弦楽制作家、デザイナーの顔も持つ調香師ジュリアン・ベダルによるこのブランド、南米パタゴニアの自然や文化からひもとかれたイメージを香りにのせるため、南米で採れる植物やエッセンスを使いブエノスアイレスのラボで少量生産しているのです。これまでの手書きラベル(これも可愛かった)のボトルから、ガラスに刻印するスタイルに変わり、すべてにシリアルナンバーが記されるよりプライベートなスタイルに。でもそれ以上に他にないのが、香り。どれも形容しがたく、百聞は“一嗅”にしかず、もう香ってみて!という感じなのですが、私が一番惹かれたのは「La cautiva」という1本。バニラ、ムスク、カシスのブレンドなのですが、コンセプトは南米に伝わる逸話「誘拐された美女」の首筋をつたう汗、というどうにもラテンでエロティックなもの。もう、どんな香りか想像しがたいでしょう?
他にも「バベルの図書館」「アンデス山脈を駆けるシカ」など、すべての香りにこれまでのフレグランスになかったようなストーリーやコンセプトがあるんです。どれも濃密で一筋縄でいかない香りだからこそ、自分のものにする喜びがあるのかも。誰ともかぶらない香りをみつけたいなら、ぜひ踏み入れるべき。(ナベ嬢)
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