トレンドはちっとも追いかけてないというスタイリスト佐藤佳菜子さん＆エディター東原妙子さん。ブレない審美眼と私たちに寄り添うリアルな感性で選んだ秋アイテムとは？ 重たくなりがちな秋冬スタイルは、肌見せや甘めディテールで気分を上げていこう。
秋冬こそ、肌見せや甘いディテールに気分が上がる（東原さん）
東原 私は服の作り方がかなり特殊で、トレンド傾向とかコレクション情報を一切見ずに「自分は次に何が着たいかな」で作ってるのね。昔自分が好きで着ていた服を「今ならこういうサイズ感がいいな」とか。ほら、うちいっぱいあるじゃん？ 捨てないからさ（笑）。
佐藤 片づけられない汚部屋の、床の最下層に落ちてるだけだから（笑）。決してサンプルとしてきれいに保存されてるわけではなく。
東原 でもあれが資料庫になってて（笑）。
佐藤 すっごくよく言ったらね（笑）。
東原 つまり私は世界の流行に精通するモードな人ではないから“去年とはちょっと違う、一歩進みたい”。それくらいがいいんだよね。
佐藤 きれいに作られた普通の服がいいよね。
東原 全部が全部新しくしたいわけじゃないから、私にとってのトレンドはディテールなのかも。たとえば今年ならニットの袖。ちょっとだけ太いとかぽわんとふくらんでるとか。そんなふうにちょっとだけ甘いのが気分。
佐藤 今季はボーダーも素敵だよね。
東原 そうなの。なぜかすごく着たいの、ボーダーを。いわゆる「モテない」と言われてた頃の感じじゃなくて、縞がランダムだったり背中があいてたり、フレンチなムードはもちろんあるんだけど、女っぽくてモダンなんだよね。それでいうとピーコートも従来のイメージとは少し変わってて新鮮。Aラインとか真っ白とか素材感がやわらかいとか、学生っぽくなくて大人の女性が素敵に着られそう。ピーコートをメインに、カジュアルで抜け感のある白のワントーンも今年はしてみたい。
佐藤 おティー（東原さん）が選んだ透け感のあるニット、私もかぶってた（笑）。
東原 「アンクレイヴ ホワイト」で作ったのも、編地が大きくて肌がのぞくニット。秋になるとファッションって急にもっさりし始めるじゃん（笑）。だからこそ少し肌を見せたりとか少し甘めのディテールで気分を上げたいよね。今年の秋は特にそんな気持ち。
透け感や透かし編みで ニットも【“ほんのり肌見せ”】
（左）メッシュのようなニットはほどよい女っぽさが魅力。￥25960／アンクレイヴ（アンクレイヴ ホワイト） （右）ごく薄く繊細なシアータートルニット。素肌になじむイエローベージュで透け感が上品。￥15400／ガリャルダガランテ 表参道店（ガリャルダガランテ）
太かったりふくらんでたり。【“袖にポイント”】のニット
（左）キュッと締まった長めの袖口リブ。バルーン袖とのメリハリが効いていて、着るとさりげない今っぽさやおしゃれ感を実感。ニット￥22990・（右）太さのあるフレアスリーブに加え、ペプラムになった裾もほんのり甘くて素敵。ニットワンピース￥29920／アンクレイヴ（アンクレイヴ ホワイト）
学生っぽくならない “進化形”【大人のピーコート】
「秋冬の白って変にリッチに見えたりふわふわ甘くなりすぎたりしがちだったけど、今年はこのコートみたいな抜け感のあるカジュアルな白が着たい」（東原さん）。￥44990／アンクレイヴ（アンクレイヴ ホワイト）
“いわゆる”じゃない【モダンなボーダー】
（左）袖の切り替えや裾のトリミングで、ベーシックさの中にモダンな表情。着ると体が泳ぐサイズ感も秀逸。￥25960／アンクレイヴ（アンクレイヴ ホワイト） （右）背中が広めにあいたバックシャンなボーダータートルニット。￥20900／ガリャルダガランテ 表参道店（ガリャルダガランテ）
撮影／木村 敦（人）、坂田幸一（物） スタイリスト／佐藤佳菜子 ※BAILA2022年10月号掲載