長引く怒りへの向き合い方を著名人に取材。今回は、「逆にポジティブ型」の漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんに、自分の感情とうまく付き合う方法を伺いました。
「根に持てるのは自分への期待や信頼があるから」漫画家・コラムニスト カレー沢薫さん
【逆にポジティブ型】
長い間根に持てるということは「あのときは自分のほうが正しかった」と信じて疑っていないということです。私にとって意外とそういうことはわずかで、「俺が100%悪い」9割、「こっちが悪かったが、向こうも悪かったと言えなくもない」1割、残り0割が「完全にこちらが正しい」です。つまり「完全にこちらが正しい」と信じたまま、その考えが揺らぐことがないというのはもはや「奇跡」です。
「根に持っている」ではなく「自分が正義だった証」だとポジティブに考えましょう。また、「あのときこいつがああしなければ今自分は成功していた」などと思えるのは、自分に希望を持っている証拠です。それを超えると「何がどうなろうと自分はダメ」としか思えません。
根に持つというのはネガティブな感情ではありますが「自分に対する希望がまだ残っている」というポジティブな状態でもあると思います。つけ加えると、私は人が怒っているのを見るのが好きです。「怒」というのは負の感情でありながらパワーであり、エンタメであると思います。根に持つタイプは嫌われるといいますし、根に持ちがちな自分が嫌という人もいるかもしれませんが、それを面白がっている人間もここにいるので、これからもガンガン根に持ってもらえればと思います。
漫画家・コラムニスト
カレー沢薫さん
かれーざわ かおる●1982年生まれ。漫画『ひとりでしにたい』を「コミックDAYS」(講談社)にて連載。エッセイ本も多数。
取材・原文/東 美希 ※BAILA2022年10月号掲載