桐谷美玲と大政 絢は「もう人生の約半分、一緒にいるよね」と笑う長いつきあいの二人。だけど実は誌面で対談するのは今回が初めて。モデルとして、女優として、一人の女性として、お互いに20代を振り返り、30代のこれからを語ります。
《桐谷美玲×大政 絢》15年目のファーストトーク
〈美玲〉カーディガン¥30800・パンツ¥41800/キャバン 代官山店(キャバン) ブラトップ¥17600/エイチ ビューティ&ユース(ラス)
〈絢〉ワンピース¥49500/トゥモローランド(ボーメ×トゥモローランド) ネックレス¥90200/エスケーパーズオンライン(ソフィー ブハイ)
《美玲×絢の初対談》10代→30代
10代で出会い、濃い時間をともに過ごし、30代になった二人。今振り返る“あの頃”、お互いの変化や心の進化、“これから”のコト。
30歳を目前に感じた焦り。それが今はすべて吹っ切れました(笑)(絢)
絢 出会った頃、美玲はすでに雑誌の表紙を飾っている“先輩のトップモデル!”って感じで。実は私、初めは話すときも緊張していたんだよ。
美玲 えっ、そうなの⁉ ごめん、今初めて知ったよ(笑)。
――『Seventeen』モデル同士として出会い、その後も『non-no』で活躍。同じ場所で同じ時間を過ごしてきた二人だが、実は距離が縮まったのはここ数年のハナシ。
美玲 Seventeenモデルは当時も今もみんな仲がよくて。そんな仲間と一緒にゴハンに行ったりはしていたんだけど。“二人”っていうのはあまりなかったんだよね。お互いに人見知りだし、仲よくなるのに時間がかかるタイプだったから。
絢 お互いに気をつかうタイプでもあって。実は私たち、10代の頃は一度も恋愛の話をしたことないんですよ。
美玲 絢も私も“話したかったら話すだろうし。そうじゃないなら無理に踏み込まない”スタイルだから。普通は10代の頃にするであろう恋愛話を大人になってからしているっていう。今になって初めて知ること、いっぱいあるんですよ(笑)。
――心を開くのに時間がかかる二人が、ゆっくり育ててきた友情。
絢 昔から知っているから、一緒にいると居心地がいいし、自然と二人の時間が増えていったんだけど。
美玲 お互いに仕事を頑張ってきて、肩の力がふっと抜けるようになった今だからこそ、よりグンと距離が縮まったのかもしれないよね。
心がゆらいだ20代後半。それを乗り越えた30代の今はすごく楽しい
――10代で出会った二人も気づけば30代に突入。「今、すごく楽しい」と声をそろえる。
絢 30歳という節目を前にすると心がゆらぐとよく言うけど、実は私もそんなゆらぎを経験した一人なんです。20代後半に差しかかると周りが次々と結婚。自分では「マイペースでいいや」と思っていたんだけど……周りからの圧が(笑)。誰かが結婚するたびに「次は絢ちゃんだね」「絢ちゃんでしょ」って。それがすごいプレッシャーで。
美玲 その光景、何度も見た(笑)。
絢 私自身、昔から「30歳で結婚したい」と言っていたから、それが目の前に迫ったときに焦ってしまう自分もいたりして。でも、実際にそのときがきたら吹っ切れたというか。「もう30歳になっちゃったし、今を楽しもう」と思えたんだよね。家庭を持ったらできないこともきっとある、今のうちに思い切り楽しもうって。
美玲 私は絢とは真逆で、30歳前後に結婚や出産と人生が激変。特に子どもを産んでからは怒濤のような毎日で。30歳の節目を感じることもなく、心がゆらぐ暇もなく、あっという間に通り過ぎていった感じなの。その毎日は今も続いていて、たまに自分が30歳なのか31歳なのかわからなくなるくらい(笑)。
絢 でも、美玲は環境がどうあっても心がゆらがなそう。美玲って、昔から芯がブレないというか本当に変わらないんですよ。いつも地に足が着いていて、感情的にならず常に冷静。私はそこがすごく好きで。
美玲 絢はいい意味で変わったよね。昔は人見知りだったのに今はめちゃくちゃ社交的。もともと「一家に一台、大政絢」と言いたくなるほど、周りを見て一歩二歩先回りして動く、思いやりにあふれた気づかいのプロなんだけど。そこに社交性が加わって、さらに最強の愛され女子に。しかも、こんなに完璧なのに天然っていうギャップがたまらなくて。ちょいちょいわけのわからない発言するし、おっちょこちょいだし、意外と抜けてるんだよね(笑)。
絢 料理の取り分けとか率先してやるくせにこぼしたり、片づけの途中でお皿割ったり。こないだも、美玲の家でワイングラスを割っちゃって……本当、ごめん‼
美玲 そこが絢のいいところ。これで完璧だったら仲よくなれないと思うもん、私(笑)。
撮影/YUJI TAKEUCHI〈BALLPARK〉 ヘア&メイク/笹本恭平〈ilumini.〉 スタイリスト/辻 直子 取材・原文/石井美輪 構成/三橋夏葉〈BAILA〉 ※BAILA2021年6月号掲載