30代のお尻悩み&疑問に、医師がお答え! 今回は、痔になりやすいと噂の生活習慣について、ホントのところをお届けします。
ずっと座っていると痔になるの!?……気になる痔にまつわる噂を検証!
30代女性のお悩み&疑問
・「テレワークになってから、1日の大半を座りっぱなしの姿勢で過ごしている私。長いこと座ったままだと痔になると聞いたので心配してます」
・「SEなのですが、多忙な時期は長時間PCの前に座ったまま。職場の女性の先輩が『痔は座りっぱなしのSEの職業病だよ』と言っていたのが気になる。確かにSEとして働くようになってからたまにトイレで血が……。そういえば、野球のキャッチャーやタクシーの運転手など座る時間が長そうな人は痔になると聞いたこともあるし、座りっぱなしの姿勢は痔に直結するの??」
30代女性で悩む人も多い痔。痔になりやすい習慣について、専門医にお聞きしました!
医師のお答え!
【監修】寺田俊明先生 「寺田病院」理事長/院長/胃・大腸肛門病センター長
<プロフィール>東京医科大学卒業後、三井記念病院(千代田区)外科研修医を経て亀田総合病院(鴨川)消化器科にて内視鏡をはじめ多種にわたる検査を習得。その後、 大腸・肛門病の専門病院である東葛辻仲病院(我孫子)にて肛門疾患の手術全般を学んだ後、寺田病院 副院長、胃・大腸肛門病センター長として赴任。現在、理事長・院長、胃・大腸肛門病センター長を兼任。
痔にまつわるウワサは“都市伝説”の場合もあるので要注意!
痔を予防するために、痔になりやすい習慣はなるべく避けるようにしたいもの。巷でよく聞く痔になりやすい習慣の中には、正確ではないものも。真偽の程を解説します。今回は、気になる座りっぱなしの姿勢について!
Q:長時間座っていると痔になるって本当!?
A:座りっぱなしの姿勢よりも、直立二足歩行である影響が大!
痔核(いわゆるイボ痔)の原因は、ヒトの直立二足歩行にあります。
直立二足歩行を行う人間のお尻は、心臓より下にあるため鬱血しやすくなります。すると、正常な粘膜のたるみ(膨れ)が徐々に蓄積され、痔核が作られていくのです。
心臓より下にお尻があるのは人間だけ。四足歩行動物には痔核はできません。直立二足歩行を行うようになる1歳頃から、イボ痔を作り始めるのが人間。
座りっぱなしでも、立ちっぱなしでも関係なく、痔の元となる粘膜のたるみは作られるのです。
長時間座りっぱなしの職業だと痔になりやすい……原因は姿勢以外にあり!
“野球のキャッチャー”、“タクシーやバスの運転手”など、座っている時間が長い人も「痔になりやすい」というイメージを持たれているようですが、診察している側としての実感では、それぞれ別の原因が隠れているように思います。
まずキャッチャー。「ピッチャーよりキャッチャーのほうが、長時間座っているから痔になりやすい」と言われがちですが、ただ長く座っているというより、あの姿勢で“力み”が加わるのが痔になりやすい原因です。
直立二足歩行のため心臓より下にあるお尻周辺が鬱血しやすくなり、痔の原因となる粘膜のたるみがたまっていきますが、力むことで鬱血がさらに助長されるのです。
運転手さんの場合、便意を感じても好きなときにトイレに行ける仕事ではないため、便秘になる人が多いのです。また、休憩時間中、トイレで無理に力むことも肛門への負担になり、痔ができやすくなるのです。
座りっぱなしの姿勢を長く続けることで痔に直結することはありませんが、力みやすい生活スタイル、仕事の場合は、十分に注意しましょう。
痔にとっては、座りっぱなしの姿勢よりも力みが問題。二足歩行を始めた時点から、誰にでもイボ痔の危険性はある!
取材・文/櫻木えみ 企画/斉藤壮一郎〈BAILA〉