アルプスの山々に囲まれたスイスの小さな街、シャンペリーで日々指導にいそしむステファンにBAILA独占オンラインインタビューを敢行! 近況やシーズンの見どころをたっぷり聞いてきました。
Stéphane Lambiel ステファン・ランビエール
1985年スイス生まれ。2006年トリノオリンピック男子シングル銀メダリスト。2010年に競技から引退、プロスケーターに転向後は世界中のアイスショーで観客を魅了し、現在はコーチ、振付師としても活躍中。好きな昆虫はテントウムシ。社会現象を巻き起こしたフィギュアスケートアニメ「ユーリ!!! on ICE」では、本人役で出演。
コーチという仕事は毎日が感動にあふれてる!
今年からスイスナショナルチームの指導も務め、さらに多忙を極めるステファン。シーズン初戦を控えた9月中旬、約束の時間をほんの少しだけ過ぎたところで、1万キロ近く離れたスイスの地からコンタクトが届いた。
「少し遅れてしまってごめんなさい!今レッスンを終えたばかりで、自宅に帰っているところなんです」
レッスンの直後、少しでも早くと帰路の途中、歩きながらビデオをつないでくれた。その後ろにはシャンペリーの雄大な山並みと真っ青な空。自宅に到着するまでの間、バイラスタッフ陣もしばし美しい景色を堪能!
「ようやく家に帰ってきました!」
フーッと息を吐くと、スマートフォンを固定する道具を探し歩きながら、話を続けてくれるステファン。
「コーチとしての人生はとても面白いんですよ。毎日が感動にあふれています。今朝は昌磨や高志郎、デニス、(紀平)梨花など、国際大会に出場するクラスの練習でした。試合を控えているから、適度に緊張感のあるよい練習ができました」
ひとまず水を飲み、ひと息ついてもらったところで、早速最近の過ごし方について聞いてみると、意外にも自分の時間をもつことができているとのこと。
「今年はショーの出演がないので、コーチの仕事に焦点を当てて生活することができています。生徒のために新しい振り付けを考えたり、プロコーチのライセンスを取るために、その勉強も。健康的な体を保つために体調にも気をつかっているし、料理もしています」
充実のコーチ生活のかたわら、家族と過ごす時間も大切にしているとか。
「姪っ子はまだ子どもで何でもスポンジのように吸収していくから(笑)、一緒にいると心が安らぎます」
帰国していた愛弟子との5カ月ぶりの再会
ロックダウンを受け一時帰国していた島田選手と宇野選手。練習の再開が大変だったのでは?
「高志郎はスイスに永住権を持っているので、2カ月くらいでただいま!と戻ることができました。でも昌磨はなかなか戻ってこられなくて、5カ月もブランクが。だけど彼のことは昔からよく知っているし、ずっと連絡を取り合っていたので、再会してすぐに絆を取り戻し、何も問題はありませんでした」
チームに入って間もないなかでも自然と練習に戻れたのは、長い間築き上げてきた信頼関係があったからこそ。
振り付けも務めたデニス・島田両選手のプログラムの見どころも教えてくれた。
「デニスの『ロミオとジュリエット』は、若くてロマンチックなイメージがぴったり!彼はドラマチックなストーリーを表現していくのに向いていますよね。ロックダウン中はバレエにも取り組んでいて、体のラインもクラシック向きになっていました。彼にはバレエの国・ロシアのバックグラウンドもありますし、クラシックバレエからどのようにして美しいラインを見せるかということにとても気をつかっていました」
「高志郎は『パガニーニの主題による狂詩曲』を滑るんですが、最初は硬くスピード感があって、戦士や闘牛士をイメージしています。それが後半につれてどんどんソフトに、感情的に変化していくんです。ラストに向けて偉大な人へと成長していく姿が見どころのひとつです」
今季の宇野選手は昨年と同じプログラム。以前ステファンが振り付けを担当したエキシビションナンバーは、情感豊かでファンも多い。今後競技用の振り付けを担当する予定は?
「もちろん考えています。オリンピックに向けて新しいプログラムを今シーズンから準備し始める予定でいますよ」
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取材・原文/轟木愛美 通訳/ヒュース夕子 構成/斉藤壮一郎〈BAILA〉 ※BAILA2020年12月号掲載
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