がとっても似合って素敵♪ まさに「二枚目」ですが、話始めると天然キャラ全開。そのギャップがたまりません!!

■『僕の叔父はすごいでしょ』と僕の体を通して伝えたい

ばったり小僧 絶景かな、絶景かな~!!

まんぼう部長 小僧、それは、『石川五右衛門』の有名なセリフね。早速、歌舞伎座に行ってきたのね。

小僧 はい、「三月大歌舞伎」幸四郎さんの石川五右衛門、観てきました~♪  主人公の五右衛門は、天下の大泥棒ですからね。ワイルドで、豪快で、悪の魅力満載で、かっこよかった~!!  そして、幸四郎さんの台詞回しや、ちょっとしたしぐさに吉右衛門さんを感じて、何度もぐっときました……。

部長 そうよね。石川五右衛門といえば、昨年11月に亡くなった中村吉右衛門さんの当り役のひとつ。生前最後に演じた役でもあるのよね。それを甥の幸四郎さんが演じるということで、吉右衛門さんオマージュ的な意味合いが大きい舞台なのよね。

小僧 そうなんです。幸四郎さんは、生前、叔父の吉右衛門さんから、たくさんの芸を受け継いできて、『石川五右衛門』もそのひとつ。声の出し方から、間の取り方まで、細かく教わったと、取材会で幸四郎さんが言っていました。

今回の舞台も「叔父に教えてもらった五右衛門をお客様に観ていただき、喜んでいただくことで、『僕の叔父はすごいでしょ』ということをお伝えしたいです。僕の体を通して、スケールの大きい叔父の五右衛門を感じていただけることを目標にしています」って目を潤ませていたのが印象的でした。

歌舞伎俳優の松本幸四郎の石川五右衛門の写真

↑平成23年9月新橋演舞場『石川五右衛門』石川五右衛門=松本幸四郎(当時:市川染五郎)髪型からしてパンクで、ワイルドだぜ~な五右衛門。大きくてかっちょいい。そして吉右衛門さんの面影が…!!

部長 素敵なコメント。まさに吉右衛門さんの芸を写したのね。そういえば、歌舞伎座のチラシに載っている五右衛門姿の幸四郎さんが、吉右衛門さんにそっくりで、思わず涙が出そうになったって、吉右衛門さんのファンの人が言っていたけれど、確かにこの写真だけでぐっとくるものがあるわ。

小僧 顔だけじゃなくて、声がまた似てるんですよ。以前、バラエティ番組に幸四郎さんが出たとき、いろいろな演目のセリフだけを聞いて、歌舞伎俳優を当てるクイズがあったんです。もちろん幸四郎さんはずっと正解してたんですけど、最後にひとつだけ間違えたんですよね。幸四郎さんは、「叔父(吉右衛門)の声です」と答えたんだけど、じつは幸四郎さん本人の声だったという(笑)。本人が間違えるくらい声質が似ているんですよ。

部長 ちょっと高くて張りのある声ね。叔父と甥だから、似ているのは当然だけど、時代劇『鬼平犯科帳』も吉右衛門さんから幸四郎さんに受け継がれるし、二人には叔父・甥以上の結びつきみたいなものがある気がするわ。

小僧 そうなんです。たとえば吉右衛門さんの代役を幸四郎さんが勤めたことは何度かありましたけれど、数年前、幸四郎さんが大ケガをして舞台を休むことになったときは、なんと代役が吉右衛門さんだったんです。
部長 ええっ、そんなことが!!  いくら甥っ子の一大事とはいえ、代役が吉右衛門さんって、すごすぎる。
小僧 幸四郎さんが初めて『勧進帳』で弁慶を勤めたときには、吉右衛門さんが義経を勤めてらして。

部長 えええっっ!? その義経、弁慶より強そうなんですけど(笑)。

松本幸四郎のインタビュー写真

↑「叔父の五右衛門の魅力は、何事にも動じない大きさです」「五右衛門のセリフ回しは、とても繊細なのですが、それが豪快に見えるように声の高さ、大きさ、間の取り方を考えないといけない。その点、叔父は、とてつもないものを持っていましたから」と吉右衛門さんの声の素晴らしさを語る幸四郎さん。その睫毛の長さにみとれる小僧でした。

小僧 そして染五郎から幸四郎になったときの襲名興行の『勧進帳』では、幸四郎弁慶に対して、吉右衛門さんが富樫をお勤めになったんですよね。このときの吉右衛門さんの気迫は、本当にすごかったです。弁慶の前に立ちはだかる富樫の姿は、それはさながら幸四郎さんの前にたちはだかる高い高い芸の壁のようで……小僧は『エースをねらえ!』を思い出しました。

部長 せっかくいい話だったのにマンガ!?

小僧 主人公の岡ひろみが、先輩のお蝶夫人と試合する場面で、お蝶夫人が自分の技のすべてを教えるために、全身全霊で試合をするシーンがありまして……。それを悟って、ひろみは一回りも二回りも成長するんです。

幸四郎さんの弁慶も大きな富樫に引っ張られるようにして、どんどん大きくなっていったんですよ!! つまり、私が言いたいのは、幸四郎さんにとって、吉右衛門さんは、特別な存在だったと思うんですけれど、吉右衛門さんにとっても幸四郎さんは、特別な存在だったんじゃないかなって。勝手な想像ですけれど。

部長 勝手な想像だけど、いい話だから許します(笑)。とにかく幸四郎さんの五右衛門、楽しみだわ。今回は、宙乗りもあるのよね。「つづら抜け」といって、空中で、五右衛門がつづらから出てくるスペクタクルな宙乗りがあると聞いたわ。

小僧 はい。幸四郎さんは、「歩道橋も真ん中を歩くほどの高所恐怖症だから、気分次第で、つづらが飛んでいくだけの日があってもいいかも(笑)」なんて言って取材陣を笑わせてたけど、宙乗りのまま、めっちゃ高い3階まで飛んでいきます。3階席でも幸四郎さんが近くで観れますよ~♪

横顔も素敵な松本幸四郎のインタビューカット

↑大泥棒・五右衛門にちなんで、「盗めるものなら盗みたいものは?」との質問に対して、幸四郎さんの回答は、「芝居の資料など物が増えてきて、収納スペースがなくなってきました。資料を置けるように、隣の家を盗みたいです(笑)」。「盗みたいものは『芸』です」とか言わないところが好きです☆彡

■『荒川の佐吉』ほど、毎日泣いた芝居はありません

部長 続いて「四月大歌舞伎」では、幸四郎さんは『荒川の佐吉』で、主人公の佐吉を勤めるのよね。『荒川の佐吉』と言えば、私は仁左衛門さんの佐吉の印象が強いけど、江戸時代の人情噺で、これが泣けるのよねぇ。

小僧 はい。幸四郎さんは、以前、仁左衛門さんの佐吉で、大工の辰五郎を勤めたことがあるそうで、それが強烈な記憶として残っていると。「あれだけ毎日泣いた芝居はありませんでした」って取材会で言ってました。

部長 ストーリーを簡単に説明すると、任侠の世界に生きる佐吉は、義理人情に厚い男で、親分亡きあと、孫の卯之吉を親代わりに育てることになるのよね。卯之吉は、盲目だったことから、親元から追い出されてきた哀れな身の上。佐吉は、慣れない子育てに奮闘しながらも、愛情いっぱいに育てるんだけど、結局、親元が引き取りたいと言ってきて、泣く泣く手放すことになって。

小僧 うううう。
部長 我が子のように育てた卯之吉を奪われる苦しみを切々と語る場面は、涙・涙。それでも卯之吉の将来を考えたら、自分といるより裕福な親元に戻ったほうがいいと決意するくだりで、また涙。そしてラストシーン。満開の桜の中での卯之吉との別れにまた涙。お芝居が終わったあとも、すぐには立ち上がれない感じよね。

小僧 でも、悲しいお話ですけれど、後味は何とも言えない清涼感があって、そこも好きです。幸四郎さんが「佐吉は置かれた状況や時の流れに逆らわずに生きている。誰よりも人間らしく生きていると思うし、そこに強さを感じる」と話してましたが、佐吉のそういう心意気みたいなものが、作品全体にさわやかな風を吹かせている気がします。

真山青果の作品で、昭和になってからできた「新歌舞伎」なので、言葉使いも現代風で、わかりやすいのも初心者にはうれしいですね。

歌舞伎俳優の松本幸四郎の荒川の佐吉

↑平成24年3月新橋演舞場『荒川の佐吉』荒川の佐吉=松本幸四郎(当時:市川染五郎)。チンピラから親分へと変貌を遂げる佐吉。義理堅くて、愛情深いイクメンです。そして涼し気な目元は仁左衛門さんに似ている!!

部長 幸四郎さんはやっぱり仁左衛門さんに習ったのかしら。

小僧 仁左衛門さんには、染五郎時代に佐吉を演じたときに習ったそうで、佐吉がどんどん変化していくところの表現が大事だと教えてもらったそうです。それが冒頭と最後の二度の花道の引っ込みで、「そこで明確に佐吉の変化を表現しないといけない。そのためにも、佐吉の身に起こる1つひとつの出来事を、本当に実人生を送っているような気持ちで演じたいです」と。

部長 切ないお芝居が上手な幸四郎さんだから、きっと素敵な佐吉になるに違いないわ。あと今回、大工の辰五郎が尾上右近さんじゃないの!! これは新しい組み合わせ。いい化学反応が起きそうだわ。

小僧 余談ですけれど、今年1月の歌舞伎座で、幸四郎さんが『艪清の夢』というコミカルなお芝居をやったんです。あの端正な中村錦之助さんが、ザ・ドリフターズのひげダンスを踊っちゃうようなぶっ飛んだお芝居だったんですけれど、その中で、幸四郎さん、自分で自分に「高麗屋!!」って、大向うかけてたんですよね(笑)。

部長 さすが幸四郎さん、逆転の発想ね。俳優さんが大声出すのは、止めようがないものね(笑)。

小僧 そうなんですよ。幸四郎さんの発想って、本当に斬新で、いつも時代の半歩先を行ってるから、感性豊かなバイラ世代の若い人たちにこそ、幸四郎さんの舞台を観てほしいなと小僧は思います。

部長 なるほど~……てゆーか、さっきから話を聞いていると、小僧は歌舞伎初心者のはずなのに、幸四郎さんについて、やたらと詳しすぎるんですけど。

小僧 ふふふ、バレましたか。その昔、『劇団☆新感線』で観て以来、幸四郎沼にハマりまして。それで幸四郎さんにだけは詳しいんです。

松本幸四郎のインタビュー中の笑顔

↑『荒川の佐吉』は、普通に上演すると2時間以上かかるお芝居。佐吉のエッセンスがぎゅっとつまった舞台、楽しみです♪ それにしても花を背負った幸四郎さんの美しいことよ!! と部長もうっとり。

部長 そうだったのね。私にとっての仁左衛門さんということね……。
小僧 部長、どうしたんですか。急に遠い目をして。
部長 2月の歌舞伎座で観た知盛が……。仁左衛門さんの最後の知盛があまりに壮絶で、その姿が目に焼き付いて忘れられないのよ!! あれから半月もたつのに、頭の中で繰り返し再生しては、そのたびに胸が熱くなるの。

小僧 わかります!! そもそも部長が歌舞伎沼に落ちたのが、5年前に仁左衛門さんの知盛を観たのがきっかけでしたよね。それが今年2月の舞台では、「一世一代」と銘打って、知盛を演じるのはこれが最後だと宣言して勤められて……。

部長 すごいエネルギーと集中力が必要な舞台だから、年齢的にもこれが最後だと覚悟を決められたと思うの。それだけにセリフひとこと、動きのひとつひとつの重みがすごくて。そして最後、戦に敗れて自害する場面。大きな碇のついた縄を自分の体に巻き付けて海に沈んでいくんだけど、いつもは崖から後ろ向きに大きくジャンプするように落ちていくのに、今回、千穐楽で観たときは、縄に引きずられるように、そのまま後ろに倒れていったのよ!! まるで自分の運命をすべて受け入れるように……ああ!!(涙する部長)

小僧 本当に。最後だから、いつもに増して、ダイナミックに飛ぶのかと思ったら、身をゆだねるように倒れ込んで……。それがまた戦うことの虚しさとか、命の儚さを感じさせて、余計に泣けました。

部長 客席も異様な緊張感に包まれていたわね。コロナゆえの静けさというのもあるけれど、一挙手一投足にみんなが全集中!! という感じで。万雷の拍手の中でのカーテンコールは、本当に震えたわ。「松嶋屋!!」という大向うさんの声がなかったのは、本当に残念だったけれど、みんなの感動と興奮は、仁左衛門さんにしっかり伝わったと思うな、ぐっすん。

小僧 仁左衛門さんの知盛がもう観られないのは、本当に悲しいですけれど、3月も4月の歌舞伎座も熱く盛り上がってます。気候も良くなってきたので、お花見がてら、いざ劇場へGO!! 

歌舞伎俳優の松本幸四郎の合同取材の写真

↑取材会は、父・松本白鸚さん主演のミュージカル『ラ・マンチャの男』のファイナル公演中だったため、これについての質問も。「ファイナルと銘打っていますが、『ファイナル公演が始まった』と僕は理解しています。ここから30年くらい続くファイナル公演のはじまりです(笑)」と笑わせてくれた幸四郎さん。コロナ禍で公演に行けなかった人も多いので、何度でもファイナル公演、やってほしいです!!

■「三月大歌舞伎」

日程:2022年3月3日(木)~28日(月)

劇場:東京都 歌舞伎座

【休演】10日(木)、22日(火)



第三部

一、

近松門左衛門 作

「信州川中島合戦」(しんしゅうかわなかじまかっせん)

輝虎配膳



長尾輝虎:中村芝翫

お勝:中村雀右衛門

直江山城守:松本幸四郎

唐衣:片岡孝太郎

越路:中村魁春


二、

戸部銀作 補綴
増補双級巴

「石川五右衛門」(いしかわごえもん)

松本幸四郎宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候


 石川五右衛門:松本幸四郎

三好長慶:中村松江

三好国長:中村歌昇

左忠太:大谷廣太郎

右平次:中村鷹之資

佐々木秀経:中村玉太郎

細川和氏:市川男寅

仁木頼秋:市村竹松

次左衛門:松本錦吾

呉羽中納言:大谷桂三

此下久吉:中村錦之助

三月歌舞伎座『 #石川五右衛門 』、四月歌舞伎座『 #荒川の佐吉 』に #松本幸四郎 が登場!! 【歌舞伎沼への誘い♯37】_8

■「四月大歌舞伎」

日程:2022年4月2日(土)~27日(水)

劇場:東京都 歌舞伎座

【休演】11日(月)、19日(火)



第二部

一、

真山青果 作

真山美保 演出

齋藤雅文 補綴・演出

江戸絵両国八景

「荒川の佐吉」(あらかわのさきち)


荒川の佐吉:松本幸四郎

丸総の女房お新:中村魁春

お八重:片岡孝太郎

極楽徳兵衛:中村亀鶴

大工辰五郎:尾上右近

櫓下の源次:大谷廣太郎

あごの権六:中村吉之丞

茶屋女房おかつ:中村歌女之丞

白熊の忠助:嵐橘三郎

鍾馗の仁兵衛:松本錦吾

隅田の清五郎:市川高麗蔵

成川郷右衛門:中村梅玉

相模屋政五郎:松本白鸚


二、

「義経千本桜」(よしつねせんぼんざくら)

所作事 時鳥花有里


源義経:中村梅玉
鷲尾三郎:中村鴈治郎

白拍子園原:中村壱太郎

同  帚木:中村種之助

同  伏屋:中村米吉

同  雲井:中村虎之介

白拍子三芳野:中村扇雀

傀儡師輝吉:中村又五郎

三月歌舞伎座『 #石川五右衛門 』、四月歌舞伎座『 #荒川の佐吉 』に #松本幸四郎 が登場!! 【歌舞伎沼への誘い♯37】_9

◆三月大歌舞伎公演詳細

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/745


◆四月大歌舞伎公演情報

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/750


◆公演チケット情報

https://www.kabuki-bito.jp/ticket.html

取材・構成/バイラ歌舞伎部  

まんぼう部長……ある日突然、歌舞伎沼に落ちたバイラ歌舞伎部部長。遅咲きゆえ猛スピードで沸点に達し、熱量高く歌舞伎を語る。 

ばったり小僧……歌舞伎歴2年。やる気はあるが知識は乏しい新入部員。若いイケメン俳優だけでなく、オーバー40歳の熟年俳優も大好き。

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