BAILA エディターズのリレー式コラム、第194回は、新型コロナ禍下でアパレル絶不況にもかかわらず、完売御礼アイテムを続々とを叩き出している【ユニクロ(UNIQLO)】の伝説級大ヒットコラボ「+J(プラスジェイ)」(詳しくは過去記事参照)が売れに売れた理由を、実際に取材しながら考えてみました。
過去記事でもご紹介しましたが、今回リリースされた「+J(プラスジェイ)」は、ドイツ出身のデザイナー、ジル・サンダーさんと【ユニクロ(UNIQLO)】がコラボしたコレクションですが、新規ではなく9年ぶりの復活プロジェクトです(2009年のパリ旗艦店オープンを皮切りに世界中で発売され、2011年にいったん終了。ジルさんが一時期【ユニクロ(UNIQLO)】のウェア全体のデザイン監修を手がけていた時期もあります)。
多くの方が報道でご覧になっているとおり、11月13日(金)の「+J(プラスジェイ)」発売当日は、取り扱い店舗に大行列ができ、オープンと同時に店舗から続々と商品が消え、いつも盤石な体制を誇っている【ユニクロ(UNIQLO)】公式オンラインストアおよびアプリですらアクセスが集中しすぎてサーバーダウンするという事態に…新型コロナ禍下に突入して以降(マスク以外で)これほど熱狂的にアパレル商品がヒットするのを久しぶりに見た気がして、我々ファッションメディアに携わるプレス関係者の面々もついうれしくて荒ぶってしまい(笑)、“10年前の戦利品でいまだに愛用している「+J(プラスジェイ)」の服”をここぞとばかりにドヤァァと身にまとうお祭りムードのなかにありました。我々と同じように、10年を経てもなお堂々と現役でクロゼットにスタンバイしている「+J(プラスジェイ)」の傑作っぷりを身にしみて感じているファンが今回の復活に歓喜して前評判の高さをリードし、それに多くのフォロワーが「なんか人気そう(* "q')」と食いついて、結果として多くのユーザーが【ユニクロ(UNIQLO)】に殺到したのではないかと思います。
「+J(プラスジェイ)」発売日に「UNIQLO TOKYO(ユニクロ トウキョウ)」で行われたリリースセレモニーに登壇した俳優・宮沢りえさんは、「+J(プラスジェイ)」を“レストランでコートを脱いで渡すときも、特別な日におしゃれするときも、休日に買い物にいくときも、自信を持てて気分が盛り上がる服。長く着られるから娘にも引き継げる服”とコメント。ご自身もあらゆるハイブランドを着尽くしてこられ、公私ともにスーパーファッショニスタな宮沢さんのお墨つきを得るというのはすごいことだし、SPA(=卸売りをせず、自社製品を自社小売店で販売する製造小売業)企業の代表格で、メゾンブランドとは対極にあるビジネスを中心に展開しているにもかかわらず、ジルさんのような究極のこだわり敏腕クリエイターを味方につけられるのもすごい。展開商品ラインナップの多さ、価格の安さ、大量生産体体制などもあり【ユニクロ(UNIQLO)】を数シーズン限りのトレンドスタイルを次から次へ乗り換えるファストファッションブランドのように考えている方も多いと思いますが「+J(プラスジェイ)」のように“長く着られる上質な服を、お手ごろプライスで”という概念を極めている【ユニクロ(UNIQLO)】の企業活動は、もはや独自の新業態に進化していると思っています。
「ユニクロ ユー(Uniqlo U)」を手がけるクリストフ・ルメールさんをはじめ、ジョナサン・W・アンダーソンさん、アレキサンダー・ワンさん、ハナ・タジマさん、イネス・ド・ラ・フレサンジュさんなど、【ユニクロ(UNIQLO)】は毎シーズン数多くのデザイナーやクリエイターとのコラボコレクションを発売しています。それは、ただ“限定感があって売れるから”、“既存以外の新規ユーザーが獲得できそうだから”などといった理由で人気のデザイナーを脈絡なくスポットでクローズアップしているのではなく、徹底的に“着る人のことをきちんと考えて服をつくる、優れたデザイナーと協業”している点が素晴らしい◎。とくに「+J(プラスジェイ)」の場合は、ジルさんが得意とするミニマルでスタイリッシュなデザインと、上質で機能的な素材ときわめてクォリティの高い製造工程をもって世界中に幅広く商品を届けられる【ユニクロ(UNIQLO)】それぞれの強みがガッチリ合致した超ナイスプロジェクトです。
在庫があったらぜひ試してほしい「+J(プラスジェイ)」のシャツとジャケット
「+J(プラスジェイ)」2020秋冬コレクションは、ウィメンズ&メンズ全61商品のラインナップで、11月13日(金)の発売直後から早々に完売してしまったアイテムも多いのですが(* p_q)、まだ買えるものもたくさんあります! 店舗で、オンラインで、もし在庫に出合ったら老若男女問わずちょっとでもお試しいただきたいエディター沖島全力おすすめ商品が、シャツとジャケットの2点です。
まずはシャツからご紹介。大きく分けて「スーピマコットン スタンドカラーシャツ」(¥3990)と「スーピマコットン オーバーサイズシャツ」(¥3990)の2モデルがあります。ホワイトが圧倒的代表カラーですでに完売している店舗も多いと思うのですが(>.<)、ほかの色でもぜんぜん構いません!
スーピマ®コットン100%の細番手糸を使用したやわらかで上質なシャツ。素材もすごいのですが、驚嘆すべきはその仕立てのよさ。本来なら、シャツ専門の工場で熟練の職人が一枚一枚ミシンをガガッとかけて手作業で仕上げるレベルの緻密な仕上がりなのですが、「+J(プラスジェイ)」のシャツは、【ユニクロ(UNIQLO)】の通常パートナー工場の工程にのせて生産したそうな(* "q')…これを¥3990(+税)で販売しちゃうなんて、世界中に無数に存在するアパレル企業でおそらく【ユニクロ(UNIQLO)】にしかできない芸当にしてクォリティ、そして長年にわたり自らのクリエイティビティのすべてをシャツに注いできたジルさんにしか不可能なディレクションです(早口)。
もう一点は「ウールブレンドジャケット」(¥19900)です。どうしてもパンツスーツで着たかったエディター沖島は「ウールスリムパンツ」(¥9990)もセットで購入(発売日当日に早朝から公式アプリの販売ページをリロードしまくって昼すぎにやっとゲットできました…もはや2020年に我が悔いなしpT皿T、届くのが楽しみすぎます)。
肩にパッドが入ったかっちり仕様。やや光沢を帯びたなめらかで上質なウール生地、ラペル裏の縫製仕立て、裏地のあしらいかたetc.、細かなディテールにいたるまでラグジュアリーブランドのものづくりと比べても遜色ないほど本格的にしっかり作られていて、¥20000以下というプライスが本当に信じられない完成度なんです(* "q')。
「+J(プラスジェイ)」復活について、数々のデザイナーズコラボを歴任してきた【ユニクロ(UNIQLO)】勝田幸宏さん(ファーストリテイリング執行役員・ユニクロR&D統括責任者)が記者会見で「ジルさんは、私たちがグローバルで成功するかどうかまったく未知数な時点から“上質で長く着られる服を作ろう、それに値段は関係ない”という【ユニクロ(UNIQLO)】の考え方に共感してくれた大切なパートナーのひとり。今回は2度目のコラボですが、デザイン・品質・仕上げなどさまざまな面で、“我々はそこまで到達していなかった、さすがだ!”という気づきが改めてたくさんありました。限界を超えてよりよいものを作ろうとする彼女の追求心とディレクションに応えることは大変でしたが、実に楽しく、充実した時間で、とても学びの多いプロジェクトでした」と目を輝かせて語っている姿が印象的でした。協業プロセスにあたった現場のみなさまはお互い本当に大変だったと思いますが、それを超えて、シュリンクするアパレルビジネスに希望を見いだしている目でした。
また、ジルさん自身も「“衣服とは、長く着ることができ永続的なものであるべき”という考えのもと、現代のグローバル ユニフォームとなり得るコレクションを創りました。衣服は身に着ける人のためにあり、着る人誰しもにエネルギーと自信をもたらすものです。それこそが、現代において求められる服の役割だと信じています」とコメントを寄せており、機能的で上質な素材と高い製造技術を持つパートナー工場をじゅうぶんに確保し、さらに多くの店舗を世界中に持つ【ユニクロ(UNIQLO)】の流通ネットワークにうまく乗るかたちで、自身のデザインを手ごろな価格で世界中の人々に着てもらえることを喜んでいる気持ちが感じられます。
…というわけで、「+J(プラスジェイ)」の服は“長く着られる、上質な服を、予算内でしっかり選びたい!”というニューノーマル時代のユーザーニーズにガッチリハマった稀有なワードローブ。ぜひ、可能な限りひとりでも多くの方に袖を通していただきたいと思っています(エディター沖島)。
取材協力/ユニクロ(UNIQLO) ※掲載されているのは2020年11月15日時点での情報で、入荷日時、在庫状況、プライスなど実際の店舗や公式オンラインストアでは予告なく変更になる場合があります。