卓越した演技、飾らない人柄、唯一無二のたたずまい。俳優・菅田将暉に、人はなぜこうも惹きつけられるのか。その強烈な吸引力と幅広い人とのつながりの秘密を、「直感で決めた」と語る、主演映画『糸』からひもとく。
運命的な出会い
中島みゆきの名曲「糸」から着想を得た映画『糸』は、菅田さん演じる漣と小松菜奈さん演じる葵の18年におよぶ愛の奇跡を、平成史とともに紡ぐ物語。
「俳優としていろんな作品との出会いがありますけど、たまに理由なく『これはやんなきゃな』って思うものがあって。『糸』はまさにそう。まだ脚本もキャストも決まっていない段階でしたが、直感で出演を決めました」
出演を機に、心境にも大きな変化が。「今の時代は情報がいっぱいあるから、どうしたって人と比べてしまうと思うんです。でも漣と葵はちゃんと自分の人生を必死で生きようとしているし、糸という運命に振り回されているように見えて、結局は自分の気持ち次第で変えられるんだなとも思いました。だからね、長生きしようと思ったんです。簡単には死ねないなって(笑)。ものを作る人間のさがなのかもしれないけど、すべてを犠牲にしてもいいやくらいの気持ちになるときってあるんです。でも家族や大事な人との生活がベースにあったうえでお仕事があるんだなっていうのは、なんか感じましたね。作品自体に影響を受けることってあんまりないんですけど、今回はすごく影響されました」
ジャケット¥72000・パンツ¥29000/エスティーム プレス(リベルム) ベルト¥10000/キクノブ トウキョウ(ジエダ) リング¥32000/エドストローム オフィス(オール ブルース) スニーカー¥12000/リーボック アディダスグループお客様窓口(リーボック)
仲間との縁
3度目の共演となる小松菜奈さんはもちろん、二階堂ふみさんや石崎ひゅーいさん、片寄涼太さんなど、菅田さんと縁のあるキャストが勢ぞろい。
「もうそれは製作陣の愛情ですよね。僕と小松さんに縁のある人たちをキャスティングする発想はすごく斬新だし、計り知れない結びつきを映画化するうえで、うまくいったと思います。自分の出演作を見て泣くことはあまりないんですけど、今回は僕が携わってないシーンも多かったので、泣きましたねえ。特に小松さん演じる葵がシンガポールでの事業に失敗して、ふらっと立ち寄った日本料理屋でカツ丼を『まずい』と泣きながら食べるシーン。あれは名シーンですよね。本人にあとで聞いたら、めっちゃおいしかったみたいですけど(笑)。食べることって生理現象だから、すごく感情が素直に出るし、見ていて言葉以上に伝わるものがあるというか。漣目線でグッとくるものがありました」
菅田将暉さんの“引き寄せるチカラ”にフィーチャーしたインタビューの全貌は、4月11日(土)発売のBAILA2020年5月号でチェックして!
『糸』
監督/瀬々敬久 出演/菅田将暉、小松菜奈、榮倉奈々、斎藤工
13歳で出会い初めて恋をしたものの、突然引き裂かれた漣(菅田)と葵(小松)。8年後、友人の結婚式で再会を果たすも、二人はすでに別の人生を歩んでいた。
©2020映画 『糸』製作委員会
すだまさき●1993年2月21日生まれ、大阪府出身。2009年に初出演したドラマ「仮面ライダーW」で初主演を務める。映画『共喰い』『そこのみにて光輝く』『ディストラクション・ベイビーズ』『アルキメデスの大戦』など話題作に多数出演。今後は志村けんとW主演の『キネマの神様』(12月公開)、有村架純とW主演の『花束みたいな恋をした』(今冬公開)が待機中。
撮影/田形千紘 ヘア&メイク/AZUMA〈M-rep by MONDO-artist〉 スタイリスト/二宮ちえ 取材・原文/松山 梢 構成/斉藤壮一郎〈BAILA〉
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