“好き”を突き詰めて手に入れたジュエリーや時計には、必ずその人らしさが宿っているもの。スタイルがある憧れの先輩たちに、自分にふさわしい名品との出会い方、向き合い方を語っていただきました。
1. モデル・ヨンアさん
“身につけた瞬間、心がときめいた運命のジュエリーはこの先ますますいとおしい存在に”
「息子中心のライフスタイルに変化してから20代の頃よりもマニッシュでカジュアルな服を着る機会が増えてきました。ただもともとファッションはひとつのテイストにしばられず、色々なスタイリングを自由に楽しみたい派。たまに甘めの服を着たりドレスアップしたりと、シーンや会う人に合わせて着こなしを変えています。ジュエリーもその時々の着こなしに沿って選ぶのが私のこだわり。昔から女性らしさだけでなく強さやカッコよさを感じるジュエリーに心惹かれます。でも手に入れるのは実際にお店に足を運んで身につけたときに心からときめいたものだけ。運命のジュエリーとの出会いはそれだけで素敵な物語になるしこの先、何があってもずっと大切にしたいと思えるんです」
「ビッグサイズのジャケットには緩急のあるジュエリー使いが好バランスです」。ジャケット¥128700・スカート¥66000/イザベル マラン 青山店(マラン エトワール) Tシャツ¥15400/ティースクエア プレスルーム(TELA) その他/本人私物
ハンサムな装いを格上げするほんのり辛口な時計&ジュエリー
「今の気分のハンサムな着こなしには辛口ムードの時計やジュエリーがマッチ。メンズライクな時計はダイヤモンドが上品な雰囲気。同じ型でゴールドも持っているけれど、とても使いやすいんです。ベイシックスのチェーンネックレスは金具のハートモチーフがキュート。ナリンの色石ネックレスが華奢なので、こちらと重ねたときに奥行きが出て素敵に決まります。カルティエのリングは攻めたデザイン、ナリンのリングはスキンジュエリーのような繊細さが気に入って購入しました」
1.カルティエのクラッシュ ドゥ カルティエ リング
2.ナリンの色石ロングネックレス
3.オーデマ ピゲのロイヤル オーク オートマティック
4.ナリンのピンキーリング
5.ベイシックスのチェーンネックレス
ドレスアップする日はゴールド&パールが鉄板
1「ティファニーのサマセット。ボリューミーなのに適度な抜け感を醸し出せます」
2「昨年、パリで購入したシャネルのプルミエール。20年後もつけている姿を想像できます」
3「シンガポールで手に入れたブシュロンのセルパンボエム。ヴィンテージっぽさが可愛い」
4「タサキとタイヤックのコラボのパールネックレス。リップチャームはコーデに合わせて前後で変えても」
Youn-a's Jewelry History
20代半ば
カルティエのロンドシリーズの時計と出会う
30歳
30歳の記念にハリー・ウィンストンのダイヤリングを購入
30代後半
2つ目のオーデマ ピゲの時計を購入
モデル
ヨンアさん
数々の雑誌やカタログで活躍中の人気モデル。モデル活動のほか、ライフスタイルブランド『コエル』やジュエリーブランド『ナリン』のディレクションも手がける。
2. スタイリスト・辻 直子さん
“ファッションもジュエリーもトレードマークをつくる大事な要素。だからこそ自分の〝好き〞を信じて選びます”
「ジュエリーはずっとイエローゴールドが好きです。なぜなら私の肌質や顔立ち、選ぶ洋服などにいちばんしっくりくるから。ファッションやジュエリーって自分のトレードマークをつくる大事な要素だと思うんです。私の場合、洋服は基本とてもシンプル。そこにジュエリーで、その時々の気分やパーソナリティを表現することを大切にしています。ジュエリーに限らず、私が物を選ぶときに大事にしているのは"好き"という気持ち。どれだけ名品と呼ばれるようなアイテムで身を固めても、自分軸で物を選んでいる人の素敵さには絶対にかなわないんです。それは1万円のネックレスでもいいし、100万円のリングでもいい。自分の心に響いたものがワードローブとしてそろっていくと必然的に自分らしさって磨かれていく気がします」
「普段は首もとが詰まっているか深くあいているトップスしか着ないので、ネックレスはそこに合わせて長さや重ねづけのバランスを調整しています」。セザンヌのシャツ・ヤヌーク×ナオコ ツジのパンツ/すべて本人私物
イエローゴールドを軸に異なる素材をミックスするのが気分
「最近はネックレスがマイブームで、よく買い足しています。海外のサイトでひと目ぼれしたゴールドのネックレスは当時、日本に未上陸だったため直接デザイナーさんに連絡をして購入しました。オキシダイズドされたマットなブラックのチェーンネックレスとも好相性。ルクルトの時計は20代で手に入れてからの長いおつきあい。リングはその日のバランスでセレクトします」
1.サンローランのヴィンテージイヤリング
2.ドゥジャガーのシルバーリング
3.海外で購入した三連リング
4.ジャガー・ルクルトのレベルソ・リザーブ・ド・マルシェ
5.ローレン・ルビンスキーのチェーンネックレス
6.ヒロタカのロングチェーンネックレス
地金以外のジュエリーも“好き”を指針に
1「ネックレスは長さ違いで持っているほど大好きなパール。質がよくてリーズナブルなものが見つかるので、最近はパールの産地にある専門店で購入することも」
2「ソウルの友人のブランド・ZINNIAのブレスレットはダイヤと繊細な細工が大好きでオーダー。ほどよくボリュームがあるので時計代わりに着用しています」
Naoko's Jewelry History
20代前半
ティファニーのバイ ザ ヤードのネックレスを購入。なくしても再度手に入れるほどお気に入り
20代後半
ジャガー・ルクルトの時計と出会う
30代後半〜40代にかけて
パールのネックレスがしっくりくるように
スタイリスト
辻 直子さん
フェミニンさの中にモダンなムードを宿した上品なスタイリングで幅広い層に根強いファンをもつ。雑誌や広告、カタログのスタイリングのほか、ブランドのディレクションも手がける。
3.美容家・神崎 恵さん
“ジュエリーを手に入れるのは悔しいことがあった日。身につけるたびに強い思いがよみがえって、前向きな気持ちに”
「女性って年齢とともに体に曲線が増えるし、人としての重量感が増していきますよね。20代の頃はトレンドもあり可愛いデザインのジュエリーをよく好んでいたのですが、30代後半になってから、そんな部分とバランスがとれる辛口なものを選ぶようになりました。時計やジュエリーって自分が元気なときには、めったに買わないんです。手に入れるのは、だいたい悔しいことがあったとき。今まで購入をちゅうちょしていた大物も、そのタイミングなら自分を奮い立たせるために『えいっ』と決断できる。私のジュエリーコレクションって、まさに悔しさのアーカイブなんです。身につけるたび当時の思いがよみがえって、悔しさをバネにしようと前向きな気持ちになります」
「ジュエリー同様、普段の着こなしもシャープさを意識。ジャケットは毎日のように着ています」。ジャケット¥99000/ハルミ ショールーム(AKIRANAKA) タンクトップ¥8580/ザ ショップ スローン 新静岡セノバ店(スローン) パンツ¥57200/アダム エ ロペ(オムガールズ) その他/本人私物
華やかなゴールドはインパクトのあるデザインを
「今日はゴールドをベースにまとめましたが、カラーを自由にミックスするのも好き。このシャネルの時計は、まさに“悔しいこと”があった日に購入したもの。ブレスレット感覚でつけられて日常使いもしやすいんです。ひとつ取り入れるだけで絵になる名品リングたちも私のスタイルに欠かせないアイテム。アルハンブラはシックな色が特にお気に入り。最初からコンビカラーになっているピアスは、着こなしを選ばず使えて重宝しています」
1.ヴァン クリーフ&アーペルのマジック アルハンブラ アントレ レ ドア リング
2.シャネルのココ クラッシュ ピアス
3.カルティエのクラッシュ ドゥ カルティエ リング
4.シャネルのプルミエール
エッジィなシルバーを基調にする日も
1「トムウッドのイヤカフはシャープな中にもエレガントさが」
2「ひと味違うデザインが気に入っているパテック フィリップの時計」
3「ヴィンテージで購入したピアスはクラシックな配色が魅力」
4「パリに行くたび息子たちのお土産にするエルメスのシルバージュエリー。このリングはボリューム感が気に入って自分用に」
Megumi's Jewelry History
20代〜
母から毎年誕生日にカルティエのジュエリーを贈られる
30代
出産記念にカルティエのハートのネックレスを購入
40代
新たな名品が少しずつ仲間入り。20代の頃に手に入れた名品たちも新鮮な気持ちで再び愛用中
美容家
神崎 恵さん
美容誌をはじめとした数多くのメディアでの連載やイベント出演のほか、コスメブランドのアドバイザーやアパレルブランドとの商品開発も手がける。美容の枠を超えて幅広く活躍中。
4.エディター・伊藤真知さん
“一生ものと気負わなくていい。今の私を鼓舞してくれることがジュエリー選びの基準なんです”
「洋服はずっとシンプルカジュアル派なので、ジュエリーはひとつでインパクトが出せて、甘さと辛さ、どちらかに振り切ったデザインばかり。基本的に洋服もジュエリーも難しいテクニックがいるものが苦手で、その点は一貫しています。そもそも世間的な名品に自分が追いついたと思えたのは30代半ばになってから。だから今スタメンの時計やジュエリーはそれ以降に購入したものが大半。一生もの買いは始まったばかりです(笑)。『一生大事に使おう』という気持ちはすごく素敵なことなのだけれど、そこにとらわれすぎると自分の“好き”を見失ってしまう気がするので。今の自分を鼓舞してくれるものこそが、今その人が選ぶべき正解。“好き”で手に入れた存在は、必ずや長く愛せる宝物になるはずです」
「タートルニット×ワイドパンツのメンズライクなワンツーコーデにパールでレディなムードを足しました」。ユニクロのメンズニット・ステュディオスのパンツ・アーポワン ウテセのバッグ・マノロ ブラニクのパンプス/すべて本人私物
自分へのバースデージュエリーが今のスタイルをつくるスタメンに
「30代半ばから自分の誕生日に毎年ひとつ、名品を買い足すことにしているんです。ブシュロンのリングは肌身離さずつけられるような、お守り的な存在のリングが欲しくて購入。ヒロタカのリングも同様で、何もジュエリーをつけない日にこれだけつけていてもさまになります。タサキのリングは昨年の誕生日に絵になるインパクトに惹かれて。カジュアルにつけられるのが魅力のコットンパールピアスは大好きなブランドと私のコラボアイテム。ずっと憧れていた時計は昨年、手に入れました」
1.ロレックスのエクスプローラー
2.プティローブノアーのコットンパールピアス
3.ブシュロンのキャトル クル ド パリ リング
4.ヒロタカのゴールドリング
5.タサキのデインジャー シグネチャー リング
手に入れたから今がある!宝物になった思い出名品
1「若い頃はずっとパールに苦手意識があったのですが、それを払拭してくれたタサキのピアス。私が名品の魅力に開眼した、きっかけとなりました」
2「カルティエのパシャは社会人一年目、ボーナスが出たときに、わざわざ現金を握りしめてお店に買いに行った思い出の時計。名品と呼ばれるものに投資した初めての経験だったので、今でも愛すべき存在です」
Machi's Jewelry History
20代
ジュエリーはトレンドデザインを楽しむ
30代前半
タサキのパールピアスを手に入れて、名品のよさに気づく
40代半ば
憧れだったシャネルとロレックスの時計を購入
エディター
伊藤真知さん
本誌をはじめとした女性ファッション誌やブランドのカタログなどで活躍中。筋が通ったシンプルカジュアルな私服スタイルが大人の女性たちの共感を呼び、たびたび特集が組まれている。
5.ブランドディレクター・二ノ宮和佳子さん
“相反するものをミックスするのが私が心地よくいられるバランス。時々、“好き”をあらためて見つめ直します”
「20代はトレンドだった甘めのファッションを楽しんでいた時期も。ただ私は171㎝と高身長ということもあり、甘さや女らしさをそのまま直球で取り入れるよりも、モード感のある辛口な着こなしにさりげなくプラスするほうが年々、しっくりくることに気づきました。それが私流のバランスと知ってから、合わせるジュエリーもゴールド×シルバー、華奢×ゴツめなど相反する色やデザインを様々にミックスするように。たまに洋服づくりのアイディアに煮詰まったら、クローゼットからお気に入りのジュエリーや洋服を取り出して頭の中を整理するんです。時々、こうして“好き”をあらためて見つめ直すことが、自分らしいスタイルをブレずに保てる秘訣かもしれません」
「マニッシュなジャケットからチュールをチラ見せ。ミックス感のあるジュエリーがさらに女っぽさを引き立てます」。ジャケット¥51700・パンツ¥33000・ワンピース¥28600/ユナイテッドアローズ 渋谷スクランブルスクエア店(イウエン マトフ) その他/本人私物
ハイブリッドなスタイリングがかなう多彩なラインナップ
「ふと立ち寄ったヴィンテージショップで運命的に出会うことも。時計は珍しいディテールに心惹かれて即決。ミックスカラーのメタルバンドで合わせやすいんです。シンプルながらほどよい存在感を醸し出してくれるのがティファニーのリング。ゴールドはさりげないダイヤ使いが好きなポイントです。モードなニュアンスが欲しい日はエルメスのシルバージュエリーに託して。パールピアスはゴールドコーティングされた遊び心ある表情がお気に入り」
1.ロレックスのヴィンテージウォッチ
2.プリークのシングルパールピアス
3.エルメスのクロワゼット リング
4.ティファニーのリング
5.エルメスのシェーヌ・ダンクル ブレスレット
Wakako's Jewelry History
20代
ジュエリーより洋服に投資
30代前半
シルバージュエリーの魅力に目覚める
30代後半〜40代にかけて
ハイブランドやヴィンテージのジュエリーをミックス
ブランドディレクター
二ノ宮和佳子さん
モデル活動やアパレルブランドのPRなどを経て、2019年にイウエン マトフのディレクターに就任。高身長を生かしたモードでハイセンスな着こなしは、SNSでも常に注目を集めている。
撮影/三吉杏奈〈TRON〉(ヨンアさん)、宮下昌生〈hannah〉(辻直子さん、伊藤真知さん、二ノ宮和佳子さん)、田中 瞳(神崎恵さん:人)、上田祐輝(神崎恵さん:物) ヘア&メイク/森ユキオ〈ROI〉(ヨンアさん)、 山口春菜(辻直子さん)、赤羽麻希〈Un ami〉(神崎恵さん)、小林未波〈PEACE MONKEY〉(伊藤真知さん、二ノ宮和佳子さん) スタイリスト/石関靖子(ヨンアさん、神崎恵さん) 取材・原文/野崎久実子 ※価格表記のないものは本人私物のため、ブランドへのお問い合わせはご遠慮ください ※BAILA2024年12月号掲載