発売中のバイラ7月号の大特集は「Tシャツ100」。夏に欠かせないTシャツの着こなしを100通りに深掘りしています。というわけで、今回のエディターズピックは、私編集Wが毎シーズン新作を楽しみにしているGASATANGのTシャツについて語らせてください。
いつ、どんな状況で撮ったのか想像するのも楽しいフォトT

(本気でヘビロテしている私物でして、着用感はご容赦くださいませ)
スタイリスト伊賀大介さん、写真家佐内正史さん、タンタンのデザイナー丹野真人さん、3人のコラボレーションで作られる人気Tシャツ、GASATANGシリーズ。佐内さんのアーカイブから採られる写真は、まるで誰かの夏休みの記憶をシェアするようで、毎回印象的です。
結構珍しいと思うのですが、前身頃と後身頃で異なる写真がプリントされていて、昔の言い方なら両A面、前後どちらもスタイリングの要になるし、単純に「好き」が溢れる感じですごくいい。
一癖ある英字のセンスも、写真への想像を一層掻き立てられて、グッときます(昨年のHAYAASHIMESHITSUYOSHI!! ハヤアシメシツヨシってなんだろう、とか。解けない謎も魅力)。
サイズはもともと大きめ。でもさらにひとまわり大きいサイズを着たくなるムード。古着っぽいコットンのボディで、洗濯を繰り返した時にプリントがちゃんと味になりつつ、ネックは伸びないタフさが有難い。
シンプルにデニムと合わせるだけで完成する強さがありますが、あえてシアーシャツのインに入れたり、オールインワンの胸元からのぞかせたりしても、いい具合に効きます。

さて、ますます個人的な話で恐縮ですが。
佐内正史さんの写真との出会いは、写真集『生きている』でした。なんでもない日常の場面が、突然意味をもって目に迫ってくる瞬間。いつかこの景色を思い出すんだろうな(あるいは、忘れてしまうんだろうな)と予感させる、ヒリヒリとする感覚。そんな息が止まるような写真の連続に、当時学生だった私は完全にノックアウトされたのでした。
その後も、黄色い愛車を撮ったタイトルズバリの『俺の車』や、伊賀さんとともにラーメンとカレーを撮って食べた『ラレー』など、佐内さんの写真に気持ちを揺さぶられて来ました。

変わったところではこちらの『EVA NOS』。
パンチコ「CR新世紀エヴァンゲリオン」をペンタックス6×7で撮影した写真集で、余白なんて全くなし、ノドもお構いなし、ひたすらに大型本のページいっぱいパチンコの盤面の写真が続く。ページをめくっていくうちに、ふわふわと意識が漂ったり、ぎゅっと画面に注意が向いたりする、なんとも面白い作品です。EVA NOSのTシャツがあったら私、即行で買いに行きます。
改めて書くまでもないけれど、好きなものを身につけられることはTシャツの魅力のひとつ。私はフォトTですが、人によってはバンドTやマンガTやロゴTの場合もありますよね。みなさんが好きな Tシャツと一緒に、BAILA7月号のTシャツ特集もお楽しみいただけると嬉しいです。

編集W
本誌ファッション・書籍・コミック担当。これまでに在籍してきたメンズ誌、モード誌、aroundハタチ雑誌の幅広いファッションがワードローブに混在。好きなものは建築、アート、猫。いつでも熊谷守一の猫に惹かれている。