勉強や仕事は頑張った分だけ結果はついてきたけれど、恋愛や婚活だけはどうも報われない…(涙) 悩めるライターTが賢者5人に徹底取材!
頑張っても恋愛や婚活だけは 報われないのはどうして!?
突然ですが、皆さま!恋愛に努力って必要だと思いますか? 好きな人に好かれるために、彼氏と長続きするために、自分磨きも頑張ってきたし、相手への気づかいも怠ってこなかった。空気だって読めるし、使うかどうかは置いておいて、ある程度のテクニック的な知識はある。むしろ自分で言うのもなんだけど、そこそこイケてるほう(のはず)。それなのに、どう努力をしても恋愛や婚活は報われない。そもそも好きになれる人がなかなか現れなかったり、「いいな」って思う人はもうすでにパートナーがいたり、やっと彼氏ができたと思ったら、とことんクズだったり……。最近、そんな恋愛迷走ぎみな女子、自分も含めて周りに多すぎやしませんか!? 勉強や仕事なんかは努力した分だけ、それなりに結果はついてきたけれど、恋愛だけはどうしてこんなに難しいのか……! たった一人、運命の人がいればいいだけなのに、その一人が見つからないし、選ばれない。こんなに頑張っても空回りするのなら、そもそも恋愛に努力は必要ないの? それとも今までの努力の方向性が間違っている!? そこで、あらゆるジャンルで活躍する、人生の先輩方にこの「恋愛に努力は必要かどうか」モンダイを聞いてみました。教えてください、切実に!!
1.【女優・タレント YOUさん】恋愛相談をしてみたい先輩といえばこの方!
女優・タレント
YOUさん
ゆう●東京都出身。バラエティ番組などで見せる、飾らないキャラクターはみんなの憧れ。NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」など、女優としても活躍。
人を惹きつけるのは「用事のある女」。自分を豊かにする努力はある程度必要
「ありのままの私を受け入れろというのは、畑から取った泥のついた大根を食べろというのと同じ」という美輪明宏さんのお言葉があるけど、これがすべてだよね。やっぱり恋愛において、ある程度の努力は必要だと思うよ。だってさ、裏返せばどういう人を素敵だなって思う? 人間は自分を補う相手を求めているから、何かに長けてたり、頑張っている人を魅力的に思うものでしょ。でもその努力ってひとつじゃなくて、たとえば人への接し方。やっぱりいつも笑顔な子や人から見られてなくても気がきく子って男女問わず魅力的だもん。お友達でもいいし、テレビや街中で見かけた人でも素敵だなと思う部分があったら、まずは真似して取り入れてみる。最初は“やってる感”が出るかもしれないけど、続けていればいずれ身についてくるから。あとね、謎に魚にめちゃくちゃ詳しいとか、中華料理を作らせたらものすごい上手とか、興味をそそるじゃない? そういうことでもいいの。もちろん、可愛くなるために頑張るのも自分がしたいなら全然アリだけど、でも見てくれだけで、話題もありません、空気も読めませんじゃ、一回連れ回したら用はなくなるのよ。だからこそ、「用事のある女」を目指してほしいんだよね。それって、恋愛だけに限らず、友達関係や仕事においても言えること。「用事がある女」は人としても魅力的だし、興味を持たれるのよ。それが交友関係を広げるし、恋愛に発展するとっかかりにもなるものなんだよね。
人生の輝き方は人それぞれ。幸せの固定観念に振り回されないで
でも逆を言えば、自分も他人に興味を持つことが大切。だから私はいつも周りの子に「シェフを落としたいなら、まずは近くにいるウェイターから口説け」って言ってるの。意中の相手だけを特別扱いするんじゃなくて、周囲にも興味を持って真摯に対応する。そうすれば、今まで見逃していた人のいい面に気づくかもしれないし、ウェイターたちが噂して「あの人いつも素敵ですよね」ってシェフの耳に届くかもしれない。視野や間口を広げた分だけ、出会いがないと思い込んでいた世界が変わるから。だいたいみんなさ、思い込みで的をしぼりすぎてるんだよね。しかもそれが自分に本当に合ってるかっていうとほとんどが間違ってるわけ。自分のことって実は自分がいちばんわかってないんだから! それに、すでに完成された理想的な独身男子なんて、かなりの争奪戦じゃん? だったら、これから芽が出そうな有望株を見つけて、プロデューサー目線で育てるのも楽しいよ〜。そうやって誰かを育てるにしても、仕事を頑張るにしても、一人でいるにしても、それぞれの輝き方があるし、幸せのあり方ってひとつじゃない。そもそも結婚したからって安定するわけでもないからね? それでもしたいなら、幸せにしてほしいなんて考えは捨てること。結婚って相手を幸せにするためにするものなんだから。相手のために何ができるのかを考えて、自分の人生の選択をしていってね。
2.【哲学者・教育者 苫野一徳先生】哲学的にはどうなんですか?
哲学者・教育者
苫野一徳先生
とまの いっとく●兵庫県出身。熊本大学大学院教育学研究科・教育学部准教授。熊本市教育委員。著書に、あらゆる愛の形を明らかにした『愛』(講談社)などがある。
人との〈対話〉を通じて、自分を知ることが豊かな関係性を築く第一歩
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、恋に落ちることに関しては努力は不要。でも、その恋を継続して豊かな関係性を築くためには努力が必要だと言えるでしょう。そもそも恋とは何か。私は、「自己ロマンの投影とそれへの陶酔」であると言っています。人は皆、人生の小さな挫折を通じて“こうだったらいいな”というロマンを育みます。そのロマンをそのまま投影したかのような相手に出会うことで恋に落ちる。でもそれはいわば幻想のようなものですから、「こんなはずじゃなかった」ともろくくずれてしまうことも多い。
そこで大事になってくるのが、私の師である竹田青嗣の理論、「自我のエロス」から「関係のエロス」への展開です。恋のロマンを含め、誰しもが持つ自己中心的な欲望=「自我のエロス」。それを超えて、相手との関係そのものに喜びを感じたい、そのために努力したい、そう思えるかどうか。もし恋人との関係に悩んでいるのであれば、“一緒にいることそれ自体に幸せを感じるか”を問うてみてください。一方が尽くすでも依存しあうでもなく、ともに過ごす喜びを味わうことが「関係性のエロス」です。この関係は、必ずしも恋から始まる必要はありません。大人になると経験から現実を知りロマンを抱くことがどうしても少なくなる。そしてもちろん、誰もが恋をする必要もありません。ときめきはなくとも、お互いを尊重しあい、慈しむことができたら素敵なことです。
ジャン=ジャック・ルソーの言葉で「不幸の本質とは、欲望と能力のギャップにある」という鋭い洞察があります。人は欲しいもの(この場合は恋愛や結婚)が手に入らないと不幸を感じやすい。では、どうしたらこの不幸から逃れられるのか、答えは3つ。「能力を上げる」「欲望を下げる」、そして「欲望を変える」ことです。前2つは少々大変ですが、欲望を変えることは意外とできるんです。いつも苦しい恋愛ばかりしてしまう人は、自分の本質的な欲望=自己了解がズレている場合も多い。自分が本当は何を求めていて、どうありたいのかを理解すること。それには映画観賞や読書もいいですが、いちばんは対話を通じて他者と価値観や感受性を交換することです。“誰かといい関係性を築けた”という成功体験は人間関係のいい土台づくりになります。直接的な恋愛の成果をすぐに求めるのではなく、様々な人とのコミュニケーションを楽しむ。それは、自分を知り、幸せな関係を築くための大切なプロセスです。
3.【精神科医 樺沢紫苑先生】精神科医から見ると…
精神科医
樺沢紫苑先生
かばさわ しおん●北海道出身。作家、YouTuberとしても活躍。著書に『精神科医が見つけた3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法』(飛鳥新社)など多数。
愛を勝ち取るための努力ではなく、末永く安定した関係を育む努力を
人は幸せだと感じたときに、セロトニン、オキシトシン、そしてドーパミンの3種類の脳内物質を分泌します。いわゆる「幸福物質」と呼ばれるものですね。その中でも愛に関する脳内物質は2パターン。ドキドキした高揚感の「ドーパミン的愛情」と、居心地のよさや安らぎを感じる「オキシトシン的愛情」があります。恋愛がいつもうまくいかない、結婚までたどり着かない、そういった方はだいたいドーパミン的な愛を求めがち。ですがこれには、2~3年という賞味期限があるんです。
また、相手を条件で見ることになる婚活や、“彼氏をつくること”を目標にしている場合、どうしても“頑張って勝ち取る”ことがゴールになりがち。安定した関係性を得たいのであれば、「オキシトシン的愛情」を持てる人をパートナーにする、もしくは「ドーパミン的愛情」を「オキシトシン的愛情」へと軌道修正する努力は必要だと思います。「オキシトシン的愛情」を持てる人は、好き!というより気疲れしないような相手ですから、会社の同僚やお友達など、意外とすぐ近くにいる可能性だって高いと思います。趣味のサークルなどコミュニティを広げる活動をしてみるのもひとつの手。
ポイントは結婚や恋人を探そうとしてかまえないことです。すぐに「あり」か「なし」かで判断するのではなくニュートラルに人間観察することで、今まで意識してこなかった相手のいい面が見えるようになりますよ。また、この「オキシトシン的愛情」は恋愛や結婚だけのものでもありません。友達やペット、趣味のコミュニティでも得ることができます。恋人をつくる、結婚することだけが幸せのかたちでないことも念頭に置くといいかもしれませんね。
4.【タレント 丸山桂里奈さん】元日本代表アスリートいわく
タレント
丸山桂里奈さん
まるやま かりな●東京都出身。元サッカー日本女子代表。バラエティ番組などで見せる明るいキャラクターが世代を問わず人気。夫はサッカー元日本代表の本並健治氏。
幸せの絶対条件は、自分らしくいられること! そのための努力をしていきたい
実は私、もともと結婚には執着がなくて。だって仕事が好きだし、自分で楽しく暮らしているし、「結婚する意味って何?」ってずっと考えていたんです。むしろ結婚することで、相手にも家族がいるし、ぬるぬるローションみたいに体張る仕事とかを制限されてしまったら、自分らしくいられなくなるんじゃ?って心配で。
でも本並さん(夫)は幸いなことに、「お尻出すのは事前に教えてね」と言ったぐらいで、あとは全然自由にやらせてくれます。だから結婚したいなって思えたんです。
もちろん、人を好きになったり結婚することは素敵なこと。だけど、自分らしくいられることが何よりも幸せだと思うんです。だって、無理して背伸びするのって疲れません?
私、焼き肉を食べにいくときは、肉と真剣に向き合うためにスウェットが正装なんですけど、ある日デートで焼き肉にいくってなったときにスウェットを着ていったんです。普通ならありえないかもしれないけど、本並さんは「いいじゃん」って言ってくれた。やっぱり自分が信念を持っていることは大事にしたいなって思ったんです。
でもそれって恋愛に限らず、仕事にもサッカーにもつながっていることだと思います。そこがブレちゃうと、私じゃなくて誰でもいいじゃんってなるから。自分だけができること、持っているものってみんな平等にある。だからこそ、それを磨く努力はしていきたいですよね。
5.【経営者・コラムニスト 川崎貴子さん】婚活支援のプロにも聞いてみた
経営者・コラムニスト
川崎貴子さん
かわさき たかこ●埼玉県出身。人材コンサルティング会社「リントス株式会社」、結婚サイト「キャリ婚」、婚活結社「魔女のサバト」主宰。働く女性たちの人生をサポート。
人生を他人マターにしないこと。自分の求める優先順位をとことん突き詰めて
婚活の場合、アイドルのセンターを決めるオーディションではないので、モテなくていいんです! だって、結婚って最終的に素顔をさらして生活する、自分にぴったりな一人と出会えればそれでいいのだから。でも、いざ婚活の場に入ると、選ぶ対象が広がったり、肩書やら年収やらスペックに惑わされたりして人気投票のように錯覚してしまう。そうなると、もはや自分がどんな人が好きで、何を求めているのかも見失ってしまう場合が多いんですよね。これが危険。だからまずは、自分が結婚相手に何を求めているのか、どういう人生を歩んでいきたいのか、優先順位をとことん突き詰めていく必要があります。私は婚活の勉強会を定期的に行っているのですが、意外とみんなそこが落とし穴。レッドオーシャンの好条件男子をとりあえず狙ってはみたけど、本当は休日穏やかに過ごせる相手を望んでいたり、やみくもに婚活していたけれど、実は結婚自体を求めてはいなかった……なんて場合も。自分で自分を誤解したままでは、どこにもたどり着けないので、そここそ努力のしどころなんです。
また、お相手がいるのに結婚にたどり着けない場合。それはとことん、話し合うべきです。察してもらうために変なアピールをするのは無駄な努力。それよりも、「私はいつまでに結婚したいと思っているんだけど、あなたは?」と、ファイナンシャルプランナーのように二人の人生設計をすり合わせていきましょう。そんな話し合いができない場合は、結局結婚したところでうまくはいきません。大切なのは、自分の人生を他人マターにしないこと。自分を知って、自分で決めて、自分が納得する人生を歩んでいってください。
お話を聞いて……
意外と皆さんが口をそろえておっしゃったのは「恋愛に努力は必要」。でも、それは自分を知る努力だったり、二人の関係性を深める努力だったり……。もしかして、今まで空回りしてきたのって、本当は望んでいなかったり、ただ勝ち取るためだけの努力だったからかも。私の人生は私だけのもの。幸せの形はひとつじゃないからこそ、固定観念にとらわれず、自分に合った方法で、自分らしい幸せを、相手を思いやってつかんでいきたい!(ライターT)
イラスト/五月女ケイ子 取材・原文/谷口絵美 ※BAILA2022年2月号掲載