バトルあり、ギャグあり、サスペンスあり。さらには歴史やアイヌの文化、サバイバル知識まで学べる作品「ゴールデンカムイ」。主人公・日露戦争帰りの兵士、通称「不死身の杉元」とアイヌ少女アシㇼパさんは、北海道に眠る金塊の謎を求めて陸軍や脱獄囚と戦いますが……そんな敵たちと同じくらい振り回されるのが、舞台となる“北の大自然”。中でも、狩猟シーンとそれを使ったアイヌ料理は、ほかで見たことのないレシピだらけで大変大変興味深いです。
早速ですが、こんな動物まで食べちゃうの?と思いつつ、なんか美味しそう…と魅力的に見える料理を紹介したいと思います。
■リスのチタタプ
1巻で最初に出てくる料理シーンは「エゾリスのチタタプ」。口に出すと癖になる「チタタプ」という単語には「我々が刻むもの」という意味があり、和人でいうところのつくねやつみれのような感じでしょうか。アシㇼパさんによると基本は生で食べるもので、食べきれないときにこうやって汁物に入れるそうです。生で食べるって、なめろうみたいな感じでしょうかね……。杉元が食べているシーンを見ているだけで、こちらの体まで温まっていきそうです。本当に美味しそう。
■ウサギのチタタプ
はい、ウサギもチタタプにします。耳の軟骨まで肉と一緒に叩いて余すところなくチタタプに。(よく見ると同じチタタプでもリスとはお団子の感じが違います……こちらは軟骨がコリコリしていそう?) ウサギのことをアイヌ語では「イセポ」というそうで、それはアイヌ語で「イーっと鳴く小さいもの」を表すそう。作品の中で、アイヌ語やその語源が知れるところも面白いです。マツタケ・シメジと行者ニンニクと一緒にって…お鍋ですね。ああおいしそう。
■キナオハウ
こちらはアシㇼパさんのおばあさんが作った料理で、「キナオハウ」というもの。「キナ=野菜」がたくさん入った「オハウ=汁物」という意味で、前日に仕掛けておいた罠にかかったカジカ(魚)を出汁にしています。作品内では、獲物にかける罠の解説や狩猟シーンもあるので、読んでいく中で野生の動物や魚への対応力が増していく気がします。いつかキャンプや登山でこの知識を活かしたい。
■カワウソのオハウ
カワウソはチタタプではなくオハウでいただきます。あ、カワウソって食べられるんだ…と思いました。ちょっとクセが強そうと思いながらも、このとろとろの脂身が角煮のように見えませんか?
■桜鍋
こちらは馬のお肉です。馬肉をすき焼きのようにして食べるのが桜鍋。味噌仕立てで馬肉を煮る桜鍋は、明治から続く東京の伝統料理だそう。とのことでこの料理は、脱獄王と呼ばれる囚人・白石が奉行として働いています。この男はあるところから杉元・アシㇼパの仲間に加わりますが、ぜひそのストーリーは試し読みで!!
いかがでしたか? 美味しそうですよね? お腹すきましたよね!? そう感じた方はまず、今日の自分のご飯を「ヒンナ、ヒンナ」といいながら食べましょう。(ヒンナ=アイヌ語で「食事に感謝する言葉」。アイヌの方々は食べながら言うそうです。)いかにもグルメマンガだというような紹介の仕方をしてしまいましたが、「ゴールデンカムイ」は“和風闇鍋ウエスタン”と呼ばれているほど様々なジャンルを包括したマンガなので、読む人それぞれがハマりポイントを見つけられるはず。ぜひまずは試し読みから!
編集バタコ
本誌ではファッション、ヘルスケア、読み物を担当。ベーシックなアイテムが好きで、ワードローブはワンピース多め。銭湯での交互浴が日々の活力。最近、2次元に推しが増え続けています。
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試し読みは2021年11月8日(月)~2021年11月21日(日)まで