舞台出身で近年は、映画、ドラマなど話題作に多数出演している高畑充希さん。今回新しく挑戦する、ミュージカル『ミス・サイゴン』への思いを伺いました。
新たなチャレンジが必要な転換期だと思った
高畑充希さんがミュージカル『ミス・サイゴン』に出演する。そのニュースを聞いて、驚く人は少なかったはず。ここ数年は映像の世界で活躍してきたけれど、もともとは舞台出身で“歌がうまい人”だということは周知の事実だったから。ところが実際に彼女に話を聞いてみると、その心にはひそかにさざ波が立っていた。「舞台出身とはいえ、いわゆる正当派ミュージカルといわれる作品に出演した経験はほとんどなくて。『ミス・サイゴン』には10代のころから憧れがあったけど、歌の力量的にもまだムリだろうなとあきらめていたんです」
オーディションが行われたのは2年前の2018年。挑戦の決め手になったのは年齢だった。
「ヒロインのキムって17歳の設定なんです。このチャンスを逃すと私が30歳を超えちゃうと思って(笑)。ダメもとで挑戦したら採用していただけたので、うれしいと同時にかなりビックリしました。この10年くらいは映画やドラマの世界にいて、“若手女優”としてなんとか走りきれた感覚があったんです。最近は既婚者や母親役をいただくことも増えてきて、そろそろ転換期に来ているのかなって。やったことがないこともどんどん減っていくなかで、『できないかもしれないけど頑張ってみる!』みたいなチャレンジをすることが必要な気がしたんです。今は、すごく気持ちが躍動しているし、ワクワクしています」
出演が決まってからの1年は、先生に指導してもらうボイストレーニングとスタジオでの自主トレーニングを続けてきた。
「私、予習とかが全然ダメで、地道に努力することが世界一苦手なんです。どうサボるかを考えちゃうタイプ(笑)。でも今回ばかりはサボるわけにいかないので、地道に歌のレッスンを続けています。始めたころよりはスタミナもついてきたし、体の構造を理解すると、出なかった音が出るようになって面白いんです。もし本番で苦しくなったとしても、理論を思い出せればきっと安心して対処できるだろうなって思います。今つけている力は、きっと今後も生きるはず。この1年間はしんどかったけど、これから先につながると思うと頑張りがいがあるんです」
キム役を演じるのは、高畑さんのほかに昆夏美さん、大原櫻子さん、屋比久知奈さんの3人。
「長い間同じ歌を練習しているのに、やっぱり曲がいいから全然飽きないんです。稽古で相手役の方と合わせるのも楽しみだし、キムを演じるほかの3人の稽古を見られるのも楽しみ。みんな歌がうまいからタダで見られるだけでうれしくて(笑)。4人も同じ役がいるとバチバチすると思われるかもしれないけど、今回はみんな協調性があってのんびりしてるから大丈夫だと思います。さっき『4人でごはんに行こう』って話をしてグループラインも作りました。自分がつまずいたときに助けてもらえる味方が3人もいる。こんなに心強いことはないし、お客さんにも、それぞれのよさを見に来てもらえたらうれしいです」
ドレス¥23000/ショールーム セッション(サヤカ デイヴィス)イヤリング¥42000/カオル ルミネ有楽町店(カオル)リング¥70000/ロンハーマン(ソフィー ブハイ)
ミュージカル『ミス・サイゴン』
1970年代に出会い、ベトナム戦争の混乱の中で引き裂かれた戦災孤児のキムとアメリカ兵のクリスの愛の物語。
5月19日〜6月28日
帝国劇場 地方公演あり
東宝テレザーブ ☎03(3201)7777
たかはた みつき●1991年12月14日生まれ、大阪府出身。2005年に女優デビューし、『ピーターパン』『奇跡の人』『いやおうなしに』など舞台を中心に活躍しつつNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」で話題を集め「とと姉ちゃん」で主役を演じて以降、映画『ヲタクに恋は難しい』、ドラマ「同期のサクラ」など話題作に多数出演するように。
撮影/中村和孝〈まきうらオフィス〉 ヘア&メイク/河北裕介 スタイリスト/百々千晴 取材・原文/松山梢 構成/中川友紀〈BAILA〉 ※BAILA2020年5月号掲載
【BAILA5月号はこちらから】