トレンドはちっとも追いかけてないというスタイリスト佐藤佳菜子さん&エディター東原妙子さん。ブレない審美眼と私たちに寄り添うリアルな感性で選んだ秋アイテムとは? 佐藤佳菜子さんは"フェミニン”か“おじさん”に極端に振り切ったスタイルが気になっているそう。

スタイリスト
佐藤佳菜子さん
ベーシックを基調としたモダンできれいなスタイリングで、BAILAをはじめとしたファッション誌で活躍。人気ブランドとのコラボアイテムも多く手がけ、ウェブマガジン「mi-mollet」では毎週木曜更新のコラムを連載中。

エディター
東原妙子さん
エディターとしてBAILAなどの雑誌を中心に、広告やブランドのカタログなどで幅広く活躍。2020年からは「アンクレイヴ」、2021年秋からはそのコレクションライン「アンクレイヴ ホワイト」のディレクターを務めている。

“フェミニン”か“おじさん”か両極端が気になる!(佐藤さん)
佐藤 私はスタイリストですが、自分が着たい服については読者の皆さんとまったく同じスピードで選んでると思う。展示会はほぇ~っと見ているだけでまったくピンときてないし、何度もリースをして修行のようにたくさんコーディネートを組んで、そうして季節が進んだ頃にようやく「これ可愛いな」とか「好きだな」って。そんなレベルです(笑)。
東原 読者の皆さんがリアルに着てるタイミングで私たちも着てるから、たぶん気分は一緒なのよね(笑)。
佐藤 だから今の気分がどこまで長続きするかはわからないんだけど(笑)、今は私には珍しく、おじさんっぽいものかフェミニンか両極端なものが気になってるの。久しぶりに服を買うぞ! 着るぞ!って意気込んでいるのかもしれない。
東原 うん、その気持ちも一緒(笑)。
佐藤 シルクのてろてろしたやわらかいワンピースをすごく着たいと思ってて。ざっくりしたニットに合わせたりして。
東原 グログランのスカートとかね。
佐藤 そう。スカートは大げさなくらいフレアだったりデコラティブなものがいい。でもその一方で、おじさんみたいなぶかぶかのジャケットとかぶかぶかのズボンもすごく気になるの。シルクのワンピースやドレッシーなオールインワンにおじさんジャケットを羽織る、そういう女っぽさというか。おティーが作ってた秋冬のショーパンもいいと思った。
東原 ありがとう。あれ、展示会でもすごく人気だった。
佐藤 あとはカオナシみたいなかばん。
東原 え?(笑)
佐藤 金具とか何もついていないつるっとしたバッグのこと。バッグはむしろ、主張がなくて全然いいんだよね。
東原 すごくわかる。“バッグでアクセント”みたいなバランスがもう気分じゃないのかもね。確かにカオナシだね(笑)。
佐藤 でしょ?(笑)
大人の女性のための【コケティッシュなショーパン】

ハイウエストでタック入り。子どもっぽくならないシルエット。「はくだけでバランスを変えるようなロングブーツと合わせたい」(佐藤さん)。¥17930/アンクレイヴ(アンクレイヴ ホワイト)
おじさんみたいな【“ぶかぶか”ジャケット】

オーバーサイズでボクシーなシルエットが佐藤さんの言う“おじさん”の由来。袖を通さず肩にかけるのもおしゃれ。¥60500/ガリャルダガランテ 表参道店(ヘリテノーム)
てろてろでやわらかい【シルクのワンピース】

「こういうてろてろしたワンピースにざっくりしたニットを重ねて。そういう女っぽさがこの秋の気分」(佐藤さん)。(左)すとんとミニマムなデザインだから今年らしい重ね着も絵になる。¥64900・(右)フラット靴と好相性なマキシレングス。¥64900/カオス表参道(カオス)
スカートは大げさなくらい【ふくらむシルエット】が素敵

(左)重たくなりすぎないサンドベージュは初秋に最適。¥23980/アンクレイヴ(アンクレイヴ ホワイト) (右)大人の可愛げ満点のドラマチックフレア。¥28600/ヴェルメイユ パー イエナ 青山店(ヴェルメイユ パー イエナ)
ちょいクセが強めの【女っぽいオールインワン】

(左)上半身はリブのベアトップ。おじさんジャケットを羽織るのにもぴったり。¥30800/ガリャルダガランテ 表参道店(セピエ) (右)胸下の切り替えやテーパードしたパンツのラインが体をきれいに見せる。¥52800/デミルクス ビームス 新宿(シーオール)
【バッグは“カオナシ”。】とことんシンプルがいい

フラップやバックル、チェーンなど何もない佐藤さん命名の“カオナシ”バッグ。「つるっと服と一体化するくらいの存在感がいいんです」(佐藤さん)。¥94600/デミルクス ビームス 新宿(フェイン)

撮影/木村 敦(人)、坂田幸一(物) スタイリスト/佐藤佳菜子 ※BAILA2022年10月号掲載