確固たる個性と審美眼を持つ、大人のおしゃれプロが手に入れた“真の一生もの”とは? 出合ったストーリーやお気に入りのポイント、今も愛用している理由とともに、“マイ・一生名品”を紹介。スタイリスト佐藤佳菜子さんの一生名品は?
1 サンローランのトレンチコート、手に入れたのはいつ?
ー手に入れたのはいつですか?
「10年くらい前にショップで出合ったもの。特にトレンチコートを探しに行ったというわけでもなく、本当にたまたま見つけたという感じです」
ーなぜ気に入ったのですか?
「“ベージュのトレンチコート”と一口に言っても、“ベージュ”の色味って本当にいろんな種類がありますよね。好みだけでなく、自分の肌の色に合う合わないもあるし、あとは肌に馴染みすぎても遠目に裸みたいになっちゃうしで(笑)。実はベージュって難しい……。その点これは、カーキすぎず、黄色すぎずの絶妙な色。“ベージュ界”でも相当私にしっくりくる色で、まずはそこに一目惚れ。あとは素材感もいい。ペラペラすぎず、地厚すぎず、硬すぎず。サイズも小柄な私にジャストで、そこもなかなか出合えない貴重な存在だなと思いました」
「コートは身長156㎝の私が着ても、こんな感じのジャストサイズ。肩の位置がぴったりで、長すぎず短すぎずのちょうどいい丈感も購入の理由」トレンチコート/サンローラン ニット/ユナイテッドアローズ スカート/ジョエブ バッグ/メゾン カナウ 靴/グレンソン(すべて佐藤さん私物)
ーどんなときに愛用していますか?
「先ほどお話ししたようにジャストサイズなので、ここ数年のビッグシルエットがトレンドの時には、正直出番が少なかったんです。でも最近また、やっぱりいいな、と改めて思っているところ。ファージレをレイヤードしたり、直球のトラッドではなく、ひとクセプラスして着ることもあります」
「毛足が長い白のファーベストを重ねて、カジュアル感と華やかさをプラス。こんなふうにアレンジを楽しむことができるのも、ベーシックなデザインとジャストなサイズ感のトレンチだからこそ」ジレ/カール ドノヒュー(佐藤さん私物)
2 このトレンチコートが、”マイ・一生名品”になった理由とは?
ちなみに写っている足は、佐藤さんの愛犬メアのもの(笑)。
「“一生もの”って、一生着続けるもの、というわけではなくて、一生大好きなものっていうことかなと思います。だからトレンドや気分によっては、あまり出番がない“冬眠期間”に入ることもある。でも、それでもなおずっと好きで、愛着があって、大切に持ち続けたいと思うもの。こんなに整理整頓好きで、いつだってクローゼットの中の不要なものを探している私が、10年くらいの間捨てずに大切に持ち続けているなんて、間違いなく“一生名品”です!」
取材・文/発田美穂