働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない（!?）アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第35回！　今回は「下戸なので、飲み会での割り勘にいつもモヤッとする」というお悩みに田中先輩が的確アドバイス！

私はお酒を飲みません。そこで、いつも気になるのがお会計です。ソフトドリンクを飲んでいる横でワインやシャンパンを飲みだされた日には、なんで私がみんなの酒代を払うんだ？の気持ちに……ちなみに私の車でドライブに行くときも、駐車場代や高速代を払わない友達にむかつきます。私はやっぱりケチなのでしょうか？

まずはこっちの気持ちを理解してもらう努力をする

この気持ちわかるなぁ。僕もそんなに飲まないから。酒豪たちと飲みにいったときはお酒の注文が入るたびに、それを横目で見ながら「あぁ、○○円プラスされた」「今度は○○円だよ」と舌打ち。頭の中で会計を計算しながら飲むお酒なんて全然美味しくないし。「あんなに切り詰めて生活していたのに、どんどん他人のためにお金が吹き飛んでいくよ」みたいな。若手の頃はいつも、酒の席の割り勘会計に不満を抱いていましたからね。

お酒を飲まない人はこの気持ちにきっと共感してもらえると思うんだけど。残念ながら、お酒を飲む人にはこの気持ちがわからないようで……。

今でも覚えているのがあばれる君と飲みにいったときのこと。急に「自分でたこ焼きを焼ける店に行きたい」と難易度高めの要求をしてきて。その店を探すだけでも大変だったのに、さらには高級なシャンパンを注文。結果、当初は四千円くらいですむと思っていた会計がまさかの一万円超えに。あのときは、シャンパン片手にご満悦のあばれる君を冷ややかな目で眺めつつ、心から思いましたからね。

「たこ焼きにはビールかハイボールだろう⁉」って。

お金はすごく大事だからこそ、「それは不公平だから、お酒を飲まない人の会計を安くしてほしい」って、本当は真正面から言ってもいいと思うんですよ。それは当たり前の権利だと思うしね。車だって同じだよね。ガソリン代だって安くはないし、自動車はとんでもない勢いでそれを飲み込んでいくんだから。なのに、世の中には「運転するのが好きなんでしょ」って、「乗ってやっているんだ」くらいのテンションで、高速代も払わない人がいるっていうから本当に驚いちゃうよね。

お酒に関しても車に関しても、不公平なことを堂々とできちゃう人って、多分だけど、自分が悪いことに気づいていないんだよね。だから、文句を言ったところで通じないし、「え、なにが？」「ケチなこと言うなよ」って、なんならこっちに非があるような態度をとってくるから。こっちも言いづらくなってしまうんだと思う。

だからこそ、抗議をするときは味方をつけたほうがいいのかもしれない。大学生時代、車を運転していた僕はまさにガソリン問題に直面。まだ学生で車を持ったことのない友達はガソリンのことなんてちっとも考えてくれなくて。その問題を解決するために、僕はあえて違う人の車に乗せてもらい、友達の前で「払うよ」と自らアピール。そのときに、初めてみんなはハッとして、そこからガソリン代を意識してくれるようになったんだよね。

飲み会の会計も同じように「お酒を飲んでいない人が損してない？」ってアピールしてくれる味方を見つければいいんだと思う。ただ、ここで大事なのは“お酒を飲む人”に言ってもらうことね。同じ立場の人から「それは違うよ」と指摘されたほうが「確かに」って、意識してくれるようになるはずだから。それでもダメだったときは……。もう、お酒を飲まない人だけで集まるしかないよね。無茶な割り勘を押し付けてくるような飲み会には参加しなくていいですよ。汗水垂らして働いたお金を、他人の酒のために、使う必要なんてないんだから‼

撮影／黒沼 諭〈aosora〉　ヘア＆メイク／高橋将氣　スタイリスト／高山良昭　イラスト／ますこえり　取材・原文／石井美輪　撮影協力／アワビーズ　※BAILA2025年12月号掲載