30代女子を虜にする宝塚歌劇団。元宝塚男役スターの七海ひろきさんのインタビューが実現! 七海さんが宝塚を目指したきっかけ、退団してから改めて気づいた宝塚の魅力、注目ポイントなどなど。誰よりもファンを愛する七海さんの想いも一緒に伝わってきました!
元宝塚男役・七海ひろきさんが教える宝塚の魅力
ななみ ひろき
2003年、宝塚歌劇団に入団。宙組配属後、星組に組替えし、男役スターとして活躍。2019年3 月に退団後は、俳優、声優、歌手、ラジオパーソナリティなどアーティストとして活動。宝塚歌劇専門チャンネル『タカラヅカ・スカイ・ステージ』で担当する番組「ときめきタカラヅカSTYLE」も大好評!
恋焦がれた男役。入って知った娘役の大切さ
「小学生のとき、テレビで天海祐希さんがレット・バトラーを演じる『風と共に去りぬ』を観て、その歩き方、話し方、表情……男役に夢中になりました。そこから宝塚歌劇団を知り、天海さんの退団公演『ME AND MY GIRL』を観劇して生の空気感を知り、宝塚を目指すように。もともとヒーローやカッコいいものが好きだったので、もちろん男役志望。身長が伸びてラッキーでした。入ってわかったのは、男役は娘役がいるからこそ素敵に見える!ということ。これも宝塚だけが持つ魅力のひとつだと思います」
退団して気づいた、羽を背負う姿の魅力
「宝塚ほど夢々しい世界はないですよね。劇場に足を踏み入れた瞬間から、すでに夢の世界が広がっていると思います。退団後の観劇では、ファンの気持ちに戻って異空間を楽しんでいます。一作品で下級生の成長が見られるのも宝塚ならではの醍醐味。もうひとつ、あらためて気づいたのは羽の魅力。近くにいるときはわからなかったけれど、羽は非日常のもの。負けないオーラが宝塚にはあるんだなと思いました」
原作もの、同期の存在にも注目を
「初めての観劇では、『誰が誰だかわからない!』と思う方も多いと聞くので、おすすめしたいのは有名な原作もののお芝居。『あの役を演じていた人』と記憶に残りやすく、ショーや別の作品でその生徒を探す楽しみが生まれます。あとは、気になる人ができたら、その同期に注目してみるのも面白いかも! ちなみに私の期、89期はとても個性豊かでした。会話でも、話の端々から『ここまで好きだったんだ!』と驚かされるほどの熱量を感じます」
なにより大きいのはファンとの絆。深い愛で生徒を育ててくれる
「ファンとの距離が近いことも、宝塚の魅力。劇場の入り出でお会いできて身近な存在で……本当に長い年月を、まるで身内のように、自分より相手の幸せをと、見守ってくださるんです。在団中、つらかったとき、『どんな七海さんでもついていく』とファンの方に言われたのが私のターニングポイントでしたね。自分本位だった私を、観てくださる方のためにやろう、という気持ちに変えてくれました」
一度好きになったら一生好きでいられる存在
「千秋楽の日、ファンへの感謝でいっぱいでしたが、今、その愛はさらに深まっています。当たり前のように毎日会えていたのが、会えなくなって……。人生において、こんなにも思ってくれる人たちがいたんだと、ありがたくて愛おしい気持ち。大事にしたい!という思いがさらに強くなりましたね。そんな人たちに出会わせてくれた宝塚は、やはり夢の世界。受験や就職、育児……忙しくてという方も、時間をつくって観てくれる。一度好きになったら一生好きでいられる、ときめきの場所だと思います」
撮影/田形千紘 取材・原文/櫻木えみ 構成/斉藤壮一郎〈BAILA〉 ※BAILA2020年9月号掲載
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