週刊少年ジャンプで連載中の戸塚慶文『アンデッドアンラック』。著者初連載にして「次にくるマンガ大賞2020」でコミックス部門第1位を獲得した話題作のあらすじと魅力をご紹介!
主人公の出雲風子は、触れた者に不運をもたらす能力の持ち主。そのせいで両親を飛行機事故で失い、10年間引きこもった末、大好きな少女漫画の終了を機に死を覚悟する。風子を死から救ったのは、もう一人の主人公アンディ。死なない体を持つ彼は、風子の能力こそ自分に本物の死を与えてくれる力だと言う。不死(アンデッド)と不運(アンラック)、異能の二人は、最高の死を見つけるために手を組んだ……。
一般的に考えたら、ありがたいとは言いづらい能力を与えられた主人公たち。しかし作品は暗さよりも、前に進む勢いとパワーに満ちている。二人の出会いを描いた第1話で、純愛少女漫画も真っ青な熱烈さで風子にアプローチする、血まみれ全裸のアンディはインパクトたっぷりだし、それを全力拒否しつつもアンディのピンチに行動を起こす風子も負けじと魅力的。はちゃめちゃな二人の掛け合いだけでもう面白く、第1話を試し読みする価値あり。
続くストーリーは、少年漫画の王道をいく能力者バトル。次から次へユニークな能力を持った強敵が現れる面白さは爽快。その中で自らの能力を見つめ、相手を分析し、戦い方を組み立てていく姿は、直球でワクワクさせてくれる。
そして、怒涛の展開続きでもブレないのは物語の根底にある問い。最高の死を見つけるとは、すなわち、どう生きるかを問うこと。与えられた自分の能力や世界のルールとどう向き合うか。どの話にも大きな問いが隠されていて心に響く。
この新しくてとびきりチャーミングな異色バディの物語は、週刊少年ジャンプで現在進行中。最後に二人が迎えるのは、あの名作絵本『100万回生きたねこ』のような“幸せな死”エンドか、それとも? 今後の展開から目が離せない!
編集W
本誌ファッション・書籍・コミック担当。好きなものは建築、アート、猫。いつでも熊谷守一の猫に惹かれている。
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試し読みは2021年11月8日(月)~2021年11月21日(日)まで